エラーコード %{errorCode}

AFCアジア最終予選

【W杯最終予選 連載インタビュー・2002編】「盛り上がりが異常だった」。稲本潤一が振り返る伝説の2得点、日韓ワールドカップの影響、そして最終予選| サッカー日本代表

原山裕平
【W杯最終予選 連載インタビュー・2002編】「盛り上がりが異常だった」。稲本潤一が振り返る伝説の2得点、日韓ワールドカップの影響、そして最終予選| サッカー日本代表DAZN
【日本代表・インタビュー】いよいよ大詰めを迎えるFIFAワールドカップ2022アジア最終予選。3月24日に行われるオーストラリア代表戦は、日本代表にとって本大会出場権を懸けた大一番、まさに世界への挑戦権をつかみ取るためのビッグマッチとなる。では、果たして先達の日本代表選手たちはどのような想いで最終予選、そしてワールドカップに臨んでいたのだろうか。

▶▶▶DAZNの詳細をチェックする◀◀◀

世界との邂逅、手応え、後悔、そして未来に託したいバトンについて語ってもらった全6回のインタビュー連載『この一戦にすべてを懸けろ』。今回は2002年の日韓大会で2得点をあげ国民的ヒーローとなった稲本潤一選手に話を聞いた。

――日本中が熱狂した2002年の日韓ワールドカップから、早いもので20年が経ちました。当時、どのような想いでこの大会に臨んでいたのでしょうか

本音を言うと、当時はワールドカップの価値をあまり理解していなかったんですよね。1999年にワールドユースがあって、2000年にシドニーオリンピックがあって、シドニーが終わったあとにA代表に入って、すぐにワールドカップが来たので、正直に言って何も考えていませんでした(笑)。予選もありませんでしたしね。

――予選がなかったことは、チームを強化するうえで影響はなかったのでしょうか

それも考えたことはなかったですね。シドニーオリンピックでは予選を経験しましたけど、簡単に突破できましたから。予選の厳しさは、次のドイツ大会の時に初めて理解しましたけど、予選がなかったから良いか悪いかの話ではなく、2002年大会に関して言えば、予選のことや大会の価値もほぼ何も考えず、自由に、元気よく、勢いだけでやっていた感じですね。

――2000年に日本代表に入ってからも、ワールドカップのことはあまり意識していなかったのですか

もちろん出たいとは思っていました。当時のトルシエ監督は、今では考えられないですけど、U-20、オリンピック、A代表と3世代の代表を見ていたので、僕のことをよく知ってくれていましたし、可能性はあるなとは思っていました。初めて代表に入ってからは、このままワールドカップに出たいという想いを持ってサッカーをしていました。

――メンバー発表の時は、どんな心境でしたか?

記憶にないんですよね。その時はアーセナルにいたので、発表は見ていなかったと思います。誰かから聞いたんじゃなかったかな? ただ、落ちるイメージはなかったですね。

――自国で開催されるということについては、どう感じていましたか

それも、よく分かっていなかったんですよ(笑)。日本でワールドカップが開催されることが、どれだけすごいことなのかってことを。ただ盛り上がりはすごかったですね。それこそコンビニに行くだけで人が集まってしまうので、隠れるように連れて行ってもらったこともありました。新幹線で開催地に行く時も、駅を降りたら本当にたくさんの人たちが待っていたり、どこに行っても人が集まって来たので、その盛り上がりの凄さは驚きでしたね。

――その注目度の高さをどう受け止めていましたか。プレッシャーになったり?

いや、嬉しかったですよ。当時は親善試合でも国立が満員になるくらいにお客さんが入ってくれていましたし、ちょっと嫌味に聞こえるかもしれませんが、注目されることに慣れていましたから(笑)。だからその状況は嬉しかったし、プレッシャーを感じることはなかったですね。

――初戦のベルギー戦でも、緊張することはなかったですか

もちろん周りの期待であったり、日本中の盛り上がりを目の当たりにしていたので、試合前は多少緊張していましたけど、試合が始まってしまえば、平常心でプレーできました。

――そのベルギー戦では、1-1の状況から勝ち越しゴールを決めました。あの大会のハイライトとも言えるシーンでしたが、改めてあの得点を振り返ると?

自分の特長を出せた得点だったと思います。あの時は戸田(和幸)さんとボランチを組んでいたんですが、戸田さんも含め周りの選手たちが、僕が攻撃的に行けるようにフォローしてくれていました。あの時も、ボールをカットして、そのまま前に走ったらパスが出てきた。自分の持ち味を出せた得点でしたし、すごく気持ち良かったのを覚えています。

――そして続くロシア戦では、日本に記念すべきワールドカップ初勝利をもたらす決勝ゴールを決めました

あれは後半の早い時間帯だったんですが、自分でも不思議なんですけど、なぜボランチの僕がペナルティエリアの中にいたのか(笑)。手前でボールを取られていたら、カウンターを食らってしまうような場面でしたから、リスクはあったと思いますよ。ただ、ベルギー戦も柳沢(敦)さんからのパスで、ロシア戦も柳沢さんからのパスだったんですけど、すごく良好な関係を築けていたので、柳沢さんにパスが入った瞬間、ワンタッチでくるだろうなと思っていました。実際に来た瞬間は、トラップさえミスらなければ、ゴールを取れるなと。だから慎重にトラップしたのを覚えています。

――世界の大舞台で2点も決める自身の姿を、大会前に想像できていましたか?

もちろんヒーローになりたい気持ちはありましたけど、そこもワールドカップの価値が分かっていなかったのが良かったのかなと。今思えばすごいことだと思いますけど、シドニーの時も取っていたので、あの時も普通というわけではないですけど、それほど特別なことだとは思いませんでしたね。価値を分かっていなかった分、気負わず、無心でやれたのかなと思います。

――次のチュニジア戦にも勝利し、日本は決勝トーナメントに進出しました。しかし、ラウンド16のトルコ戦に敗れ、大会を去ることになりました

僕自身前半で代えられていますし、その前のチュニジア戦も前半で代えられたので、この2試合に関してはあんまりいい記憶はないですね。トルコ戦に関して言えば、それほど調子も悪くなく代えられたので、そこに対するストレスはありました。チームとしてもCKから1発やれたんですが、それ以外危ないシーンもなく、あっさりと負けてしまったなと。本当にもったいないゲームだったと思います。

――敗退が決まった時は、どのような想いだったのでしょうか

もちろん消化不良だったし、僕自身2点取りましたけど、取った2試合以外はふたつとも前半で代えられたので、負けたことよりも、その悔しさのほうが残りましたね。ベスト16まで行けたということに対しては、満足はしていませんけど、最低限の結果を残せたとは思っています。日本国内でもベスト16まで行ったことを称えてくれる空気にもなっていましたし、めちゃくちゃ悔しい感じではなかったのかな。ただ20年経った今振り返ると、もっと上に行けたなと思いますし、やっぱりトルコ戦の敗戦はもったいないなとは思っています。

――あの大会を振り返った時に、一番印象に残っていることは?

日本中の盛り上がりが異常だったなと思いますね。試合会場もそうですけど、渋谷のスクランブル交差点がお祭り騒ぎになったりして。たぶんあの大会からですよね、イベントがあると渋谷に人が集まるようになったのは。サッカーであれだけの人の心を動かせるのはすごいと思いましたし、ワールドカップの価値が分かった大会でした。遅いんですけど(笑)

――影響力がすごかったですよね

今も言われますからね。そのあと2回ワールドカップに出ていますけど、あの大会のことしか言われませんから。すごい影響力だったと思います。

――そういう意味で日韓大会は、出場したほかの2大会と比べても、特別な大会でしたか?

稲本潤一という名前を世界の人に知ってもらえた大会でしたし、大会の後にイングランドに帰ってからも、ワールドカップのことを言ってもらえる機会は多かったですね。僕自身あの大会を経て、もっと試合に出たい意欲が強くなりました。アーセナルともう1年レンタル契約を結べたんですけど、試合に出たい気持ちがあったので、フルアムに移籍することにしました。あの大会をきっかけに、いろんな出来事が変わっていきましたね。

――日本サッカー全体にも、大きな影響を与えた大会だったと思います

それまでサッカーに触れてこなかった人たちが触れることができた大会ですし、サッカーを好きになってくれる人も増えたと思います。サッカー人口は間違いなく増えたと思いますし、子どもたちにサッカー選手になりたいという希望であり、夢を与えられた大会だったかなと思います。

――初勝点、初勝利、そして初の決勝トーナメント進出と、歴史を作った大会でもありました

あれが3戦全敗だったら、やばかったと思いますからね(笑)。ベスト16まで行けたことが次につながっていると思いますし、今ではワールドカップに出るのが当たり前にもなってきています。当時の代表は、僕も含めて海外組が3、4人しかいませんでしたけど、今の代表はほぼ海外組で、レベルは間違いなく上がっていると思います。何よりファンの見る目が明らかに肥えてきているなと思いますね。今だったらトルコに負けた時、もしかしたら叩かれているかもしれない。歴史を積み重ねるなかで、サッカーのレベルの向上とともに、日本代表を取り巻く環境だったり、見る目も変わってきているなと感じます。

――最終予選を戦っている現在の日本代表を、どのように見ていますか

最初に躓いたことによって危機感を感じて、そこからの連勝だと思うので、土壇場になると日本は強いなと改めて思いました。その力を初戦から持っていけるかどうかが、もしかしたらワールドカップに出た時の課題なのかなとも感じます。おそらく次のオーストラリアに勝てれば出場は決定的になると思うので、その先のこと、ワールドカップでベスト8を目指すのであれば、今の危機感緊を忘れずに本大会に行ってもらえたらと思います。

――日韓大会では予選がありませんでしたが、稲本選手はその後の2大会で予選経験をされています。予選を勝ち抜くために必要なものは何だと考えますか

精神的なところなんじゃないですかね。選手のレベルは申し分ないので、精神的な部分だと思います。異なる環境の中でどう戦うかというのも重要ですけど、やっぱり気持ちの部分が大きいのかなと。だから、追い込まれた時のほうが力を出しやすいんでしょう。ただ、それはそれで課題なのかなと思います。

――確かに過去のワールドカップを振り返っても、日本の場合は、評価が低い時のほうが結果を出していますよね

南アフリカの時も、ロシアの時も前評判は良くなかったですから。今のワールドカップ予選でも、内容が悪くて叩かれていますけど、選手たちはそれを力に代えて戦っていると思います。もしかしたら、ずっと叩かれていたほうが強いんじゃないかなと。でもそれだとダメなんでしょうね。追い込まれなくても力を出せないといけないでしょうし、そこをクリアにすることが、ベスト16の壁を超えていくことにつながっていくのかなと思いますね。

――決戦となるオーストラリア戦では、どういった点に注目していますか

オーストラリアは勝つしかない状況なので、確実に攻めてくると思います。向こうのホームですしね。それに対して、強度の高いプレーを続けることが重要だと思います。おそらく後ろでブロックを敷いて、カウンターを狙う戦術はとらないと思います。勝ちにくるチームに対して、しっかり攻撃を仕掛ける部分、闘う部分、その積み重ねが結果につながると思います。

文・インタビュー 原山裕平

この一戦にすべてを懸けろ 関連記事

●  1998フランス・ワールドカップ/井原正巳編
●  2002日韓・ワールドカップ/稲本潤一編
●  2006ドイツ・ワールドカップ/玉田圭司編
●  2010南アフリカ・ワールドカップ/駒野友一編
●  2014ブラジル・ワールドカップ/内田篤人編
●  2018ロシア・ワールドカップ/乾貴士編

DAZNについて

DAZNなら好きなスポーツをいつでも、どこでもライブ中継&見逃し配信!今すぐ下の記事をチェックしよう。

●  【番組表】直近の注目コンテンツは?
●  【お得】DAZNの料金・割引プランは?