その後、前任者とは異なる3バックの戦術を敷くクロアチア人指揮官のイゴル・トゥドルによる新体制が発足。初陣となったユヴェントス戦で1-0と勝利し、白星発進に成功した。そんなトゥドルの初戦を『ダゾーン・イタリア』の解説陣が分析した。元インテル指揮官のアンドレア・ストラマッチョーニ氏がサッリ指揮下の低迷を振り返りつつ、自身の見解を示した。
「ラツィオは昨シーズン、セリエAで2位であっただけに、今シーズンの不振は驚きだった。チームの結束の基盤となっていたサッリのDNAが少しずつ失われていった一方、エンパシーの面でも何かが壊れてしまったように感じる。それからラツィオは今日、新たな1ページを開き、シーズンの最も重要な局面に突入していく」
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伊解説陣が見た鎌田の先発
ラツィオは、これまで約2年半にわたって4-3-3のシステムでプレーしてきたが、新指揮官トゥドルは3-4-2-1を導入。サッリ指揮下で主力だったマテオ・ゲンドゥージらをスタメンから外した一方、控えだったMF鎌田大地をダニーロ・カタルディとともに守備的MFで抜てきした。
15戦ぶりに先発出場を果たした鎌田は中盤でプレーメーカーとしてビルドアップに貢献したほか、シュートを放つなど積極的なプレーも見せたが、ストラマッチョーニ氏がこのラツィオ新指揮官の選択について解説した。
「ラツィオはいくつも新しい点がある。確かにルイス・アルベルトはウォーミングアップでフィジカルに違和感があった。しかし(チーロ)インモービレとゲンドゥージの2人がスタメンから外れたことは極めて大きい。ゲンドゥージは今シーズン、ラツィオで非常に高いパフォーマンスを示していた選手だ。イゴル・トゥドルは大きな決断を下したと言えるだろう」
実況を担当したピエルルイジ・パルド氏が「カマダは復活起用された。今シーズン、悪くないスタートだったが、その後は序列を落とし、ゲンドゥージが優位に立った。だが今度は、そのゲンドゥージがベンチスタートとなった」と紹介すると、元インテル指揮官が続けた。「カマダが守備的MF2枚の一角で起用されていることも強調しておくべきだろう。より高い位置で起用されていたサッリ指揮下と比較して新しい点と言える」と述べた。
ハイプレスでボール奪取を狙うラツィオは21分、ユーヴェGKヴォイチェフ・シュチェスニーのパスミスにペドロが反応。マッティア・ザッカーニを経て、鎌田がエリア手前の中央でボールを受け、絶好のチャンスを迎えたが、シュートはユーヴェ守備陣の壁に阻まれた。
ストラマッチョーニ氏は「シュチェスニーは自信過剰なプレーだった。おそらくカマダは、一瞬、遅れてしまったのだろう」と説明。パルド氏も「カマダは適切なタイミングを見出すことができなかった」と振り返った。
ラツィオは前半、4-3-3のユヴェントスに対して61%のボール支配で試合の主導権を握っていたが、後半、アッレグリが3-5-2へ移行すると、ラツィオの流動性はやや影を潜め、両チーム共にスコアレスのまま試合は進行した。
そんな中、78分、元インテル指揮官は、サッリ指揮下でベンチを温め続けた鎌田が新指揮官の初陣で見せたパフォーマンスに賛辞を贈った。「私はカマダの偉大な試合に言及したい。守備的MFのポジションにおける彼のプレーは、最高に気に入ったよ!」と語った。
元インテル指揮官が「ただ、少し疲労が見えるようだ」と述べると、鎌田はその2分後にゲンドゥージと入れ替わって途中交代。そんな元フランクフルトMFにストラマッチョーニ氏は称賛を続けた。
「先ほども話した通り、カマダは非常に気に入ったよ! よく走り、ビルドアップをし、チームにクオリティを与えた。サッリ指揮下では存在しなかった守備的MF2枚のシステムにおいて、1つの選択肢となるだろう」
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二重の価値がある勝利
ストラマッチョーニ氏は、スコアレスのまま迎えた後半アディショナルタイムにアダム・マルシッチの決勝点をアシストしたゲンドゥージにも賛辞を贈ったほか、トゥドルの初陣の勝利に見解を示した。
「ラツィオが強く望んでいたゴールだ。ラスト15分間、ギアを上げて全力でこのゴールを求めていた。加えてこのゴールは、まさに途中出場したゲンドゥージから生まれた。彼はユーヴェ守備陣に対してドリブルで仕掛けようとしていたが、(ユーヴェDFニコラ)セクロフが居眠りをしていたためにマルシッチの侵入を許し、極めて重要なゴールが生まれた」
「この勝ち方と対戦相手がユヴェントスだったという点を踏まえると、この勝利には二重の価値がある。サッリが辞任し、難しく、不穏な空気の中で過ごしていたラツィオには、このような夜が必要だったのかもしれない」
「トゥドルについては、まるでプレーしているかのような試合に対する姿勢が気に入った。また彼は、短い期間で選手たちに伝えるべきものを伝えたように思う。そして選手側も、練習回数が少ないながらも、できる限り指揮官のアイディアをピッチで表現しようとする姿が見えた。これからの道のりは長いが、今日は重要な第一歩を踏んだと言えるだろう」
トゥドルの賢さが見えた布陣
イタリアのメディア各紙の多くは、ラツィオが3-4-2-1の布陣であると報じたが、ストラマッチョーニ氏は試合中、ラツィオが事実上、4-2-3-1のシステムでプレーしていることを主張。「ユーヴェにかなりのプレッシャーをかけていて、ボール奪取のクオリティもかなり高い。ラツィオは4-2-3-1でプレーしている」などと観察していたが、試合後もその分析を続けた。
「試合前、システムは3-4-2-1だとかなり言われていたが、われわれは開始から数分で、4-2-3-1の陣形であることに気付いた。それから非保持の際は4-4-2でプレスをかけていた。この選択はサプライズだったが、イゴル・トゥドルの賢さを物語っている。彼はチームをねじ曲げることはしなかった。自身のアイディアを加えつつ、チームのDNAと調和させた。賢い選択だった」
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15戦ぶり先発の鎌田へ現地の評価は?
公式戦15試合ぶりに先発出場を果たした鎌田。現地の評価はどのようになっているのだろうか。イタリア紙『Corriere dello Sport』は「7」と高評価を与え、「サムライ」と絶賛した。
「中盤のレジスタ、これがもう1人のカマダだ。(マリオ)ヒラと同様に97回のボールタッチを記録。ビルドアップに推進力と本物のサムライだった。デュエル、高い位置や低い位置でのボール奪取、ザッカーニへのロングフィードなど80分間にわたって見せた」
このほか『La Gazzetta dello Sport』紙は「6.5」、大手メディアの『Sky Sport』と『Mediaset』は及第点の「6」となっている。
放送・配信予定
- ユヴェントス vs ラツィオ : コッパ・イタリア準決勝1stレグ
- 配信:DAZN
- キックオフ:2024年4月3日(水)日本時間4:00
- 解説:佐藤寿人 実況:北川義隆
- 会場:アリアンツスタジアム
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