Jリーグが選ぶ5月度の明治安田生命J3リーグKONAMI月間MVPは鹿児島の有田光希。5月3戦全勝を達成したチームにおいて、3ゴールを挙げた9番の活躍は欠かせない。5月にJ通算300試合出場も達成した鹿児島の新エースに、自身とチームの好調の要因などを聞いた。(文・西川 結城)※エル・ゴラッソ本誌より転載
失わなかった自信
――J3月間MVP受賞、おめでとうございます。今回の感想は?
「ありがとうございます。MVPという素晴らしい賞を受賞できてうれしいです。今後もこういう賞をいただけるように頑張りたいと思います」
――5月は3試合3ゴールを記録し、現在得点ランキングでも単独トップに立っています。
「周りに取らせてもらっている感覚が強いです。もちろんゴールを取ることが僕の仕事ですが、やっぱり周りのおかげですね」
――今季ここまでで、自身の印象に残るプレーはありますか?
「第10節・讃岐戦での1点目は自分らしさが出たゴールだったと思います。左サイドの米澤(令衣)選手からパスがくる瞬間に、相手DFとの距離感、芝の乾き具合、ボールの回転とすべてを判断した中で、ボールが裏に抜けてくると自分の中で感じ取ることができました。ワンタッチ目で自分の中でシュートを打ちやすいところにボールを置けたので、足にもしっかりとミートすることができて、いいコースに飛んでくれました。完璧な手ごたえがありました」
――昨季はJ2の甲府でプレーし、1ゴールと苦しみました。それが今季はここまで多くのゴールを取れています。その要因はなんでしょうか?
「昨季は結果が出ず、苦しい時期もありましたが、今季に向けた準備の期間だと切り替えられました。それが要因だと思います。昨季に関しては途中から試合にも絡めない状況が続いて、それでも『来季は必ず点を取れる』とその当時から言っていました。『できる』という過信ではなく、しっかりとした自信があったので、そういう言動をしていました。今季試合に出させてもらっている中で、その自信が結果につながっているのだと思います」
――得点王は意識しますか?
「意識しないと言えば嘘になります。ほかの誰が取ったかは気になりますし、(得点数が)近い選手には負けたくないと思って毎試合戦っています」
――今季は有田選手のみならず、複数の選手たちがゴールに絡む攻撃が特徴です。あらためて、チーム全体の攻撃をどう見ていますか?
「僕だけではなく米澤選手も含めて、前線の選手で点を取れているのは好材料です。相手からしてもマークしづらいでしょうし、怖い攻撃陣になっていると思います。得点パターンが多いこともチームの強みになっていますね」
――大嶽直人監督からは何か声をかけられていますか?
「『とにかくゴールを取ってほしい』と言われています。京都時代にもお世話になっていたので、シーズン前に挨拶をしに行ったときに『今季はゴール前でのチャンスが増えると思うから、頼む』と言っていただいて、いまはその増えたチャンスを決めることに集中できています」
ゴールの要因は鳥刺し!?
――ここまでのキャリアを振り返ると、J1の神戸でプロデビューを果たし、その後はJ2でのプレーが長年続きましたが、今季初めてJ3でプレーすることになりました。選手としてのいまの立ち位置について、どう考えていますか?
「正直、(鹿児島にくる上で)カテゴリーのことに関してはいろいろと考えるところはありました。僕はJ2のキャリアが長く、まだまだそこでもできると思っていました。ただ、年齢を重ねるにつれて、より数字を残さないと生きられない世界だなとも感じていました。鹿児島にくると決めたのは、ここでサッカーをしたら僕自身のプレーを出せると思ったからで、さらにこのチームならJ2に昇格できるという思いがあったからです」
――30代に突入して、選手としてFWとして、ここからはどんな時代にしていきたいですか?
「若いときは、とにかく自分がゴールを取れればいいという考えがすごくありました。いまは周りに下の年代の選手が増えてきて、彼らを引っ張っていかないといけないと感じています。ゴールという結果もそうですが、普段の練習からそういう姿勢を見せていかなければいけません」
――ちなみに、憧れていた選手や、いまプレーを参考にしている選手はいますか?
「ティエリ・アンリや元ブラジル代表のロナウドのプレーはよく見ていました。シュートテクニックやタイミングなどは、いまも映像を見返しながらすごく参考にしています。あとはエディンソン・カバーニのシュートの打ち方もよく見ます。もともと自分はドリブルで運んだりスピードで突破したりするタイプではないので、その中でも点を取るためには、シュートのバリエーションを増やすことや打つタイミングを増やすことが大事になります。そのことに意識を傾けるようになってから、特に今季は、シュートパターンが豊富だからこそゴールを奪えていると感じています」
――今季気になるのは、毎回違ったユニークなゴールパフォーマンスをしているところです。あれは試合前から考えているのですか?
「1個は考えているのですが、2点目を取ったときはノリと思いつきでやっています(笑)。昔はいまほどやっていませんでした。今季はチームとしても全員で喜ぼうと立ち上げから言っていますし、お客さんにも楽しんもらえたらと思ってやっています」
――サポーターからの反響はいかがですか?
「SNSとかで僕のポーズの写真を載せてくれているので、浸透しているなと感じています。楽しみにしてくれていると信じています(笑)」
――新天地・鹿児島にきて、ハマったことはありますか?
「鳥刺しがおいしくてハマっていて、週一で食べないと落ち着かないです。きっと鳥刺しを食べ続けているのもゴールの要因です(笑)。試合の日から逆算して、週に一回は食べるようにしています」
――ちなみにMVP受賞の賞金20万円は何に使いますか?
「妻と相談したいと思います。妻がお金を管理していて、普段すごくお世話になっているので好きなものに使ってもらったらと思っています。強いて言えば、僕はゴルフのアイアンを新しく変えられたら満足です(笑)」
これからも1試合、1試合
――あらためまして、残りシーズンへの意気込みや個人的な目標を教えてください。
「チームとしてはJ3優勝とJ2昇格。鹿児島はそれを達成できるチームだと思います。そのためにも、ゴールを決め続けていきたいと思います」
――有田選手の存在はもちろん、チーム全体でいい形で攻撃できるところも好調の秘訣に見えます。これをどう継続し、J3優勝&J2昇格を果たしたいですか?
「苦しい展開でも点を取れるパターンはもっと増やしていきたいです。チーム全体が同じ方向を向いていれば、今後も苦しい試合をモノにできると信じています。そういう勝ち方ができるチームになっていきたいです。
ここまでの連勝も、試合に勝ったあとになって連勝していることに気づいたぐらいだったので、目の前の1試合、1試合を戦うというスタンスはこれからも続けたいです」
――鹿児島はJ3の中でも毎試合たくさんの観客が入っています。最後に、ファン、サポーターへの思いを聞かせてください。
「すごくいい雰囲気を作っていただいていますし、アウェイにもたくさんのサポーターの方々にきていただいています。これだけ応援してもらえるのであれば、やっぱり皆さんに喜んで帰ってもらいたい。今季はホームで負けなしが続いているので、これをシーズンとおして続けたいですね。皆さんにもっともっと喜んでいただけるように、これからも勝っていきたいです」
選手プロフィール
有田 光希(ありた・こうき)1991年9月23日生まれ、30歳。新潟県出身。177cm/87kg。新潟JY→北越高→神戸→愛媛→神戸→京都→愛媛→甲府を経て、今季完全移籍で鹿児島に加入。J1通算11試合出場。J2通算280試合出場48得点。J3通算12試合出場7得点。
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