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【コラム】久保建英がソシエダでプレーし続けるべき理由は?「主役を張れるチームにいてこそ彼はさらに成長できる」 | ラ・リーガ

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【コラム】久保建英がソシエダでプレーし続けるべき理由は?「主役を張れるチームにいてこそ彼はさらに成長できる」 | ラ・リーガDAZN
【欧州・海外サッカー ニュース】久保建英にとってレアル・ソシエダ(ラ・リーガ)は、あらゆる面でマッチするチームだったようだ。

久保建英が決断した未来は、じつに心が踊るものだ。今季、完全に羽化した日本人選手は、その理由となったレアル・ソシエダと少なくともあと1年の間一緒にいることを決めた。久保とラ・レアル(の選手たち)はフットボール的な相性がまさに完璧で、今季そうだったように、来季もともに成長を果たしていくのだろう。

久保の耳には間違いなく、レアル・マドリー含めた欧州を代表するクラブからの興味が届いていたはず。しかしサン・セバスティアンでプレーし続ける以上に賢い選択肢はなかったろう。現在の彼に必要なのは、その急激な成長のペースを鈍化させぬよう、可能な限り主役となれるチームでプレーすることにほかならない。プレースタイルや選手の扱い方について明確な哲学を有するラ・レアルは技術、戦術、感情というすべての面で久保にとって理想的であり、加えて来季はチャンピオンズリーグ(CL)という新しくも彼にふさわしいハードルに挑戦できるのだ。

takefusa-kubo-real-sociedad-20230129久保とラ・レアルの理想的な関係Getty Images

ラ・レアル加入当初、まさに水を得た魚になったと形容された久保は、今なお勢いよく泳ぎ続けている。彼はおそらくバルセロナの下部組織でショートパスや壁パスなどの細かい連係を叩き込まれ、それを自分の強みとしてきた。が、リーガでは今季までその強みを活かせる居場所と縁がなかった。ラ・レアルでスビメンディ、ブライス・メンデス、ミケル・メリーノ、そして“マスター”シルバと、同じフットボール言語を話す選手たちに出会うまでは。

自身の技術に応じられる仲間を手にした久保だが、味方が彼を良くするだけでなく、彼自身もさらなる成長を果たしたのは間違いない。とりわけ、クロスとシュートの技術はずいぶんと向上している。合わせる選手の動きをよく見て、より良いタイミングでクロスを送るようになったし、シュートも力強さと“ボールを枠内に置きに行く”感覚が強まった。アルメリア戦のコントロールシュートは、まさに成長の証と言えるのだろう。

クロスやシュートの精度を高めたことで、久保は選手としてのクラスを一気に引き上げている。相手にとって技術的に厄介なだけでなく、いつどんなときにも致命傷を与えてくる存在になったのだから。

加えて、久保は今季に入ってポリバレント性すら発揮するようになった。基本的にはサイドの選手で、内に切れ込んでいける右サイドを得意としている彼だが、ラ・レアルではセカンドストライカーとして新たな動きを体得している。今季の久保は相手DFとMFのライン間でプレーするだけの選手ではなくなり、センターバックとサイドバックの間のスペースを突いたり、2列目からの飛び出しでゴールを狙うようになった。ラ・レアルはボールを保持したプレーだけでなくトランジションからの攻撃も重視しているが、久保はそのどちらでも鍵を握ることができる。

■何よりも目を見張るのは感情面の変化

そして、久保について何よりも強調したいことは、感情面の変化にほかならない。人生は自信を持つことがすべてと言えるが、久保はラ・レアルに加入してからすぐにその自信という感情を手にしている。フットボール的な進化や成長は、彼がそのプレーから感じさせる自信や落ち着きと切っても切り離すことができない。彼は空回りではない確かな自信を手にしているからこそ、より良い判断ができ、より良いプレーを見せられているわけだ。

ラ・レアル加入初日から指揮官イマノル・アルグアシルの信頼を得た久保は明らかにモチベーションが高く、マジョルカ、ビジャレアル、ヘタフェ時代よりもプレーを楽しむことができている(バスクダービーでゴールを決めた際の喜びようと言ったら!)。彼はラ・レアルで、間違いなく幸せだ。その気持ちはピッチ上でしっかりと反映されている。

2023-05-03-kubo-real■獅子の尻尾よりも鼠の頭になった方がいい(C)Getty Images

久保は今季、大きな飛躍を果たしている。ラ・リーガのMOM(マン・オブ・ザ・マッチ)には9回選出……ロベルト・レヴァンドフスキ、アントワーヌ・グリーズマンの7回を上回って最も多くの試合で主役になった。またソシエダの13ゴール(9得点4アシスト)に直接的に絡んだだけでなく、30回も決定的なチャンスを創出。ラ・リーガを代表するクラック(名選手)の一人になったと言っても大袈裟ではないだろう。

久保はまだ成長の途中であり、将来的にはラ・レアルという器に収まり切れなくなる可能性もある。だが成長するための完璧な環境はラ・レアルにこそある。少なくとも来季は、CLにも出場できて新たな経験も積めるのだから。スペインには「獅子の尻尾よりも鼠の頭になった方がいい」ということわざがある(日本では“鶏口となるも牛後となるなかれ”)。久保の現状は、まさにそれなのだ。

文=ハビ・シジェス/スペイン紙『as』副編集長
翻訳=江間慎一郎

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