昨夏にラツィオと1年契約を結んでセリエAに上陸したMF鎌田大地。マウリツィオ・サッリ前監督の下では出場機会に恵まれなかったものの、今年3月から監督に就任したイゴル・トゥドルから高く評価され、リーグ戦9試合連続先発を果たすなどして、UEFAヨーロッパリーグ(UEL)出場を決めた7位ラツィオの終盤の追い上げに主力として貢献した。
鎌田は、トゥドルの構想の中心として来シーズンも残留を期待されていたが、契約延長へ口頭合意が報じられた直後に、状況が一転。延長オプションの期限である先月30日を過ぎて、アンジェロ・マリアーノ・ファビアーニSD(スポーツディレクター)がクラブ公式メディアのインタビューで破談を明かした。また、鎌田側の代理人らに不誠実な態度があったとして強く批判した。
ラツィオのクラウディオ・ロティート会長もまた、イタリア紙『Corriere della Sera』のインタビューで口を開き、鎌田との破談騒動について語った。
「われわれに脅しが通用すると考えている選手たちにはうんざりだ。われわれは、このユニフォームに愛着を示してくれる選手、ラツィオが終着点であると考えてくれる選手を求めている。ところが、現実離れした要求で我々を苦境に立たせることを考えている選手や代理人がいる」
ラツィオ会長は、鎌田の代理人らが、昨夏の契約から逸脱し、再び選手側に有利な1年間の新契約を結ぶように求めてきたとして不快感を示した。セリエAでは、昨年末をもってイタリア国外出身選手に対する税制上の優遇措置が終了したため、延長OPを行使せずに新たな契約を結べば、ラツィオにとって金銭的な負担が増加することも背景にあり、厳しい懐事情のクラブの会長は、“金銭目当て”に映る選手に対して、厳しく対処する意向を示した。
「カマダについては、1年間の契約延長と、契約サイン時のボーナスとして250万ユーロ(約4.3億円)を求められていた。だが、ここで脅しが通用すると考える者はうまくいかない。金銭目当てと判明すれば、その選手は全員追い出すつもりだ。そしてゼロから再出発する」
来シーズンのチームの中心になるとみられていた鎌田の退団により、日本代表MFを重用していた指揮官トゥドルの去就への影響も懸念されている。だがラツィオ会長は、クロアチア人指揮官の続投を強調し、うわさ話を一蹴した。
「トゥドルは心配するような素振りを見せていない。われわれには監督を変える理由などない。(ミロスラフ)クローゼの監督就任のうわさ? 何も真実ではない。トゥドルが他のチームへ行くためにラツィオを離れるとも思わない」
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