プレータイムを上手く分散し、12選手全員が4得点以上
6月27日、バスケットボール女子日本代表はフィリピンと対戦して95-57と勝利した。昨日のチャイニーズ・タイペイ戦に続く快勝で、アジアカップ開幕2連勝を飾っている。
日本代表は試合の立ち上がりに赤穂ひまわり、林咲希が立て続けに3ポイントシュートを決めて勢いに乗る。第1クォーターの日本は2点シュートの試投数8に対して3ポイントシュートは倍近い14本を放って6本成功と、最大の武器である3ポイントシュートを積極的に放ち、これを高確率で決めたことで28-14と先手を取った。
第2クォーターに入ると3ポイントシュートの当たりが止まって得点ペースは落ちたが、第1クォーターにはなかった激しいディフェンスによるボール奪取からの速攻も出て、内外のバランスという意味ではむしろ改善し、49-31とリードを広げて前半を終えた。
第3クォーターにはしばらく停滞した時間帯があったが、それでも試合終盤になると日本のタイムシェアが効いてくる。タイムシェアとはベンチスタートのメンバーにも長いプレータイムを与え、限られた主力選手だけでなくチームの総合力を前面に押し出す戦い方。昨年のワールドカップでは主力と控えに実力差があり、数分と短い時間帯で力を出し切れない選手もいたためにタイムシェアが機能しなかったことが大きな課題となった。
選手としては、矢継ぎ早の交代で出たり下がったりしてリズムに乗るのは簡単ではないが、それを乗り越ることができればチームとしてスタミナ切れを起こすことなく、運動量と攻守の激しさを高く保つことができる。それだけでなく、気持ちも常にフレッシュで40分間集中できる。フィリピンはタイムシェアができず、先発のうち2人が34分、さらに32分、25分と特定の選手にプレータイムが集中した。一方の日本は一番長くコートに立った馬瓜ステファニーでも23分で、第3クォーター終盤までベンチを温めたチーム最年少の朝比奈あずさも9分半プレーしている。
プレータイムが10分に満たなかったのはこの朝比奈だけと、プレータイムを上手く分散できた。その結果、登録12選手全員が4得点以上を記録し、ビッグマンの髙田真希とオコエ桃仁花を除く10選手が3ポイントシュートを成功させている。オコエは3ポイントシュート8本を放ってすべて失敗とシュートに苦しんだが、それでも両チーム最多の9リバウンドを記録するなど得点以外の面でチームに貢献している。
優勝に向けて大事なオーストラリア戦へ
(C)FIBA
もっとも、東京オリンピックで銀メダルを獲得し、FIBAランキングで9位の日本代表にとって、33位のチャイニーズ・タイペイと42位フィリピンを相手に連勝するのは言わば当然のこと。明日のグループフェイズ最終戦ではホスト国のオーストラリアとの対戦が控えている。
すでに2勝を挙げている日本は2位以内でのグループフェイズ突破は決定しているが、2位になれば中1日の休養を挟んで30日にグループAの3位チームとの、準決勝進出を賭けた試合へと回る。グループ1位になれば休養が中2日となり、7月1日の準決勝、2日の決勝へと続くため、日程的にはかなり有利になる。
アジアカップで優勝を争うライバルとなるのは、オーストラリアと、グループAの首位になるであろう中国。オーストラリアはFIBAランキング3位、中国は2位と日本よりも上位に位置している。日本はここまでアジアカップ5連覇中で、両チームを何度も撃破してきたが、毎回ギリギリの勝負の中で競り勝っている。
過去5大会と同じような勝負強さを今回も発揮できるか。そのためのカギとなるタイムシェアが機能している点はプラスだが、選手にもコーチにもはやり「ここからが勝負」の感が強い。
恩塚亨ヘッドコーチは「チーム全員で力を合わせて戦い抜くことができた」とフィリピン相手の勝利に一定の評価を与えつつも、「フィリピンは1対1のスキルが高くて個の力で打開してくる。それをチームで守り切れなかったところが何回かあった。途中途中でリズムをつかめなかったことは改善して明日に繋げたい」と試合後の会見で語っている。
2試合いずれも先発ポイントガードを務めた山本麻衣は、チャイニーズ・タイペイ戦では9得点7アシスト、フィリピン戦では15得点2アシストと素晴らしいオフェンス能力を見せているが、オーストラリア戦に向けては「日本はまずディフェンスをやらないとスタートしない。ディフェンスから流れを作れるようにやっていきたい」と、指揮官と同様に気を引き締めた。
明日のオーストラリア戦の勝敗がすべてではないが、勝てば優勝へ大きく弾みを付けられる。6連覇を目指す日本代表にとっての大一番は、6月28日の日本時間18時半ティップオフとなる。
【フィリピン×日本|ハイライト】日本が圧倒して開幕2連勝!
FIBA女子アジアカップ2023|日本代表メンバー
- 3 馬瓜ステファニー(PF/182センチ)
- 8 髙田真希(PF/185センチ/デンソー アイリス)
- 12 朝比奈あずさ(C/185センチ/筑波大学)
- 15 本橋菜子(PG/164センチ/東京羽田ヴィッキーズ)
- 23 山本麻衣(PG/163センチ/トヨタ自動車 アンテロープス)
- 27 林咲希(SG/173センチ/富士通 レッドウェーブ)
- 31 平下愛佳(SG/177センチ/トヨタ自動車 アンテロープス)
- 32 宮崎早織(PG/167センチ/ENEOS サンフラワーズ)
- 59 星杏璃(SG/170センチ/ENEOS サンフラワーズ)
- 75 東藤なな子(SF/175センチ/トヨタ紡織 サンシャインラビッツ)
- 88 赤穂ひまわり(SF/184センチ/デンソー アイリス)
- 99 オコエ桃仁花(PF/182センチ/ジーロング・スーパーキャッツ/オーストラリア)
FIBA女子アジアカップ2023|日本代表 試合日程
試合日 | カード |
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6/26(月) 16:00 | 日本 vs チャイニーズ・タイペイ |
6/26(月) 18:30 | オーストラリア vs フィリピン |
6/27(火) 12:30 | フィリピン vs 日本 |
6/27(火) 18:30 | チャイニーズ・タイペイ vs オーストラリア |
6/28(水) 12:30 | チャイニーズ・タイペイ vs フィリピン |
6/28(水) 18:30 | オーストラリア vs 日本 |
【準決勝進出決定戦】
試合日 | カード |
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6/30(金) 未定 | 【QS1】B組2位 vs A組3位 |
6/30(金) 未定 | 【QS2】A組2位 vs B組3位 |
【準決勝】
試合日 | カード |
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7/1(土) 未定 | 【SF1】A組1位 vs QS1の勝者 |
7/1(土) 未定 | 【SF2】B組1位 vs QS2の勝者 |
【3位決定戦】
試合日 | カード |
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7/2(日) 11:30 | SF1の敗者 vs SF2の敗者 |
【決勝】
試合日 | カード |
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7/2(日) 14:00 | SF1の勝者 vs SF2の勝者 |
FIBA女子アジアカップ2023|放送・配信予定
FIBA女子アジアカップ2023は、『 DAZN 』が日本戦を全試合ライブ配信する。地上波やBSなどでの中継は予定されていない。
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