ライバルたちが共有する『徹底した日本バスケ対策』
女子ワールドカップは大会5日目。ここまで1勝2敗の日本代表はフランス代表を相手に奮闘したが、終盤に振り切られて53-67の敗戦を喫した。
日本代表の先発は宮崎早織、東藤なな子、赤穂ひまわり、髙田真希、渡嘉敷来夢と昨日のカナダ戦と同じ5人。序盤にペースを握りたかったが、互いにシュートタッチが良くない中でもフランスはタフショットをねじ込んで得点を伸ばすのに対し、日本のシュートはリングに嫌われた。
試合後に恩塚亨ヘッドコーチが「ディフェンスではぶつかってスピードが出ないようにしてくる。オフェンスも戦術を使ってマークをはがすよりもハンドラーが悠々とボールを持って、最後はアイソレーションで1対1とか能力勝負をしてくる」と語ったように、相手の『日本対策』はセルビア、カナダ、フランスと共通しており、東京オリンピックの躍進から日本のバスケが徹底的に研究され、対策されているのがわかる。
第1クォーター中盤から6分間、日本は無得点。この間、フランスは3ポイントシュートが1本も決まらないにもかかわらずインサイドの得点だけでリードを広げていった。
ただ、日本はオフェンスが機能しなくてもディフェンスに集中して相手のイージーシュートを許さず、我慢の時間帯にダメージを最小限に抑えて第2クォーターに反撃に転じる。フランスはインサイドの攻めに対してヘルプに寄らず、キックアウトからの3ポイントシュートを打たせないディフェンスを敷いていたが、これを東藤や赤穂、馬瓜ステファニーが強気のアタックで個人で攻め切ることで点差を詰めていった。
こうして流れを引き寄せた日本は第3クォーター途中に追い付くが、『日本対策』を徹底するフランスを逆転することができない。そして第4クォーター開始早々、渡嘉敷と髙田のコンビネーションで素晴らしい得点を挙げたのだが、ここから7分以上得点が生まれず、フランスに圧倒された。
悔しさを噛み締める渡嘉敷来夢「自分自身に自信がないわけじゃない」
終盤のブラックアウトは、恩塚ヘッドコーチによればオフェンスリバウンドからの失点と、チャンスで焦ってボールを失うミスによってチームが流れに乗れなかったのが原因。リバウンドについては相手の高さとパワーを前にスタミナが切れてしまった面が大きい。一方でミスについては、イージーな速攻の場面でもシュートまで持っていけないなど、普段ならあり得ないミスがいくつも出た。
恩塚亨ヘッドコーチは頻発するミスについて、「技術が足りなかったのか。相手がうまかったのが、心理的に動揺しちゃったのか、いろんなな要因があると思うんですけど、自信を持って選手ができるように力になりたい」と、選手を責めるのではなく寄り添おうとした。
宮崎がスピードに乗ったドライブからのレイアップで久々の得点を決めた時には、残り2分を切って63-48と勝負は決していた。最終スコアは53-67、これで日本は1勝3敗となった。
渡嘉敷は5得点6リバウンド、奮闘したものの結果には結び付かなかった。久々の代表復帰で、トム・ホーバスが築き上げて恩塚が高めようとしている日本のスタイルへの習熟度に課題があり、ストレスを感じるのも無理はない。テンポを速くして3ポイントシュートを主体とするスタイルに合わせて黒子役に徹しているが、「自分にもっとボールを集めてくれれば」との思いがあるのは当然だ。
「3ポイントが多いので、それがファーストオプションなのかなというのはあります。でも、行かなきゃダメだ、迷っているうちはダメだと思いながら、1対1に行ける時は行って、シュートは入らなかったですけど2本目、3本目になれば状況が変わってくる。自分は自信を持ってやっているので、また任せられるチャンスがあればしっかりやりたい」
しかし、そのチャンスはもう多くは残されてはいない。フランス戦後に行われたカナダ対オーストラリアの結果により、日本の敗退が決定。オーストラリア戦が今大会の最終戦となる。
試合ハイライト
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