ミランの負傷者続出はピオリの責任?
ステファノ・ピオリ指揮下で5年目のシーズンを送るミランは今夏、スクデット奪還を目指して大型補強を敢行。しかし相次ぐ負傷者に悩まされるなど厳しい台所事情もあり、首位を独走するインテルや2位ユヴェントスに後れを取る。
そんな中、セリエAの第17節では、OBのフィリッポ・インザーギ率いるサレルニターナと敵地で対戦。最下位のチームを相手に一時はリードを奪われるなど手を焼き、90分にようやく2-2のドローに持ち込んだ。
サレルノでは、守備の要であるフィカヨ・トモリも負傷交代し、今シーズンに入り30件目のフィジカルトラブル発生でますます厳しい状況に陥ったミラン。チームは、このままピオリの下で前進を続けるべきなのか。『ダゾーン・イタリア』の「Sunday Night Square」に出演した解説陣が議論を交わした。
ミラン経営陣は、負傷者が続出する責任は、ピオリやスタッフの指導法にあると考えているとみられ、サレルニターナ戦後に解任の可能性が報じられた。指揮官は当面、続投する見込みではあるが、『Tuttosport』などは来夏の指揮官交代が濃厚であるとして、後任にチアゴ・モッタやヴィンチェンツォ・イタリアーノ、フランチェスコ・ファリオーリらを候補に挙げた。そんな中、ステファノ・ボルギ記者が自身の見解を示した。
「このタイミングでこのニュースが流れるとは、全く考えていなかった。なぜなら代役の元で、どこまで改善できるのかも検討するべきだからだ。現時点では、これ以上のものを作り出すのは難しい。ただ、ミランはリードしていた前半、試合を決定づけるまでは行かなくても、方向づける必要はあった」
「サレルニターナがあきらめずに食らいついていたのは素晴らしかったが、それはミランが許したことだ。また私が受けた印象として、ミランの選手たちからはリーダーシップが感じられなかった。チームは気持ちの面で、もっとインテンシティを高めるべきだった」
元インテル指揮官のアンドレア・ストラマッチョーニ氏は、ミラン経営陣の姿勢に疑問符を感じている。
「私の経験上、解任の噂話が流れてしまえば、ミランのようなビッグクラブなら、指揮官を交代させるしかないように思う。インテルでは、シモーネ・インザーギが昨シーズンに最悪の時を過ごしていた時、経営陣が“監督は彼だ”という方針を示していた」
「これは私の考えだが、解任を検討しているという話が出れば、監督を交代させるしかない。こうした場面に遭遇すると、監督の力は弱まるうえ、選手たちにとっての言い訳も生まれてしまう。もし監督を信頼しているのならば、もしくは、代役候補がいないのであれば、介入するべき点に介入しつつ、監督を強く、強く信じるべきなんだ」
一方、現役時代にユヴェントスやナポリなどでプレーしたチーロ・フェラーラ氏は、途中出場から今シーズン3点目となる同点弾をマークしたルカ・ヨヴィッチに見解を示した。
「シーズン序盤は懐疑的だった。間違いなければ、彼は流れから3点決めていて、ミランの問題をいくつか取り除くことに貢献してきた。だが、ミランのレギュラーとして彼を見るのは、正直、難しいように感じている」
Getty
首位インテルの強さの秘訣
首位インテルは、ミッドウィークに行われたコッパ・イタリアのラウンド16で延長戦の末、ボローニャに敗れたうえ、主将のラウタロ・マルティネスをフィジカルトラブルで失った。
しかし日本時間24日に行われたレッチェ戦では、新戦力のヤン・アウレル・ビセックが43分に移籍後初ゴールを挙げて先制すると、78分には、ラウタロの代役マルコ・アルナウトヴィッチのアシストから、ニコロ・バレッラが追加点を挙げて2-0と勝利し、2位ユヴェントスとの差を「4」と保った。イタリア解説陣のボルギ記者も、シモーネ・インザーギ率いるインテルを高く評価している。
「インテルは良い感触だ。インザーギが“緊急事態”という時、大げさであるように聞こえてしまう。そもそもインテルは、選手層が本当に厚く、クオリティも高い。だが、ビセックを起用するとなるとね。非常に有望な若手ではあるが、加入した時点でまだまだ成長しなければならない点があったはずだが、すでにかなりの進歩を見せたのだろう」
フェラーラ氏も、レギュラー勢が不在であっても、重要なパフォーマンスを見せることができるバックアッパーが存在することを評価した。
「この試合を通じて、インテルには重要な控え選手たちが揃っていることが分かった。ビセックはゴールを挙げ、アルナウトヴィッチは非常に良いプレーを見せ、ものすごいアシストを記録した。これがインテルの実力なんだ」
さらに『ダゾーン・イタリア』の解説陣は、今シーズンのインテルの強さの秘訣に注目した。ボルギ記者は、ライバルクラブのミランと比較して見解を示した。
「失点しないことも象徴的だが、インテルは、決定的な局面において、相手にとどめを刺せる能力を継続的に示している。レッチェ戦やラツィオ戦、ナポリ戦でもそうだった。一方、サレルニターナと引き分けたミランは、いくつもの問題を抱えていることを露呈したが、その中の1つが“とどめを刺す”能力に欠けているという点だろう」
(C)Getty images
モウリーニョの思惑通りのビッグマッチ
セリエA第17節のビッグマッチ、ローマ対ナポリ戦は、昨シーズンの覇者に2人の退場者が出る波乱の展開となり、数的有利に立ったジョゼ・モウリーニョのチームが2-0と制した。8位ローマは、6位へと浮上した一方、5位ナポリは7位へと後退した。過去にローマの下部組織で指揮官を務めた経験を持つストラマッチョーニ氏が、古巣の勝利に見解を示した。
「ローマは、ジョゼ・モウリーニョの思惑通りの試合をし、勝利をつかんだ。つまり、あまりパス回しをせずに、直接(ロメル)ルカク&(アンドレア)ベロッティまたはルカク&(サルダル)アズムンの2トップを使ってプレーした。そして、この試合で最高のプレーを見せた(エドアルド)ボーヴェが常に2トップのサポートに回っていた」
「ローマはスペクタクルでなかったかもしれないが、安定した戦いぶりだった。それから66分の(マッテオ)ポリターノの一発退場が決定的だった。これで試合のバランスを崩れると、モウリーニョは、(ステファン)エル・シャーラウィ、アズムン、(ロレンツォ)ペッレグリーニら攻撃的な選手を3人送り込み、その1人であるペッレグリーニが試合を決めた」
一方、古巣の敗戦を見守ったナポリOBのフェラーラ氏は、ポリターノの一発退場の判定に物申した。
「ナポリは苦戦していたが、あのエピソードは、試合の最終結果に大きな影響を及ぼすものだった。一発退場のファウルであるとは、確信が持てない。間違いなくポリターノは不注意であったが、警告でも良かったのではないだろうか。一発退場は厳しすぎるように思う」
元セリエA審判員のルカ・マレッリ氏も、ナポリOBの考えを支持しつつ、自身と同じコモ出身のアンドレア・コロンボ主審の判定に見解を示した。
「直前に(ニコラ)ザレフスキのファウルがあり、これにイエローカードが提示されたことは妥当だが、その後のポリターノに対する一発退場は非常に厳しいものだ。ボールが離れたところでの暴力行為なので、理論上はあり得るが、今回の場合、弱いキックであり、暴力性があまりない」
「警告を与えるのが妥当であったように思う。行為はひどいものだが、試合を重んじるのであれば、イエローカードでコントロールした方が適切だった。まだ33歳の主審コロンボの経験不足があったのかもしれない」
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