1月12日に開幕したテニス・グランドスラムの一つ、全豪オープン。男女シングルスはすでに4回戦まで進んでいるが、車いす部門は21日からスタートする。車いすテニスの男子シングルスには、日本からは3選手が本戦にストレートイン。優勝候補筆頭の小田凱人を中心に、車いすテニスの男子シングルスを展望していく。
■数々の最年少記録を塗り替えたパラリンピック王者
ディフェンディングチャンピオンとして今大会に臨む小田。2023年に飛躍を遂げ、2024年のパリオリンピックで一気に車いすテニス界のアイコンとなった18歳だ。
ジュニア時代からすでに世界を股にかけて戦い、14歳でジュニアの世界ランキングで1位に。16歳23日で全仏オープンに出場し、グランドスラムへの最年少出場記録も塗り替えた。2023年は全豪オープンに初出場して準優勝。その後、全仏オープンでグランドスラムにおける史上最年少優勝を達成し、ウィンブルドンでも連勝を飾った。同年には最年少での世界ランキング1位も達成した。
そして2024年は全豪オープンで初優勝を飾り、続く全仏オープンでも連覇を達成。ウィンブルドンではマルティン・デ・ラ・プエンテ(スペイン)に敗れて準決勝敗退を喫したが、パリオリンピックで優勝し、同種目の最年少金メダリストに。テニス愛好家のみならず、日本、そして世界に「Tokito Oda」の名前を知らしめた。
2024年の小田はツアー大会やパリオリンピックなど48試合を戦い、敗れた数はわずか3試合。勝率94パーセントと圧倒的な数字を残した。2025年に入ってからも、前哨戦のメルボルンオープンで優勝。全豪オープン連覇に向けて、これといった隙は見当たらない。年間グランドスラム達成への挑戦も視界に入る1年になりそうだ。
■ライバルたちとの対戦成績は?
2025年の全豪オープンには、もちろん第1シードとして出場する。初戦で対戦するのはワイルドカードで出場するアンダーソン・パーカー。世界ランキング35位のオーストラリア出身選手だ。両者にとって今回が初対戦となる。
初戦を勝ち上がれば、準々決勝は同12位の眞田卓との日本人対決となるか。これまでの対戦成績は小田の5戦全勝となっている。
準決勝で立ちはだかるのが、同3位のデ・ラ・プエンテ。2024年に喫した3敗のうち、1つがデ・ラ・プエンテとの対戦だった。対戦成績は小田の12勝2敗。前述のとおり2024年のウィンブルドンで敗れたが、メルボルンオープンの準決勝ではきっちりリベンジを果たした。ハードコートに限れば6戦全勝としており、相性は決して悪くない。
そして決勝での対戦が見込まれるのが、同2位のアルフィー・ヒューエット(イギリス)。これまで18度対戦した小田にとってのライバルだ。パラリンピック決勝での激闘を覚えている人も多いだろう。2024年の残りの敗戦の2つがヒューエットとのものだった。
対戦成績は小田の10勝8敗、勝率56パーセントと拮抗している。ハードコートでは6勝8敗と負け越しているが、小田のキャリア序盤での対戦がほとんど。ただし、直近の黒星二つは2024年2月から3月の2連戦で、いずれもハードコートだった。
直近の対戦に限れば、パリオリンピックを含めて現在まで小田が5連勝中だ。内訳はクレーコートで2勝、ハードコートで3勝。また、直近の3試合はファイナルセットでの決着となっている。小田の勝負強さを示す数字でもあるが、実力が伯仲している証でもあるだろう。全豪オープンの決勝でもエキサイティングな試合が見られそうだ。
2025年最初のグランドスラムに挑む小田。連覇に向けた挑戦が、21日に幕を開ける。