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【動画】史上最大の宿敵イランを倒すのは決勝で。日本代表“逆転1位突破”をもたらしたエースの仕事と2つのパワープレー対応|AFCフットサルアジアカップ

渡邉 知晃
【動画】史上最大の宿敵イランを倒すのは決勝で。日本代表“逆転1位突破”をもたらしたエースの仕事と2つのパワープレー対応|AFCフットサルアジアカップ(C)AFC
【フットサル日本代表 レビュー】フットサル日本代表は2日、AFCフットサルアジアカップクウェート2022でベトナム代表と対戦し2-0で勝利した。元日本代表・渡邉知晃が日韓戦を分析する。
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日本代表は、AFCフットサルアジアカップのグループステージ最終戦でベトナムと対戦。引き分け以下ではグループ敗退、一方で2点差以上の勝利で1位通過が決まる条件のなか、まさに2-0で勝利を収めた。2014年大会の優勝経験者で元日本代表の渡邉知晃がベトナム戦を分析する。

大事な試合で清水和也”らしい”2ゴール

20221002-futsal-asiacup-japan-2(C)AFC

日本の試合前に行われた一戦でサウジアラビアが韓国に勝利したため、日本のグループステージ突破の絶対条件は「勝利のみ」となった。引き分け以下では敗退が決まり、1点差勝利ならグループ2位、2点差以上の勝利ならグループ1位になるという、シンプルな状況。日本は当然、1位でノックアウトステージ進出を目指した。

立ち上がりから一進一退の攻防が続いた。両チーム共に攻守にアグレッシブで、どちらもシュートシーンを作れていた。そんななか、日本に待望の先制点が生まれる。

6分に、石田健太郎のピヴォ当てのパスを受けたエース・清水和也が体を使って相手と入れ替わり、飛び出してきたゴレイロを冷静に右にかわしてシュートを放つ。ゴール前にカバーに入った相手選手の足に当たりながらゴールネットに吸い込まれた。

清水“らしい”ゴールだった。相手と入れ替わった際に少しバランスを崩しながらも倒れることなくボールをキープし、そのままゴレイロをかわしに行った場面も、体勢を崩しながらも腰をひねって枠に飛ばした場面も、清水の体の強さがなせる技だ。

今大会、ここまで無得点のエースが大一番で結果を残した。木暮賢一郎監督が韓国戦後、ゴールを奪えていないピヴォの選手たちについて「次の重要なゲームでは、間違いなく点を取ってくれると信じています」と語ったその期待に応えてみせた。

第2ピリオドも攻め続けてチャンスをつくったものの、ゴールが遠い。時折、カウンターや個人技を生かした相手の攻撃を受けたが、イゴールを中心に守り抜く。グループ1位でノックアウトステージに進むために、もう1点がほしかった。

終盤に差し掛かり、迎えた36分だった。自陣でボールを奪ったアルトゥールがドリブルで持ち上がり、左サイドの高い位置にいた清水にパスを預ける。すると清水は相手を背負いながらボールを持ち、右に反転すると、角度のないところから左足でフィニッシュ。強烈なシュートはゴレイロの股を抜けてネットに突き刺さった。

なんとしてもほしかった2点目を決めたのも清水だった。これも、彼が得意とする素早い反転からのシュート。大事な場面で日本のエースとしての仕事を果たした。

奇しくも、ベトナムのディエゴ・ジェストッツィ監督は、清水がスペインリーグの強豪、エルポソに所属していた時の指揮官だ。ただし、清水は「エルポソB」で、ジェストッツィ監督はトップチームを率いていたため、“昇格に値する評価を得られなかった”ことになる。清水が所属したのは2018シーズンから2年間。当時よりも一回りも二回りも成長した姿を、目の前で見せつけたのではないだろうか。

筆者自身、ピヴォの選手だった経験からわかることとしては、やはり前線の選手はゴールが求められ、ゴールという結果がほしいもの。もちろん、ゴール以外に勝利に貢献できるプレーはたくさんあるなかで、一番わかりやすいのがゴール。その意味でも、エースがゴールを決めたことは、準々決勝に向かう上で明るい材料となった。

日本はグループステージ突破をかけた一つ目の”決勝戦”を見事に勝利した。

勝因は“2つの異なるパワープレー”の対応

20221002-futsal-asiacup-japan-3(C)AFC

第2ピリオドが10分を経過すると、ベトナムはパワープレーを開始した。スコアは1-0。「少し早いんじゃないか?」と思った人も多かったのではないだろうか。筆者もまさかこのタイミングでパワープレーをしてくるとは思わなかった。

しかし、パワープレーが始まってすぐにその理由がわかった。

パワープレーの基本型の一つが「五角形」だ。後ろに1人、その前の両サイドに2人、さらにその前の両サイドに2人が五角形に並ぶ。ベトナムはこの陣形をとっていたが、最後尾の選手が自陣のかなり後ろ気味にポジションを取っていた。

これは数的優位を生かした攻撃から得点を奪いに行くパワープレー本来の狙いではなく、「時間を稼ぎのパワープレー」だったのだ。なぜなら、そのまま1-0で終了した場合、ベトナムがグループ1位でノックアウトステージに進出できるから。逆に2-0にされるとグループ2位となり、その場合、準々決勝で優勝候補のイランと対戦する可能性が高かったため、それは避けたいという思惑があったのだろう。

もしも日本が無理にボールを取りに来れば、数的優位とスペースを生かしてシュートまで持って行く。取りに来なければボールを回しながら時間を進めることができる。世界的名将として知られるディエゴ監督の戦略的パワープレーだったのだ。

これに対し、日本は全てを引いて待っているのではなく、タイミングを合わせて連動したプレスで奪いに行き、相手のミスを誘ってしっかりとマイボールにしていた。相手にほとんど時間稼ぎさせなかったディフェンスの対応は素晴らしかった。

そして清水の2点目が決まり2-0となった後、ベトナムは「得点を奪うためのパワープレー」を仕掛けてきた。しかし日本はこれにもきっちり対応した。もちろん、何度かファーサイドにパスを通されて危ない場面はあったが、数的優位で攻められている以上、全てを完璧に守りきることは難しい。全員が連動し、体を張った守備ができていたし、経験豊富な守護神・イゴールの存在も大きかった。

韓国戦、そしてベトナム戦もパワープレーをされる時間は多かったものの、敗戦を喫したサウジアラビア戦の反省を生かし、失点を許すことはなかった。ベトナム戦は、“2つの異なるパワープレー”を受けて無失点に抑えたことが勝利につながった。

優勝以上に価値がある「イランに勝つこと」

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日本はベトナムに2-0で勝利し、グループステージを1位で突破した。この意味は本当に大きい。もし2位だった場合、準々決勝の相手がイランだったからだ。

アジアカップで優勝するために「イランに勝つこと」は避けては通れない。当然、イランがどこかで敗れる可能性はあるものの、今大会最多12回の優勝を誇り、ワールドカップでブラジルを倒した実力国が、アジアで簡単に負けることはない。

これは筆者の個人的な願望でもあるが、やはりイランとは決勝の舞台で戦ってほしい。過去にアジアカップ優勝歴があるのは日本とイランだけであり、今大会も決勝で日本vsイランが見たい。2014年大会は決勝でPK戦の末にイランを倒して優勝したが、2018年大会は同じく決勝で、0-4の敗戦を喫して涙を飲んだ。日本フットサルの歴史を紐解いても「イランに勝つ」ことの意味は、優勝以上の重要事項だった。

大会前、木暮監督はDAZNの単独インタビューでこう話していた。

「日本フットサルの歴史で言うと、“アジアカップが全て”と言ってもいいような時代から始まっています。もちろん、大きな目標としてのW杯はありますが、その前にまずアジアでチャンピオンになること。もっと言えば、『イランに勝ちたい』という目的が1999年から始まって、初めてイランに勝ったのが2006年大会でした」

日本にとってのアジアカップとはそうした位置付けの大会なのだ。グループ1位になったことで、イランとは決勝戦まで当たらない。今の日本は試合を重ねるごとに成長し、チームとしての成熟度が増しているからこそ楽しみだ。決勝戦までの間に、もう一段階強くなるための猶予ができたこと。これは大きなプラス材料だろう。

とはいえ、今大会初戦のサウジアラビア戦を振り返ってもわかるように、近年のアジア各国のレベルは発展し続けており、簡単に勝てる相手はいない。

この先は「負けたら終わり」というプレッシャーと向き合いながら戦うため、メンタルの充実も大事な要素である。先制するかもしれないし、先制されるかもしれない。試合中、いかなる状況でも頭は冷静に、体はファイトすることが必要だ。

負けられないベトナム戦を勝ちきった経験は、チームとしても選手個人としても大きな蓄積となっただろう。ただし、ここからが本当の戦いだ。2014年大会もグループステージで1敗を喫するという崖っぷちから這い上がって頂点までたどり着いた。ここからあと3つ。3大会ぶりアジア制覇に向けた第2ラウンドが幕を開ける。

文=渡邉 知晃(わたなべ・ともあき)

1986年4月29日生まれ。福島県出身。小学2年生からサッカーを始め、順天堂大2年時にフットサルに転向。BOTSWANA FC MEGURO、ステラミーゴいわて花巻、名古屋オーシャンズ、立川・府中アスレティックFC、大連元朝足蹴倶楽部(中国)でプレー。日本代表として国際Aマッチ59試合出場・20得点、Fリーグ2017-2018シーズン得点王(45得点)、通算323試合出場・201得点など数々の実績を残し、2020-2021シーズン限りで現役を引退。子供への指導のかたわら、フットボールライターとして執筆業にも挑戦中。

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