ミス連発で課題の残る前半
バスケットボール女子日本代表は、アジアカップの初戦でチャイニーズ・タイペイと対戦した。結果的には94-53と大量リードを奪って初戦を勝利したものの、前半は課題の残る出来だった。それでも後半には若手が期待以上のパフォーマンスを見せ、不穏な雰囲気を吹き飛ばしている。
日本の先発は山本麻衣、赤穂ひまわり、馬瓜ステファニー、オコエ桃仁花、髙田真希。各ポジションで高さでもフィジカルでもチャイニーズ・タイペイを上回るメンバーだった。しかし、序盤からプレーチェイスに思い切りの良さがなく、最初の一歩で出遅れて、それで呼吸が合わずにパスが通らないなどミスを連発。大会初戦の入りは難しいもので、チャイニーズ・タイペイも同じようにミスが続く立ち上がりとなった。
それでも日本はオフェンスで連係ミスがあっても引きずらず、ディフェンスで前からプレッシャーを掛け、相手のドライブにもしっかり身体をコースに入れてゴール下へ進ませない堅守を見せ、開始4分で12-3とリードを奪った。
しかし、チャイニーズ・タイペイも簡単には引き下がらない。日本よりも良かったのはプレーチョイスの思い切りの良さ。日本のディフェンスを崩せず、確率が悪いシュートであっても打つと決めたら迷わず打ち、しぶとく決めて食らい付く。日本もこの思い切りの良さを真似したかったが、逆に受け身に回ってしまい本来の速い展開へと持ち込めなかった。
パスはよく回っており、選手もそれぞれよく走ってポジションを入れ替えてチャンスをうかがうものの、いざ決めに行く時は個人でのアタックで、それに連動する第2、第3の合わせの動きに乏しい。結果としてハードワークはしていても一本調子で、3ポイントシュートで優位を作る5アウトのバスケもチャイニーズ・タイペイも対策されていた。特に第2クォーターはオフェンスが停滞し、一時は3点まで点差を詰められ、苦戦の印象が強かった。
フレッシュなラインナップが見せた思い切りの良さ
(C)FIBA
それでも日本代表は後半を54-22と圧倒する。第3クォーターに最初のきっかけを作ったのは、山本麻衣と馬瓜ステファニーだ。桜花学園の1学年違いの先輩後輩、東京オリンピックで3x3の日本代表として一緒にプレーし、Wリーグのトヨタ自動車アンテロープスでもチームメートだった山本と馬瓜のツーメンゲームが、一本調子だったオフェンスに良いアクセントとなり、山本のアシストから馬瓜の得点が続く。
ここから相手が受け身となり、そのディフェンスから積極性が失われると、山本と平下愛佳の連続3ポイントシュートで一気に突き放した。昨年のワールドカップが代表デビュー、当時はチーム最年少だった平下は、チームが攻撃に転じると誰よりも早くコートを駆け上がり、オフボールでひたすら走ることでチームのテンポを上げ、前向きな姿勢をチームに注入する良い仕事をやってのけた。
59-43と点差が開いた第3クォーター残り2分、筑波大2年の朝比奈あずさが投入される。朝比奈はファーストプレーでシンプルにパスをさばいて東藤なな子の得点をアシスト。続くディフェンスでは相手をきっちりボックスアウトして難なくリバウンドを拾い、オコエが3ポイントシュートを沈めるトランジションへと繋いだ。
星杏璃や平下も同時起用するフレッシュなラインナップは、それまで実績のある先輩たちができなかった思い切りの良さを出し、日本に傾いた試合を一気に決めにいった。ようやくスイッチが入った日本は、チャイニーズ・タイペイのプレッシャーディフェンスの裏を取るようになり、朝比奈がゴール下での合わせで連続得点、オコエが高い位置でプレッシャーを掛けてスティールに成功し、平下のイージーシュートに繋げるなど、ようやく個々の頑張りがチームとしての勢いになった。
チャイニーズ・タイペイはよく集中して粘りのバスケを展開していたが、ここが限界。一度崩れてしまうと精神的に立て直すことができず、ズルズルと点差が開いていった。
前半はアシスト10に対してターンオーバー8と波に乗れなかったが、後半はアシスト14でターンオーバーはわずか3と見事に立て直した。馬瓜が18得点9リバウンドといずれも両チーム最多の活躍。朝比奈は8分のプレーで8得点2リバウンド、平下は10得点と、若手の奮闘が光った。
それでも、格下のチャイニーズ・タイペイだから快勝へと持っていけたが、オーストラリアや中国といった優勝争いのライバルが相手だとこうはいかないはず。特にオフェンスでチームの呼吸を合わせ、連動したプレーを作り出す。そして限られた時間帯ではなく40分間を通してそのパフォーマンスを発揮することが求められる。
FIBA女子アジアカップ2023|日本代表メンバー
- 3 馬瓜ステファニー(PF/182センチ)
- 8 髙田真希(PF/185センチ/デンソー アイリス)
- 12 朝比奈あずさ(C/185センチ/筑波大学)
- 15 本橋菜子(PG/164センチ/東京羽田ヴィッキーズ)
- 23 山本麻衣(PG/163センチ/トヨタ自動車 アンテロープス)
- 27 林咲希(SG/173センチ/富士通 レッドウェーブ)
- 31 平下愛佳(SG/177センチ/トヨタ自動車 アンテロープス)
- 32 宮崎早織(PG/167センチ/ENEOS サンフラワーズ)
- 59 星杏璃(SG/170センチ/ENEOS サンフラワーズ)
- 75 東藤なな子(SF/175センチ/トヨタ紡織 サンシャインラビッツ)
- 88 赤穂ひまわり(SF/184センチ/デンソー アイリス)
- 99 オコエ桃仁花(PF/182センチ/ジーロング・スーパーキャッツ/オーストラリア)
FIBA女子アジアカップ2023|日本代表 試合日程
試合日 | カード |
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6/26(月) 16:00 | 日本 vs チャイニーズ・タイペイ |
6/26(月) 18:30 | オーストラリア vs フィリピン |
6/27(火) 12:30 | フィリピン vs 日本 |
6/27(火) 18:30 | チャイニーズ・タイペイ vs オーストラリア |
6/28(水) 12:30 | チャイニーズ・タイペイ vs フィリピン |
6/28(水) 18:30 | オーストラリア vs 日本 |
【準決勝進出決定戦】
試合日 | カード |
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6/30(金) 未定 | 【QS1】B組2位 vs A組3位 |
6/30(金) 未定 | 【QS2】A組2位 vs B組3位 |
【準決勝】
試合日 | カード |
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7/1(土) 未定 | 【SF1】A組1位 vs QS1の勝者 |
7/1(土) 未定 | 【SF2】B組1位 vs QS2の勝者 |
【3位決定戦】
試合日 | カード |
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7/2(日) 11:30 | SF1の敗者 vs SF2の敗者 |
【決勝】
試合日 | カード |
---|---|
7/2(日) 14:00 | SF1の勝者 vs SF2の勝者 |
FIBA女子アジアカップ2023|放送・配信予定
FIBA女子アジアカップ2023は、『 DAZN 』が日本戦を全試合ライブ配信する。地上波やBSなどでの中継は予定されていない。
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