議論の対象となったのはJ1第14節・ベガルタ仙台対アビスパ福岡の後半アディショナルタイムのシーンだ。
福岡がセンターサークル付近からリスタートし左サイドへと展開。DF志知孝明のクロスのこぼれ球をゴール前にいたFW渡大生が蹴り込んだ。その直後はオフサイドの判定となったがVARオンリーレビューの結果、こぼれ球は仙台のMFフォギーニョに当たっているためオフサイドは取り消されゴールが認められた。
この場面においては複数の論点が考えられるが、まず1つ目の論点は渡のポジションがノットオフサイドだったかどうか。仙台のMFフォギーニョがラストタッチしていることは明らかであるが、それが意図的にプレーしているかどうかが判断材料の1つとなる。
これに対して原博実氏は「意図的ではないよね。ボールが自分の頭を越えてどうなるか振り返ったときに自分に当ってしまったという反応に見える」と見解を示し、JFA審判1級インストラクター奥谷彰男氏も「あの至近距離からあの強さのボールにプレーしたようには見えないので当たってしまったと考えるのが正解」と続いた。
そこで次のポイントとして挙げられるのがフォギーニョに当ったボールがどこから出てきたか。映像をよく見ると、福岡のFWファンマと仙台のDF吉野恭平が競り合い、吉野の頭に当っていることが確認できる。その結果、渡のプレーはノットオフサイドで意見が一致。それに加え、吉野がクリアした時点では、渡はオフサイドラインよりも手前におり、そもそもオフサイドは成立しないという結論に至った。
その結論を踏まえ、2つ目の論点として話し合われた事象はオンフィールドレビューが行われなかったこと。原氏は「単純にオフサイドラインを出ていたか、出ていないかだけでなく、意図的なプレーか、どっちに当ったかなど複雑な要素が絡んでいたのでオンフィールドレビューで確認した方が納得性はあったと思う」と意見を述べた。
この意見に対し奥谷氏は「オフサイドは出ている、出ていないのファクトであり、その次に考えられる誰が触ったかという点も、レフリーの主観ではなく、福岡の選手なのか、仙台の選手なのかファクトですよね。そして、最後にフォギーニョ選手のプレーが意図的かどうかが論点になりますけど、主審はVARに自分の見解を伝えているはずです。そこで『プレーとみなさない』と主審とVARの間で意見が一致していればオンリーレビューで問題ないと思いますね」と一連の流れを説明した。
そして、最後3つ目の論点として挙げられたのがリスタートの位置とボールが止まっていたかどうか。この場面に対してVARが介入されなかったことについて奥野氏は「APP(ATTACKING POSSESSION PHASE)がどこまで遡るのか」がポイントになると説明し「今回、APPは志知選手のクロスのところまでは遡ると思います。仮にFKまで戻したとしてもポイントの違いやボールが動いていることに関してVARはルール上介入できない」と明かした。
後半アディショナルタイムの決勝点と時間帯や試合状況が難しい場面でもあり、判定に多少の時間を要してしまったが、奥野氏は「VARの人たちが1つずつ丁寧にチェックした成果だと思います。これからも正確にやることが大事だと思いました」と総括した。
Jリーグジャッジリプレイ
- 配信:DAZN
- 配信日:毎週火曜日
- MC:桑原学
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