セリエA第28節のウディネーゼ戦で公式戦4連敗を喫し、9位に沈むラツィオ。2021年夏からチームを率いていたマウリツィオ・サッリは敗戦後、選手たちの奮起を求めて辞任を決断し、アシスタントコーチだったジョヴァンニ・マルトゥシェッロが暫定監督として日本時間17日のフロジノーネ戦で指揮を執った。
ラツィオは序盤において、降格圏をさまよう相手に先制を許したが、シーズン最多となる22本のシュートを放って“美しいプレー”にこだわらず、途中出場のタティ・カステジャーノスのドッピエッタ(1試合2得点)などで逆転勝利を収めた。そんなラツィオについて、『ダゾーン・イタリア』の解説陣が「Tutti Bravi Dal Divano」の番組内で分析した。
ラツィオに問題があることは明白
ラツィオOBのマルコ・パローロ氏がイゴール・トゥドール新体制発足を控える中での古巣の一戦を振り返った。
「この勝利で少しチームは落ち着く。これからトゥドールがやって来るが、彼の力で欧州カップ戦出場権を勝ち取ることだってできるかもしれない。このチームは良いパフォーマンスを見せられる潜在力があることを示した。試合終盤に混乱はあったが、スコアを維持しなければならないという不安から生じたものだ。とにかく必要としていた勝利をつかむことができた」
サッリの辞任からフロジノーネ戦までの間は、マルトゥシェッロが「地獄」と表現するほどの状態だった。同じくラツィオOBのヴァロン・ベラーミは、地獄を経て勝利に歓喜したチームについて慎重な目で見ている。
「監督はこの試合限りであり、試合自体が奇妙に感じた。こういう時は何でも本能に従うものだ。勝利によって中断期間を穏やかに過ごせるが、今後は新指揮官の下でリセットされる。チームが歓喜し、一致団結したかのように見えるかもしれないが、これは、ここ1週間にわたって起きた出来事に対する反発であって、団結とは言い切れない」
「チームの団結とは、多くの選手たちがエゴを棚上げすることで生まれるものだが、1試合に限ったことではなく、成長の過程全体を通して言うものだ。確かに昨シーズンは団結していたかもしれないが、今シーズンは違う」
「正直言って、わずか数日間での変化が起きたとは信じられるものではない。私はそうは思わない。はたから見れば、チームが1つになってゴールを挙げ、全てファンタスティックに美しく映るかもしれない。だがチーム内で過ごしている者にとっては『地獄だった』と言えるだろう」
続いて元イタリア代表MFのリッカルド・モントリーヴォ氏も発言。ベラーミ氏に賛同し、「多くのことが議論に付され、批判されていたから、追加点を挙げた後であのように歓喜する。本能だよ。ラツィオに問題があることは明白だ。これを解決するには時間がかかる」と主張した。
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3年目のサッリ指揮下で何が起きた?
さらにモントリーヴォ氏は、サッリ指揮下の2年間で着実に成長を見せていたチームが3年目で迎えた結末に驚きを隠せない。
「監督の下、チームが困難を乗り越えながら成長していく。そして2年目にリーグ戦2位となり、チャンピオンズリーグ出場権を獲得して、さらに良い成績を収めれば、普通は監督との間で素晴らしい関係が生まれ、絆は強くなるはずだ。そこから破綻を迎えるまでに何が起きたのか。奇妙ではないだろうか」
その疑問に対してベラーミ氏が「チームが飽和状態になったんだろう」と分析すると、パローロ氏も自身の見解を示し、今シーズンから加入した新選手とそれ以外のメンバーとの間の結束に足りないものがあったと主張した。
「ステファノ・ピオリ指揮下のラツィオにおいても(ミロスラフ)クローゼやステファノ・マウリらベテランがいて、そこに新たな選手たちが加わったが、イタリア人のアレ(ッサンドロ・マトリ)は別として、異なるカルチョをプレーしてきたメンバーは融合することができなかった」
「したがって現在のラツィオも、メンタリティが異なる新選手が加入したことだけでなく、以前からいた選手たちも1つのチームとして強い意識を持つことに欠けていたのではないだろうか」
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伊解説陣が注目した鎌田のエピソード
フロジノーネ戦でベンチスタートとなった鎌田大地は、ラツィオが3-2とリードしていた86分にザッカーニに代わってピッチに登場。リーグ戦2試合連続で途中出場し、左ウィングとしてプレーした。
ラツィオでは、中盤のインサイドハーフを主戦場とし、10番のルイス・アルベルトやマテオ・ゲンドゥージ、マティアス・ベシーノらとポジションを競ってきた鎌田。通常とは異なる位置で起用された元フランクフルトMFを巡り、ピッチリポーターのオラツィオ・アッコマンド記者がこのシーンの裏側を明かした。
暫定監督と言葉の壁があった鎌田に対し、ドイツでも同僚だったルカ・ペッレグリーニと控えGKのルイジ・セーペがサポートを行ったという。
「(鎌田の投入後も)戦術面では何も変わらない。マルトゥシェッロはカマダに対し、ウィングでザッカーニがやっていたようにプレーするよう求めた。ところで面白い興味深いエピソードを伝えたい。ジジ・セーペとルカ・ペッレグリーニのこの2人が通訳をしてカマダに指示を伝えたんだ」
鎌田はその後、左WGで後半アディショナルタイムを含めて約10分間プレーしたが、『ダゾーン・イタリア』の中継を担当した解説者らの反応を振り返ってみよう。まずは92分のラツィオのカウンターのシーン、鎌田は逆サイドのグスタウ・イサクセンからパスを受けるとエリア内に侵入し、中央付近にラストパスを出したが、右サイドに走り込んだゲンドゥージには届かなかった。
実況のガブリエレ・ジュスティニアーニ氏は「不思議なボールだ。率直に言って理解できない。(この試合は)いろいろ見直すべきシーンがある。試合というより闘牛のようになってきている」と辛口にコメントした。
また97分、鎌田はルイス・アルベルトからボールを受けて左からエリア内に侵入。ジュスティニアーニ氏が「カマダがドリブル! カマダがさらにドリブルだ!」と伝える中で、相手DF2人をかわして中央のカステジャーノスへラストパスを送ったが、アルゼンチン人FWのシュートは上方へ大きく外れた。
解説を務めたマッシモ・ゴッビ氏は「カステジャーノスは目の前でボールがバウンドしたのでうまくミートできなかった」と説明。一方で「カマダに仕込んだルイス・アルベルトのパスは完璧だった」と不動の10番に賛辞を贈っている。
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