レアル・マドリードがもし今夏にパリ・サンジェルマン(PSG)FWキリアン・エンバペの獲得を目指す場合、巨額の費用が必要となるようだ。スペイン『マルカ』が報じている。
エンバペの母親ファイザ・ラマリさんとその弁護士たちは、PSGに対して契約延長オプションを行使することなく、契約が終了する2024年にクラブを退団する意思を示した。その決定に憤るPSGは今夏にもフランス代表FWを売却する考えとみられるが、選手側は来季終了までパリでプレーし続けることを固持している。そこには金銭的な要因があるようだ。『マルカ』は、以下のように説明している。
エンバペがPSGで受け取る年俸はグロスで7000万ユーロ(所得税などを差し引いたネットで3500〜4000万ユーロ)で、さらに二つのボーナスが付与される。一つは契約ボーナスの6000万ユーロ、もう一つは市場が閉まる度に受け取ることができる忠誠ボーナスの6000万ユーロで、エンバペはその二つを合わせてグロスで1億2000万ユーロ、ネットで6500万ユーロを手に。つまりPSGはエンバペに毎シーズン2億ユーロを支払い、エンバペは所得税などを差し引いて約1億ユーロを手にしている(『マルカ』はこの巨額の税収があるために、エマニュエル・マクロン大統領がエンバペを留めようと働きかけるのは当然のことという見解を示し、加えてPSGがスペインやイギリスなどと比べてフランス・フットボールが税制で不利を被っていると不満を述べていることも紹介している)。
もしエンバペが今夏に移籍をする場合には、以上の額をあきらめる必要が生じる模様。というのも、レアル・マドリードに同様の額を支払う考えは毛頭ないようだ。加えてエンバペは今夏の移籍で、PSGで受け取る金だけでなく、フリー移籍で受け取れるはずの移籍ボーナスも失うとみられる。例えば昨夏、PSGと契約切れのエンバペ獲得を実現しようとしたレアル・マドリードは、年俸としてネットで2500万ユーロを用意していただけでなく、移籍金が必要ないために1億3000万ユーロのボーナスを選手側に支払う考えだったとされる。
こうした状況により、レアル・マドリードにとって今夏のエンバペを獲得は、ほぼ実現が不可能なオペレーションであるという。もしエンバペが手にできるはずの金額をあきらめず、PSGが昨季同選手に支払った2億ユーロを移籍金として求めるとすれば、レアル・マドリードは移籍金や年俸、ボーナスなどで、今季エンバペのために約4億ユーロ(約631億円)を支払う計算になるためだ。
ただし『マルカ』は、時間がレアル・マドリードに味方しているとの見解も示す。もしエンバペが市場が閉鎖する直前に移籍すれば、PSGは7〜8月の給与として1200万ユーロ、7月支払いの契約ボーナス6000万ユーロと、合計で7200万ユーロの支払い義務が生じるとのこと。このためにPSGがどうしても今夏にエンバペを放出(売却)したいならば、できる限り早く動くことが最善となり、また来夏フリーでエンバペを獲得したいレアル・マドリードに今夏の獲得を了承させるため、移籍金額を大きく引き下げる必要もありそうだ。
とはいえ、そうした妥協をしたことのないPSGだけに、やはり今夏のエンバペ移籍はないと見るのが妥当だろうか。果たしてエンバペは来季、スペインとフランスのどちらの首都でプレーしているのだろうか……。
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