オリンピックを欠場した『日本のエース』渡嘉敷来夢が代表復帰
(C)JBA
9月22日にバスケットボールの女子ワールドカップが開幕する。リオオリンピックから続く女子日本代表の躍進は、昨年夏の東京オリンピックでは銀メダル獲得という、日本バスケの歴史に残る快挙へと至った。
トム・ホーバスが男子日本代表のヘッドコーチに転じ、アシスタントコーチだった恩塚亨が後任の指揮官となった。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックの影響で世界大会のスケジュールは大幅に変更。昨秋にはアジアカップ、今年2月にはワールドカップ予選と、新体制での準備期間が十分に取れないまま立て続けに負けられない大会を戦った。それでも準備不足を感じさせない戦いぶりで結果を出し、今回のワールドカップでも優勝候補の一角と見なされている。
東京オリンピックの登録メンバー12人のうち半分が入れ替わり、恩塚ヘッドコーチの下でプレースタイルも変わり、オリンピックのチームからの継続ではなく、新たな代表チームで世界に挑む戦いとなる。その新たな要素がオリンピックと並ぶ大きな舞台でどれだけ通じるかが、この大会の見どころだ。
オリンピックメンバーからは、WNBAに挑戦した町田瑠唯、引退した三好南穂、ケガの本橋菜子と林咲希に休養中の馬瓜エブリン、そして長岡萌映子が外れた形。これに代わる6人は渡嘉敷来夢、安間志織、馬瓜ステファニー、山本麻衣、吉田舞衣、平下愛佳となる。
渡嘉敷はヒザのケガで東京オリンピックを欠場したが、『日本のエース』としての存在感は健在だ。今年のワールドカップ予選になってようやく『日本の大黒柱』髙田真希との共演が実現。若いセンター、オコエ桃仁花の成長もあり、渡嘉敷は自分がすべてをやらなければいけないとは考えていない。サイズを生かしたディフェンスとリバウンドを含め「チームに求められることをやる」と渡嘉敷は意気込んでいる。もともと日本では敵なしの状態が続く渡嘉敷にとって、世界のトップ選手との対戦は大きなモチベーションとなる。オリンピックの分まで活躍してもらいたい。
相手に研究される立場になった日本代表、それでも勝つための策
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安間は昨シーズンからヨーロッパへと活躍の場を移した『海外組』だ。ドイツで結果を出し、今オフはイタリアへとステップアップが決まっている。パス主体の町田とはプレースタイルが異なるが、アグレッシブな守備と勝負強いオフェンスで、日本代表に新しい色をもたらすはずだ。
世代交代の象徴となるのは23歳のステファニーと22歳の山本で、東京オリンピックには5人制ではなく3人制バスケの日本代表として参加した。オリンピック出場権獲得までの過程も含め、3x3で世界のサイズと渡り合い、ギリギリの勝負を勝ち抜いてきただけに、年齢には見合わぬ国際大会の経験がある。恩塚体制になって5人制の代表に定着し、すでに結果を出しているだけに、代表のルーキーではなく大会の主役としての活躍に期待したい。
吉田はWリーグのシャンソン化粧品での活躍が認められてメンバー入りを勝ち取った。ガードとしてのプレーメークに3ポイントシュートと、これまでの三好の役割を託される。平下は最年少の20歳。こちらはケガの林に代わりシューターとして試合に大きなインパクトをもたらしてほしい。
トム・ホーバスの日本代表は粘り強いディフェンスから走り、3ポイントシュートで打ち勝つ、システマティックなバスケでオリンピックの銀メダルを獲得した。恩塚ヘッドコーチはそのスタイルを引き継ぎつつも、良い意味で壊そうとしている。決められたシステムを忠実に実行するホーバスのバスケが完成の域に達したからこそ、今度は選手個々の一瞬のひらめき、クリエイティビティを求めている。
個々が好き勝手にプレーしたのでは勝てるわけがないが、完成されたチームプレーを土台にできるから、選手のひらめきを加えられる。今の日本代表は世界のトップチームになり、対戦相手から事前に研究され尽くすことになる。それでも勝ち続けるには変化が必要で、その変化を恩塚ヘッドコーチは世代交代とクリエイティビティに求めようとしている。その試みがワールドカップでどんな結果を生むのか、楽しみな大会が幕を開ける。
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