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テニス

圧倒的だったシナー、錦織圭やモンフィスの奮闘、新世代の台頭…2025年の全豪オープンを振り返る

DAZN NEWS
圧倒的だったシナー、錦織圭やモンフィスの奮闘、新世代の台頭…2025年の全豪オープンを振り返る(C)Getty Images
1月12日に開幕した全豪オープンテニスは、26日の男子シングルス決勝をもって幕を閉じた。今年も新たな名勝負や記録が誕生。ヤングスターの台頭やベテランの奮起も大会を彩った。男子シングルスについて、15日間におよぶグランドスラムの熱戦を改めて振り返ってみたい。

■圧倒的な強さを見せたシナー

大会を終えた今、多くのテニスファンの中に残っているのは「シナー、やっぱり強いな」という感想ではないだろうか。世界ランキング1位、ディフェンディングチャンピオンとして今大会を迎えたヤニック・シナー(イタリア)は、鮮やかに男子シングルス連覇を飾った。

まさに圧倒的だった。初戦から決勝までの7試合で、落としたセットは2つのみ。アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/2位)との決勝を含めて、5試合でストレート勝ちを収めた。

ズベレフは決勝後のスピーチで「もっといい試合がしたかったけど、君が強すぎた」とシナーを称賛。記者会見でも「ハードコートにおける世界最高の選手」と褒め称えるほど、その実力は抜きん出ていた。

ズベレフに加えて、カルロス・アルカラス(スペイン/3位)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア/7位)がひしめく反対側の山と比較すると、ドローに恵まれた点は否定できない。それでも、開催地オーストラリア出身で、世界ランク8位のアレックス・デミノーを6-3、6-2、6-1と一蹴。さらにズベレフを6-3、7-6(4)、6-3のストレートで下せる選手は、彼以外に見当たらないのではないか。

これで2024年の全豪オープンと全米オープン、そして今大会と、ハードコートで行われるグランドスラムで3連勝中。ハードコートキングと言って差し支えないだろう。今年はまだ手にしていない2つのグランドスラム、全仏オープンとウィンブルドンを本格的に狙う1年になるか。やはりライバルは昨年にその2つを制したアルカラス、誰よりもグランドスラムを知る男・ジョコビッチ。今大会では実現しなかったが、シナーが極限まで追い詰められるような、ヒリヒリした試合が楽しみでならない。

■ジョコビッチvsアルカラスの激闘

アルカラスとジョコビッチが激突した準々決勝は、今大会のハイライトとなる試合だった。アルカラスにとってはキャリアグランドスラムが、ジョコビッチにとっては11度目の全豪オープン制覇と通算100勝目がかかっており、どちらも実力、モチベーションは十分。激しいラリーの応酬が続く中、先手を取ったのはアルカラスだった。

第1セット終盤から、ジョコビッチは左足の負傷により動きが鈍くなっていた。しかし、メディカルタイムアウトを経て、粘り強い持ち前のテニスが復活。アルカラスの強打を跳ね返し、ミスを誘い、カウンターを刺していった。まさに王者の戦いで、新進気鋭の21歳に逆転勝利。37歳という年齢が、ただの数字であることを見せつけた。

ただし勝利の代償は大きく、準決勝のズベレフ戦では、第1セットを終えた時点で棄権。試合後、アルカラスとの対戦で筋断裂を負っていたと明かした。無念のリタイアとなったが、多くのファンがジョコビッチの強さを再確認したはず。コンディションさえ整えば、今後のグランドスラムでも優勝候補の一角を占めることは間違いないだろう。

アルカラスのキャリアグランドスラム達成はお預けとなったが、今後は全仏オープンの連覇、ウィンブルドンの3連覇という目標が待っている。また、シナーとの対戦成績は6勝4敗と勝ち越しており、直近3試合は全勝。世界1位に君臨するシナーの挑戦者という点からも、これからの活躍が最も楽しみな選手だ。

■ニュージェネレーション

今大会では新たな若手選手の台頭も目を引いた。大きな話題となったのが、18歳のジョアン・フォンセカ(ブラジル)。世界ランキングは112位で、予選を勝ち上がって自身初となるグランドスラムの本戦出場をつかんだ。1回戦で同9位のアンドレイ・ルブレフと対戦すると、強烈なフォアハンドを武器にストレート勝ち。予想外のアップセットを起こし、多くのファンの心をつかんだ。

ラーナー・ティエン(アメリカ/121位)にとっても忘れられない大会になっただろう。フォンセカと同じく予選から本戦に出場。2回戦でダニール・メドベージェフ(同5位)と対戦し、フルセットの激闘の末に2021年の全米オープン王者を破った。4回戦でロレンツォ・ソネゴ(イタリア/55位)に敗れ準々決勝進出はならなかったが、ベスト16と自己最高成績を残した。

大会後に更新された世界ランキングでは、フォンセカが99位、ティエンが80位へとジャンプアップ。両者ともに自身初のトップ100入りを果たした。どのような成長曲線を描いていくのか、今後も注目して見守っていきたい。

■錦織圭&モンフィスも健在

ベテランの奮闘も今大会の見どころとなった。

38歳のガエル・モンフィス(フランス/41位)が健在ぶりをアピールした。1回戦で同郷の21歳、ジョヴァニ・ンペシ・ペリカール(30位)に勝利すると、2回戦ではダニエル・アルトマイアー(ドイツ/101位)に快勝。そして3回戦では、世界ランク4位のテイラー・フリッツ(アメリカ)に逆転勝利を飾った。

フリッツ戦後には、直後に同じコートで戦う妻のエリナ・スビトリナ(ウクライナ/27位)へ「彼女のためにコートを温めておいた」と粋なコメントも。スビトリナも同じく世界ランク4位のジャスミン・パオリーニ(イタリア)を撃破し、夫婦そろって世界ランク4位を下す記念すべき日となった。

35歳の錦織圭(74位)は、1回戦でチアゴ・モンテイロ(ブラジル/106位)と対戦。第1セット、第2セットを落として土俵際まで追い詰められたが、ここから錦織劇場の開幕だった。第3セットで2度のマッチポイントをセーブして、一つ奪い返す。ペースが落ちたモンテイロと対照的に、尻上がりにギアを上げた錦織。第4、第5セットを奪い、逆転勝利を収めた。

錦織はトミー・ポール(アメリカ/11位)に敗れて2回戦敗退となったが、大会公式Xもファイナルセットの強さを称賛。通算成績は29勝8敗、全豪オープンに限ると8勝1敗というスタッツを紹介し、「第5セットで錦織圭に勝利した人数より、月面を歩いた人間のほうが多い!」というユニークなキャプションで錦織を称えた。

近年の負傷の影響を感じさせないパフォーマンスを見せた錦織。完全復活を果たした今シーズンは、久しぶりにトロフィーを掲げる姿が見られるかもしれない。