シーズン中の代表活動、比江島慎と西田優大は不参加
バスケットボール男子日本代表は、2022年の最後のスケジュールとなるワールドカップ予選、バーレーン戦とカザフスタン戦をいずれもアウェイで戦う。
比江島慎と西田優大がコンディション不良を理由に今回の代表チームには参加していない。ホーム&アウェイで全12試合という長い予選も今回の2試合と来年2月の2試合を残すのみと終盤に差し掛かり、開催国枠でワールドカップ出場の決まっている日本代表にとっては、シーズン中のBリーグとの兼ね合いも求められる。東京オリンピックからここまでフル回転を続けてきた2人に、ここで無理をさせる必要はない。
それでも東京オリンピック終了後に発足したトム・ホーバス体制で活躍してきた『国内組』の多くが、今後の代表活動を見据えてここで結果を残し、アピールしておきたい立場だ。7勝2敗でBリーグ首位に並ぶ千葉ジェッツの富樫勇樹、名古屋ダイヤモンドドルフィンズの張本天傑と須田侑太郎は所属チームでの好調を代表に持ち込みたいところ。
ただ、彼ら以上に注目したいのは、今回是が非でもアピールしなければならない『崖っぷち』の選手だ。身長201cmながら3ポイントシュートを武器とする『ストレッチ4』として日本代表で大ブレイクした井上宗一郎は、サンロッカーズ渋谷に戻ると外国籍選手とのチーム内競争に晒され、プレータイム確保もままならない。吉井裕鷹も代表ではフィジカルなディフェンスとハードワークで評価を勝ち取ったが、代表活動が長かった分、新体制となったアルバルク東京では出遅れている。2022-23シーズン開幕から良い波に乗れたとは言えない彼らは、若い力を持て余している。この短い代表活動で本来のリズムを取り戻し、出直しを図りたい。
コー・フリッピンは何度も代表合宿に呼ばれているものの、ケガなどの不運が続いて公式戦デビューはいまだ果たせていない。それでも今回は比江島と西田が不在で、シューティングガードの彼にとっては大きなチャンス。爆発的な身体能力を生かしたプレーは好不調の波が大きいが、ハマった時のパンチ力は大きい。沖縄にルーツを持ち、琉球ゴールデンキングスに所属する選手として、沖縄アリーナで開催されるワールドカップ出場は譲れない。ここで結果を出して、代表定着を大いにアピールしたい。
そしてシェーファー・アヴィ幸樹は、ホーバス体制になって評価を落とした選手。フリオ・ラマス体制では次世代を担うビッグマンとして期待され、東京オリンピックのメンバー入りも果たしたが、高さとパワーはあってもホーバスの求める運動量と3ポイントシュートがないことで他の選手に序列で追い抜かれた。ただ、Bリーグではシーホース三河の主力として結果を残しており、そのスタイルでホーバスの再評価を勝ち取りたい。「最後のチャンスというぐらいの気持ち。とにかく練習から全力を出すことを意識します」と、強い覚悟を持って今回の代表活動に臨んでいる。
追加招集のベンドラメ礼生「日本代表に呼ばれたことは誇らしい」
(C)Getty Images
最後に紹介するのはベンドラメ礼生だ。サンロッカーズ渋谷では絶対的な主力だが、代表ではこれまで合宿には呼ばれても大会には呼ばれない『13人目のメンバー』として悔しい思いを繰り返してきた。遠征先でメンバー外を聞かされ、そのまま帰国したこともある。苦労した甲斐あって東京オリンピックのメンバー入りを果たしたものの、プレータイムはほとんどなかった。
ただ、彼は代表への愛着がとても大きい選手であり、今回は比江島と西田が外れたことでの追加招集となったが、「びっくりしましたが、日本代表に呼ばれたことは誇らしいし、僕自身うれしかった」とモチベーション高く代表に合流している。
ラマス体制ではポイントガードだったが、サンロッカーズ渋谷での役割はシューティングガードで、たびたびポジションが変わり、求められる仕事も異なることに戸惑いがあった。しかし今回はシューティングガードとしての起用が想定されており、そのギャップに苦しむことはない。
いずれにしても、リーグ戦の狭間の代表活動で大事なのは、日本代表でプレーすることにどれだけモチベーションを持ち、コミットできるか。その点で誰にも負けないベンドラメの、周囲をあっと驚かせるパフォーマンスに期待したい。
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