13日にカタール・ワールドカップ準決勝フランス戦に臨むモロッコ。前日会見に出席したワリド・レグラギ監督は、アフリカ勢が初めて臨むベスト4の突破、そして優勝への意気込みを示している。
「この一戦がここまでで一番難しいものとなる。私たちは世界最高の監督が率い、素晴らしい選手たちを擁する現大会王者と対戦する。しかし、それでも勝ち進めると信じているよ。なぜ、私たちが優勝を考えてはいけないんだい? チームは疲れていない。明確にしておくが、明日の試合もチームは走り抜くよ」
レグラギ監督はフランスで生を受け、同国とモロッコの二重国籍を有している(選手時代にはモロッコ代表を選択)。
「フランスと対戦することは誇り高い。だがフランスでもイングランドでも、対戦相手によって力の入れ方が変わることはないよ。私は自分の国の監督としてここにいるのであり、そのほかのことは重要ではないんだ。何より大切なのはフットボールと、勝利をつかむことにほかならない」
レグラギ監督率いるモロッコは、ポゼッションを重視しない堅守速攻によってベルギー、スペイン、ポルトガルなどを下してきた。だが“パスサッカーが正義で、堅守速攻が悪”というフットボールに深く根を張る考え方から、モロッコのスタイルに否定的な見解も少なくない。
レグラギ監督は、そうした見解に対して次のように反論している。
「君たち(報道陣)はポゼッションにどれだけの夢を見ているんだ⁉︎ 70%のポゼッションは枠内シュートを2本打つためにあるというのか? ならば私から、インファンティーノ(FIFA会長)に60%以上のポゼッションで勝ち点1をあげるよう進言するよ。……私たちは勝つためにここにいるのであり、ポゼッションをするためじゃないんだ」
「もしフランスがこちらにポゼッションを譲ってきたら? そのときはそのときで、彼らが私たちに勝たないように何か策を講じるさ。しかし彼らがポゼッションを放棄するとは思えない。例えばシティは70%のポゼッションを記録するが、彼らが擁している選手たちを考えてくれ……。あそこはデ・ブライネ、ベルナルド・シウバがボールを扱っているんだよ。ティキ・タカなどと話されても、それができる選手たちがいなければ話にならないんだ」
「ヨーロッパ人が私たちのプレーを批判しているのは知っている。だが私たちはアフリカのために、前へと進んでいる国々のために勝たなくてはならない。明日、フランスが私たちに敬意を持たない(ボール保持権を譲らない)ことを期待しているよ。そうなれば私たちにとって難しくなるからね」