昨シーズン限りでトルコのアダナ・デミルスポルを退団し、フリーでの移籍先を模索中のFWマリオ・バロテッリ。現在34歳を迎えたかつての悪童が、『ダゾーン・イタリア』の特番「マリオ・バロテッリ…いまだから俺が話す」に出演し、欧州トップレベルの表舞台から姿を消した直近の数シーズンを振り返った。
失敗の連続の始まり
イタリア代表復帰を目指していたバロテッリは2019年1月、中国のクラブからの巨額オファーに断りを入れてマルセイユ行きを選択したが、わずか半年後に退団となり、メンタル面で苦しい時期を過ごしたという。
「この話をするのは、本当につらい気持ちになる。実はマルセイユへ行く前、中国から本当にとんでもないオファーが舞い込んだんだ。だが俺は断った。(当時のイタリア代表監督ロベルト)マンチーニに、この中国からのケタ外れのオファーの話をしたら、『これほど遠くに行くのなら、君を招集することはできない。だがヨーロッパで良いプレーをすれば、招集する可能性はある』と言われたんだ。最終的に、俺はマルセイユへ行く決断を下した。そしてマルセイユへ行って、半年で8ゴールを挙げた。だがマルセイユは、僕を獲得することができなかった。こうして僕は無所属になった」
バロテッリは、その後、幼い頃から育った街でプレーすることを決め、ブレーシャに入団したが、これが失敗の始まりであったことを告白した。
「うつとは言わないが、うつのような兆候があって苦しんだ。自分では良い決断を下したつもりだったが、多くの誤った選択を繰り返す始まりになった。俺は、故郷であり、ファンや街の人のことも知っているブレーシャでプレーすることをハートで選んだ。だがそれは間違いだったんだ。なぜなら仕事とプライベートを結びつけるべきではないからだ」
コロナ渦の2019-20シーズン後半、バロテッリはチーム練習再開後も無断欠席するなどしてクラブと対立。シーズン途中に契約を解除して再び無所属となった。当時はさまざまな考えが頭の中をよぎったという。
「その後、プレーできなくなってしまった。1人でトレーニングを続けていたが、いまのようなトレーニングはできず、数々の困難に直面した。『もうプレーしたくない』とか、いろんなことを考えてしまった。その一方で『まだ引退する準備はできていない。まだ貢献できることはたくさんある』とも感じていた。あの数か月間は、自分との戦いだった」
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イタリア国外での奇妙な体験
2020年12月、セリエBのモンツァと契約を結んだバロテッリ。だが今度は、ケガの影響で実力を十分に発揮できず、シーズン終了後に退団し、翌シーズンはトルコに新天地を求めた。
「モンツァへ加入してすぐに筋肉系のトラブルを抱えた。その後、復帰し、最後の5試合くらいは良いパフォーマンスを見せることができたが、もう遅かった。モンツァを退団して、イタリアでまだできることはないかと待機していたが、最終的にアダナからオファーが届き、俺はトルコへ行った」
「トルコでもピッチ外では難しい1年間を過ごした。だがピッチでは、ゴールを量産し、良いプレーを見せることができた。しかしシーズンの終盤、俺以外の間で、会長による給料未払いが起き始めていた。俺はその雰囲気が好きになれず、退団してシオンへ行った」
2022-23シーズンに所属したスイスのクラブでは、度重なる指揮官の交代に翻弄されたバロテッリ。シーズン終了後、保有元のアダナへ戻ると、チームのメンバーが大量に退団していたと話す。
「シオンでは、会長がひどかった。次から次へと監督を呼んでは解任し、1シーズンに何度も交代した。最後は会長が監督をやっていたよ。あの場にいて『こんなこと信じられない』って思っていたよ。あんなことは、見たことがなかった」
「それからアダナへ戻り、直後に2、3ゴールを挙げた。だがひざを痛めてしまったんだ。小さな軟骨が剥がれて、ひざの中で動いていたので痛みがあった。手術をして翌年2月に復帰すると、ロッカールームの半分が空になっていたんだ。『何が起きたんだ』という感じだった。給料が支払われず、主力の11人が退団した後だった。1年、また1年と不運が続き、自分はどうすれば良いのかという思いだった」
「立ち直るたびに、何かの一撃を受けるという感覚だった。『どんなキャリアだったか』と聞かれれば、常にうまくいっていたが、ここ数年に関しては、正直、自分以外の要因の影響を受けていたように思う」
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バロテッリが手にした最強の武器
そんなバロテッリは、改めて自身のキャリアの転換点となったブレーシャ移籍前後の苦悩の時を振り返った一方、現在は、最強の武器を手にして大きな変化を遂げたと自己分析している。
「当時は、孤独で悲しく、やる気を失っていた。周囲からあまり守られているようにも感じられなかった。だが幸いにして、人生の良い時も悪い時も、家族が寄り添ってくれた。それから心理療法も助けになった。誰もがトラウマを抱えているものだからね」
「治療はかなり進んだ段階で、俺は大きく変わったように感じるよ。変わったと言っても、青色が黄色に変わったとか、そういう話ではなく、なぜ自分がこの反応をしたとか、なぜそう考えるのかを自覚することができる。自分の気持ちを把握できれば、武器になる。どんな時でも自分自身をコントロールすることができるからね」
「みんなに勧めたいくらいだ。俺はもっと早く心理療法を受けていればと後悔しているよ。俺が俺であることに変わりはない。だが自分自身を知ることができた。以前は、過小評価していたが、いまなら自分のことを知っていると言える。これは最強の武器だよ。思っていたよりも最強だ」
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