エラーコード %{errorCode}

ラ・リーガ

【戦術分析】レアル・マドリーは正直、どれだけ分析してもよく分からない。フットボールの王者はフットボールそのものだ

DAZN NEWS
【戦術分析】レアル・マドリーは正直、どれだけ分析してもよく分からない。フットボールの王者はフットボールそのものだDAZN
【欧州・海外サッカー コラム】ラ・リーガ&チャンピオンズリーグ王者は死角だらけ…しかし、ほかのチームと同じ物差しで測ろうとする方が間違っているのかもしれない。

レアル・マドリーの偉大さ、威光は、フットボールの世界において何にも分類できない唯一無二のものだ。彼らに元来備わっている貪るような野心は、昨日の成功を過去のものとして、今日からまた新たな成功へ向かわせる。アンチェロッティ率いるチームは明日にも成功を手にしていなければならない。マドリーは勝利こそがアイデンティティーなのだから。

昨季のチャンピオンズリーグ&ラ・リーガ優勝で、マドリーは傍からもタイトル獲得の本命とみなされるようになった。実際的に、今季ここまでは無敗を貫いているが、ただ現チームにはいくつかの不安要素も見受けられ、常勝街道から外れてしまう気配もある。……とはいえ、マドリーの物差しにバルセロナやチャビの哲学のような「勝利に値する」かどうかという過程は関係ない。大切なのは、結果だ。まず勝って、その後に「どうやったんだ?」と疑問を呈されるとしても、彼らは事実として勝っているのである。

■ヴィニシウスへの依存度を低くする方法は?

vinicius-real-madrid-liga-202210116Getty Images

マドリーの極限まで高まった競争力は、彼らの抱える欠点をカムフラージュしてきた。そのいくつかは昨季から知覚できたことだったが、必要以上に苦しまないためにも、改善していくのがベターなはずである。

マドリーの試合を見ている人たちは、おそらく鉛のような空気を感じたことがあるだろうが、それは彼らの見え透いたパス回しに由来している。クロースのサイドチェンジ、モドリッチの指揮がいかに素晴らしくとも、そのパス回しはときにあまりにも緩慢なものとなり、ダイナミズムを欠いてしまう。マドリーは引いてブロックをつくる相手にいつも苦戦しており、苦しいときには決まってヴィニシウスの個人技に過剰なほど依存している。もちろんヴィニシウスはファンタスティックな選手で、そのドリブルは簡単に止められるものではなく、相手の守備陣を引きつけることができる。だが彼にボールを渡すだけ渡して、そのほかのコレクティブな解決法を持っていないというのは、あまりに寂し過ぎるだろう。

上記のような状況にベンゼマの負傷離脱も相まって、アンチェロッティは代案を探し始めている。バルベルデ、ロドリゴという現マドリーにとって必要不可欠な2選手がポテンシャルを発揮し切れるように、システムを1-4-3-3から1-4-4-2に変えたりしながら。

1-4-4-2で、バルベルデは攻撃時に右サイドと中央を行き来しながら、その長所を存分に生かせるようになった。ただシャフタール・ドネツク戦の失点場面のように、後退守備の際には適切なポジショニングを取れないときがあるのが玉にきずだ。そして、このシステムの恩恵を最も享受しているのは、おそらくロドリゴである。彼にとってはセカンドトップこそが理想的の役割なのかもしれない。1トップのベンゼマと補完関係を構築し、相手のMFとDFのライン間にポジションを取り、左サイドでは同胞ヴィニシウスと連係することができる。ライン間ほか、センターバックとサイドバックの間でマークを外す動きは秀逸そのもので、そこからいつもの効果性の高いプレーを実行していける。

■トランジションの攻撃こそ彼らの最大の武器

moric-kroos-real-madrid-liga-20221016Getty Images

マドリーがプレーのボリューム、継続性を欠いているのは、モドリッチ&クロースの同時起用がなくなったことと無関係ではない。彼らが揃っているとき、マドリーは真の意味でボールとともに主導権を握り、プレーに変化をつけながら鋭い攻撃を仕掛けられる。しかしながら今季のアンチェロッティは、とりわけモドリッチの年齢を考慮してか、ビッグゲーム以外での2人の同時起用を避けている。

モドリッチとクロースは、トランジションを生かした攻撃でも決定的な役割を担う。そもそもマドリーほどに速攻、縦に速い攻撃をうまく扱うチームは、世界中を見渡しても存在しない。そこに疑いが入り込む余地などないのだ。クロースとモドリッチが囮となる動き、極まった精度のパスで相手のプレスを無効化し、ベンゼマが下がってきてサポートに回り、バルベルデがボールを持ち運び、ヴィニシウスが相手の守備のヒビが入ったところを突く……。マドリーを相手にするチームは、いつ、どのようにしてプレスを仕掛けるべきか確信を持っていなければ、漏れなくトランジションの餌食になる。嘘だと思うのなら、ダービーで2発を決められたアトレティコ・デ・マドリーに聞いてみればいい。

トランジションによる攻撃は、マドリーの長所として何よりも際立っている。その一方で、守備についてはやや脆く、苦んでいる様子。クルトワが坐骨神経痛に悩み、いくつかの試合を欠場したことも要因の一つだが、守備ブロックに入っている亀裂こそが深刻だ。

守備のキーマンとなるのは、チュアメニ。彼が的を射た守りを見せなくては、マドリーの守備ブロックはいとも簡単に崩壊してしまう。彼はカゼミーロの後釜として両センターバックの補助を請け負わなければならない。後ろに走りながら自分のポジションニングとプレーを修正していく才能は持っているし、学習と適応は時間の問題であるはずだ。

マドリーはそのほか、サイドバックの後方にスペースを空けてしまう悪癖をどうにかしなければならない。彼らは前に出るときにインサイドのレーンを閉じず、サイドのカバーが間に合わなくなっている。結局、マドリーが相手の攻撃を防げるのかどうかはセンターバックの活躍次第にかかっている、というのが現状だ。ここ最近はミリトン、リュディガーの活躍が顕著で、対してアラバは落ち込み気味。ペナルティーエリア含めて低い位置で守るとき、アラバが断固とした覚悟で実行するプレーが見られなくなったことは、今季のマドリーにとって大きな痛手だ。同様に、彼らは相手のセットプレー戦術にもずいぶんと苦しめられている。

■分析しても無駄なのか?

karim-benzema-liga-202210116Getty Images

マドリーがもっと自分たちに厳しくならなければならないのは、明らかのように思える。彼らはもっと良いチームになれるはずだし、それが昨季のラ・リーガ&チャンピオンズリーグ優勝に続く、新たな成功への道となるはずだ。チャンピオンズ敗退が濃厚となり、気落ちしているバルセロナとのクラシコから、その道を歩み始めるのも悪くないだろう。

マドリーのプレーには向上の余地があり、その気になればあらゆる疑いを払拭することだってできる。……とはいえ、それも結局は盤上での戯言なのかもしれない。何となれば、彼らの絶対的勝者でありたいという欲求は、どんな状況にもかかわらず、何よりも物を言ってしまうのだから。彼らは相手の一瞬の隙、自分たちの一瞬の度胸、一瞬のプレー精度だけで、状況もスコアもひっくり返してしまう。それは俯瞰で見る戦術ボードでは確かめられないものだ。

彼らが成功をつかむまでの過程はほかのどんなチームとも異なり、その勝因についても、ほかのどのチームにも当てはまらない。レアル・マドリーはフットボールの一般的な論理とともに歩んではいない。だから私たちは、彼らのやっていることにはおそらく価値がある、と言うしかないのだ。

正直、彼らのことはどれだけ分析しても、よく分からない。フットボールそのものだ。

関連記事

【プレビュー】今季最初のエル・クラシコは天王山。ラ・リーガの優勝占う大一番に

DAZNについて

DAZNなら好きなスポーツをいつでも、どこでもライブ中継&見逃し配信!今すぐ下の記事をチェックしよう。

● 【番組表】直近の注目コンテンツは?
● 【お得】DAZNの料金・割引プランは?