スペインのペドロ・サンチェス首相が、女子ワールドカップの表彰式で女子選手の口にキスをしたスペインフットボール連盟のルイス・ルビアレス会長に対して遺憾を表明している。
ルビアレス会長はスペイン代表の女子W杯優勝直後、ジェニファー・エルモーソを祝福した際に彼女の頭を両手で持ち、口部分にキスをした。エルモーソがその直後、SNSで生配信していた映像でチーム関係者に向けて「(ルビアレス会長のキスは)好きじゃなかったわ。でも、私に何をしろって言うのよ?」と発言したこともあり、ルビアレス会長はすぐさま批判の的となったが、当の本人は「(批判をする)バカはどこにでもいる。2人の人間が互いに愛情を抱えているならば重大なことではない。バカたちを相手にする必要はない。私たちはチャンピオンであり、そのことだけを心に留めているよ」と発言して火に油を注いでいる。
だが優勝の翌日、スペイン政府のミケル・イセタ文化スポーツ大臣が「受け入れられないこと。彼は説明と謝罪をすべきだろう」と声を上げると、ルビアレス会長は同日に謝罪の動画を公開。次のように語った。
「私たちはスペイン・フットボールの歴史的な出来事を迎えることができた。しかし、それと同時に悲しむべき出来事も存在している。私とある女性選手の間に起こったことだ。私たちは素晴らしい関係にあるが、しかし間違いなく私が過ちを犯した。そのことを認めなければならない。感情があふれ出た瞬間に、悪意などもなくああしたことが起こった。とても自然に発生したことで、2人とも悪意はなかった」
「そのことについて皆の理解が得られなかった。私たちは何か自然な、悪意などどこにもない普通のことだと考えていた。しかしながら外部では騒動が巻き起こってしまったようだ。今回の出来事に傷ついた人がいるならば謝らなくてはならない。そうするほかないだろう」
しかし、この謝罪の後も騒動は収まらない。謝罪の翌日には、ペドロ・サンチェス首相までもルビアレス会長について言及した。
ペドロ・サンチェス首相は、ミケル・イセタ文化スポーツ大臣同様にルビアレス会長の女性の口にキスをする行為が「受け入れないもの」とし、さらに謝罪についても内容的に不十分と語っている。
「女子選手たちは勝利のためにあらゆることをした。だが、その場でルビアレス氏のような振る舞いがあったことも事実だった。あの行為は私たちの国が平等となるため、女性と男性が互いに敬意を持てるようになるための道のりがまだまだ長いことを示している」
「私たちが目にした行為は受け入れられないものだったが、同様にルビアレス氏の謝罪も不十分かつ、適切なものではなかった」
ルビアレス会長の解任を求める声が高まっているが、ペドロ・サンチェス首相は政府にそうした権限がないことを強調した。
「国民は知らないかもしれないが、スペインフットボール連盟はスペイン政府が管轄する組織ではない」
「連盟の会長はその組織の人々によって選出され、解任される。私はさきほど、ルビアレス氏のその受け入れられない振る舞いについて、説明と謝罪が不十分であると言わせてもらった。あの行為は男性と女性の平等を望む多数のスペイン人の思いとつながるものではない」
「彼の謝罪は不十分であり、すべてを明らかにする姿勢でもって、誠実に謝らなくてはいけない」
なおルビアレス会長とスペイン女子代表は、ペドロ・サンチェス首相が以上の発言があった後に首相官邸を訪問。ペドロ・サンチェス首相は女子選手たちの一人ひとりとスペインの挨拶文化であるチークキスをして、その後軽い会話を交わしたが、ルビアレス会長とのやり取りは淡白に握手をするだけだった。
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