五輪銀メダル、アジア5連覇の日本がW杯出場権を狙う
2月10日から13日までの日程で、『FIBA女子ワールドカップ予選2022』が行なわれる。今年の9月下旬にオーストラリアで開催されるワールドカップに向けた予選だが、大陸ごとの予選ではなく世界の16カ国が参加し、4つのグループに分かれてリーグ戦を実施して、各グループの上位3チームが本大会の出場権を得る方式。各大陸の上位チームが集まって戦うという意味では、予選というより1次リーグの色合いが濃い。
セルビア(ベオグラード)では2会場、他にはアメリカ(ワシントンDC)と日本(大阪)が開催地となる。大阪のおおきにアリーナ舞洲では、ホスト国の日本、世界ランク4位のカナダ、同11位のベラルーシ、同27位のボスニア・ヘルツェゴビナがリーグ戦を戦う。しかし、ベラルーシは国内でのトレーニングキャンプ中に選手とスタッフに新型コロナウイルスの陽性者、また体調不良を訴える者が多数出たために、日本行きを断念。出場を辞退することになった。
本大会への出場権をどうするかは協議の上で発表されるが、おそらく今回の試合結果とは関係なく、日本とカナダ、ボスニア・ヘルツェゴビナの3チームが本大会に進むことになりそうだ。言わば結果は問わない大会になるのだが、銀メダル獲得と望外の結果を出した東京オリンピックの後に新体制となった日本代表は、ワールドカップで勝つためにも今回の予選では良い内容のバスケが求められる。
東京オリンピックでチームを率いたトム・ホーバスは男子日本代表のヘッドコーチになった。女子日本代表の指揮を引き継いだのは、ホーバスの下でアシスタントコーチを務めた恩塚亨で、東京医療保健大のコーチとして長く女子のトップ選手を指導してきた経験を持つ。ホーバスは2016年のリオ五輪のメンバーに固執せず若手に多くのチャンスを与え、主力へと育ててきた。世代交代と強化を同時に推し進める方針を恩塚は引き継ぎ、さらに強力な流れにしようとしている。
個性派揃いの恩塚ジャパン
その若い世代を象徴するのが林咲希だ。2019年に初招集を受けた林は、状況判断の良さと走力、そして最大の武器であるクイックリリースの3ポイントシュートでアジアカップ優勝に貢献。この年の活躍をきっかけに日本代表の主力に定着すると、東京オリンピックでも印象的な活躍を毎試合のように見せ、銀メダル獲得に大きく貢献した。恩塚は、もっと実績のある年長者が数多くいるにもかかわらず林をキャプテンに指名。今の林は26歳にして名実ともにチームの中心選手、リーダーとなっている。
今大会でもう一つ注目すべきは、日本女子のトッププレーヤーである渡嘉敷来夢の代表復帰だ。アジアでも勝てなかった日本が世界レベルへと成長する上で、サイズと技術、強いメンタルを持った渡嘉敷の存在は欠かせないものだった。リオ五輪ではエースとして活躍し、アメリカのWNBAにも挑戦。その渡嘉敷は2020年の年末に右膝前十字靭帯断裂の大ケガを負い、東京オリンピックに間に合わなかった。それでも今回から代表復帰し、『日本の大黒柱』として長らくチームを支えてきた髙田真希との揃い踏みが実現する。
東京オリンピックでファイナル進出を果たした女子日本代表は、さらに上を目指して新体制で走り続けているが、『もう一つ上』の結果とは、世界最強のアメリカを倒さなければならないことを意味する。それとは別に、ここからは『追われる立場』となり、日本を倒そうと向かってくる世界の強豪を退ける必要も出てくる。
世界を相手に力試し
今回、ベラルーシの出場辞退は残念だが、カナダは2020年2月のオリンピック予選で、吉田亜沙美と渡嘉敷来夢を擁するチームで力負けを喫した相手。世界ランク4位の強豪だが、東京オリンピックではベスト8進出を逃してヘッドコーチが交代。今回のワールドカップでそのリベンジを期すべく、士気高く大阪へと乗り込んでくる。
ボスニア・ヘルツェゴビナは昨年のユーロバスケットで5位に躍進した急成長チーム。このチームを引っ張るジョンケル・ジョーンズは、昨シーズンのWNBAのMVP選手。198cmの長身でフィジカルも強く、インサイドの選手でありながらミドルジャンパーも3ポイントシュートも高確率で決める世界のトッププレーヤーの一人だ。
このカナダとボスニア・ヘルツェゴビナを相手に、日本代表がどんな戦いを演じるのか。東京オリンピックは終わったばかりだが、今夏にワールドカップ本大会が控えているとあって重要な2試合となる。無観客だった東京オリンピックと違い、今回はファンの前でプレーできるのも選手たちには良い刺激となっているようだ。
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