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【プレビュー】帝王完全復活へ! 見据える先へと進むために必要な“強さの証明” | ゲンナジー・ゴロフキン対カミル・シェルメタ | ボクシング

渋谷淳
【プレビュー】帝王完全復活へ! 見据える先へと進むために必要な“強さの証明” | ゲンナジー・ゴロフキン対カミル・シェルメタ | ボクシング(C)Getty Images
【ボクシング プレビューコラム】IBF世界ミドル級チャンピオンのゲンナジー・ゴロフキンが挑戦者のカミル・シェルメタと対戦。王者が再び無類の強さを見せられるか?
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IBF世界ミドル級チャンピオン、ゲンナジー・ゴロフキンが18日(日本時間19日)、アメリカはフロリダ州ハリウッドのリングに登場する。対戦相手はランキング1位の指名挑戦者、ポーランドのカミル・シェルメタだ。

ゴロフキンが泣く子も黙る“ミドル級の帝王”に君臨していたのは数年前のこと。あのころGGG(トリプルG)の愛称を持つゴロフキンは手がつけられないほど強かった。ゆったりしたリズムで対戦相手をジワジワと追い込み、強烈な左右のフック、ボディブローを無慈悲に見舞うと、大抵の相手はゴロリとリングに転がったものだった。

その強さをあらためて説明させてほしい。カザフスタン出身のゴロフキンは2004年のアテネ五輪銀メダリストとはいえ、最初からスター候補だったわけではない。ライバルたちをバッタバッタと倒しまくり、爆発的な強さを何年も見せ続けて地道に地位を築き上げた。

強さを物語る雄弁な証拠は数字だ。WBAミドル級王座を19度防衛。23試合連続KO勝ち。そして歴代1位タイとなる世界タイトルマッチでの17連続KO防衛。いずれも歴史の残るような数字なのだ。

そんなGGGの快進撃はメキシコのスター、サウル“カネロ”アルバレスによって止められた。両者は17年9月に初対戦してドロー。これはゴロフキン優勢の声が多く、ゴロフキンも勝利を確信したのだが、1年後の再戦ではカネロにしてやられて判定負け。無敵だった帝王はプロ初黒星で奈落の底へ突き落とされた。逆にカネロはこの勝利で現役ナンバーワンボクサーの地位を不動のものとした。明暗分かれるとはこのことである。

失意のゴロフキンはカネロとの第3戦を希望したものの叶わず、19年10月にロシアの実力者、セルゲイ・デレフヤンチェンコと空位のIBF王座を争って小差の判定勝ちでベルトを取り戻した。しかしかつての迫力が感じられず、「ゴロフキンよ、ついに衰えたか」との印象をファンに与えてしまった。

ここで挑戦者のシェルメタをチェックしてみよう。ポーランド出身の31歳は12年にプロデビューして18年2月、敵地イタリアでヨーロッパ王座を獲得。2度の防衛に成功している。19年10月に念願のアメリカ・デビューをはたして2回TKO勝ち。ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンで行われたイベントのメインはゴロフキンのデレフヤンチェンコ戦であり、このときの勝利が今回の試合に結びついたと言えるだろう。

ゴロフキンに衰えの兆しがあり、シェルメタが無敗の好選手であったとしても、それは勝敗を左右するほど大きな要素ではないと思われる。やはり実績から考えればゴロフキンが勝って当たり前のマッチアップ。この試合のポイントはゴロフキンが「再び強さを証明できるか」に尽きる。その先に見据えるのは第一にカネロへのリベンジである。

そんなゴロフキンの思いを知った上で、この試合の翌日にスーパー・ミドル級のタイトルマッチを行うカネロは「168ポンド(スーパー・ミドル級)でタイトルを統一し、歴史を作りたい」と米メディアにコメントしている。ゴロフキンにとっては残念なことに、第3戦がすぐに実現しそうな気配はない。

一方で、ゴロフキンの首を狙っている他団体王者たちの存在を私たちは認識する必要がある。ゴロフキンの対戦相手で、カネロの次に候補に挙がるとすれば他団体のチャンピオンたちだからだ。中でもWBA王者の村田諒太がゴロフキン戦を虎視眈々と狙っていることはぜひ頭に入れておいてほしい。

村田は19年12月、WBA王座の初防衛戦を成功させたあと、ターゲットを明確にゴロフキンとカネロのミドル級ツートップに絞った。先述したように現状でカネロはすぐに試合をするのは難しいとみられる。となると標的は自ずとゴロフキンだ。村田陣営は今回のシェルメタ戦に並々ならぬ関心を寄せている。

ゴロフキンの第一希望がカネロとのラバーマッチであったとしても、それが叶わないのなら村田戦は十分に魅力的なオファーと言えるだろう。ゴロフキンが再び強さを見せつければ、村田やカネロとの対戦がさらに楽しみになるというもの。帝王が完全復活する姿に期待したい。

文・渋谷淳(しぶや・じゅん)

1971年生まれ、東京都出身。慶應義塾大卒。新聞社勤務をへて独立し、現在はボクシングを中心にスポーツ総合誌「Number」などに執筆。著書「慶応ラグビー 魂の復活」(講談社)。ボクシング・ビート誌のウェブサイト「ボクシングニュース」、会員制有料スポーツサイト「SPOAL(スポール)」の編集にも力を注いでいる。

ゲンナジー・ゴロフキンの戦績

  • 国籍:カザフスタン
  • 出身地:カラガンダ
  • 生年月日:1982年4月4日
  • 身長:179cm
  • リーチ:178cm
  • 試合数:42
  • レコード:40-1-1、35KO

カミル・シェルメタの戦績

  • 国籍:ポーランド
  • 生まれ:ビャウィストク
  • 生年月日:1989年10月11日
  • 身長:177cm
  • リーチ:─
  • 試合数:21
  • レコード:21-0、5KO

ゴロフキン vs. シェルメタのフルカード

  • ゲンナジー・ゴロフキンvs.カミル・シェルメタ
  • 崔賢美vs.カリスタ・シルガド
  • ジョン・ライダーvs.マイケル・ガイ
  • アリ・アクメドフvs.カルロス・ゴンゴラ
  • ジャラン・ウォーカーvs.ラファエル・レイズ

ボクシング 配信予定 | DAZN番組表

日時(日本時間)カード詳細
12月19日(土)
08:00
ゲンナディ・ゴロフキン
vs.カミル・シェルメタ
IBF世界ミドル級タイトルマッチ
12月20日(日)
10:00
サウル・アルバレス
vs.カラム・スミス
WBA世界スーパーミドル級王座統一選
1月3日(日)
09:00
ライアン・ガルシア
vs.ルーク・キャンベル
WBC世界ライト級次期挑戦者決定戦

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