昨シーズンの失点数はワーストタイの「61」。ダニエル・ポヤトス体制の2年目となったガンバ大阪において、守備の再建を任されたのが中谷進之介だった。
中谷は名古屋グランパスで守護神のランゲラック、丸山祐市らとJ1史上最多の9試合連続無失点記録を樹立。持ち味の正確なパスや攻撃の組み立てはもちろん、ポヤトス監督は名古屋で磨かれた個の力で止める部分にも期待していたことだろう。移籍1年目ながら、副キャプテンに任命したこともその証拠の一つだ。
中谷はフィールドプレイヤーで唯一となる全38試合でのフルタイム出場を達成。最も欠かせない選手として最終ラインに君臨した。課題だった失点数は「35」に激減し、順位も2023シーズンの16位から4位と大きく改善。中谷の功績はチーム内のみならず、他チームの選手、監督も認めるところで、ベストイレブンを選ぶ投票ではDF登録で最多の132票を集めた。
Jリーグアウォーズには全身をFENDIで固めて登場。改めて今シーズンの躍進の要因を問われると、「チームとして守備の意識はすごく上がりました」と手応えを語った。数ある守備の要素の中でも、中谷が挙げたのはシュートブロック。自身もチームを救う印象的なシュートブロックを何度も見せたが、ストロングポイントという認識はなかったという。「ガンバに行くまで得意とは思っていなかったですが、シーズンが進むにつれて止められる場面が多くなりました」。中谷の身を挺したプレーの数々はチームメイトにも伝染していき、「最後のところで体を張って止めるというところは、チームの全体の意識が上がったと思います」と守備意識の改善につながっていった。
新たなディフェンスリーダーとして請われ、その期待に結果で応えてみせた中谷。「ガンバというチームに来て、すごくいい仲間と環境でサッカーをやらせてもらいました」という充実のシーズンを経て、次に見据えるのはもちろん、惜しくも手が届かなったタイトルだ。「来年はこの悔しさをバネにというか。素晴らしい仲間がいるので、彼らと一緒にタイトルを獲りたいという思いは一段と増しました」。来シーズンも、青黒の壁からゴールを奪うことは容易いことではないだろう。
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