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【プレビュー】スター選手が揃うスーパーミドル級の今後を占う大事な一戦 | ビリー・ジョー・サンダース対マーチン・マレー | ボクシング

渋谷淳
【プレビュー】スター選手が揃うスーパーミドル級の今後を占う大事な一戦 | ビリー・ジョー・サンダース対マーチン・マレー | ボクシング(C)Getty Images
【ボクシング プレビューコラム】世界タイトルマッチが数多く組まれる12月。先陣を切るのはかつてないほどにスター選手が揃うスーパーミドル級。
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今や世界が注目するスーパーミドル級

WBO世界スーパーミドル級タイトルマッチが4日(日本時間5日)、イギリスのロンドンで開催される。王者のビリー・ジョー・サンダースに挑戦者のマーチン・マーレが挑む英国対決だ。

かつてミドル級とヘビー級の間に挟まれたスーパーミドル級は“不人気階級”として不遇をかこっていた時代があった。しかし今は違う。ボクシング界きってのスーパースター、メキシコのサウル“カネロ”アルバレスがこの階級を主戦場とすることで、スーパーミドル級は一躍世界が注目する階級となった。

そんなホットな階級で王座の一角を占めるのがサンダースである。31歳のサンダースは2009年にプロデビュー。技巧派サウスポーとして頭角を現し、12年に英連邦ミドル級王座を獲得。その後はイギリス王座、ヨーロッパ王座に就き、15年にWBOミドル級王座を奪取した。

ミドル級王者時代はロンドン五輪金メダリスト、村田諒太(現WBA世界ミドル級王者)の対戦相手候補として名前が挙がったこともあり、日本のファンの中にもサンダースの名前を覚えた人がいただろう。

19年にはクラスを上げてWBOスーパーミドル級王座を獲得。これまでの戦績は29戦29勝14KOでいまだ無敗をキープしているが、知名度となるとカネロらビッグネームには遠く及ばず、実績から考えれば過小評価されているチャンピオンと言える。

そんなサンダースにビッグチャンスが巡ってきたのは今年5月だった。カネロとの試合がいったんは決まったのだ。ところがこの試合は新型コロナウイルスの影響などで雲散霧消。そういった意味でもサンダースのカネロ戦にかける思いは強い。

サンダースとしては今回の試合で実力を広くアピールしてカネロをはじめとするスター選手との対戦に結びつけたいところ。カネロは12月19日、アメリカでWBA同級スーパー王者のカラム・スミスと対戦する。カネロとスミスの勝者と2団体統一戦を行うというのがWBO王者にとって最高のシナリオだ。

ゆえにカネロとスミスの対決にはサンダースも大いに注目している。アメリカの老舗ボクシング専門誌「ザ・リング」のインタビューを受けて、サンダースはカネロと同胞のスミスの対戦について次のように語っている。

「カネロ陣営は卑劣だ。今回もスミスに試合の通知を遅らせている。ただ、私はスミスの勝利を望んでいるが、それでもお金をかけるとすればカネロにかけるだろう」。サンダースのカネロに対する複雑な思いが伝わってくる。

理想のシナリオを現実するためには負けられないのがマレー戦となる。38歳のベテラン、マレーは2011年、13年、15年に2度と計4度、世界タイトルマッチに挑んだいずれも跳ね返されてきた。敗れた相手はフェリックス・シュトルム、セルヒオ・マルティネス、ゲンナジー・ゴロフキン、アルツール・アブラハムとボクシング史に名前を残すような強豪ばかりだ。

そのキャリアを踏まえればマレーにとって世界タイトル獲得は人生最大の悲願と言える。年齢は38歳となり、サンダース戦はおそらく世界チャンピオンとなるラストチャンス。この試合にかける意気込みは並々ならぬものに違いない。

試合は技巧派のサンダースがマレーの前進をうまくいなしながらテクニカルにラウンドを重ねることが予想される。マレーが勝利を呼び寄せるためには前に出てプレッシャーをかけ、曲者のサンダースをつかまえるしかない。

イギリスのブックメーカーが出しているオッズは圧倒的にサンダースの有利を伝えている。ラストチャンスにかけるマレーが意地を見せるのか、それとも下馬評通りサンダースが得意のかわすボクシングでベルトを守るのか。白熱するスーパー・ミドル級の今後を占う意味でも見逃すことのできない一戦だ。

文・渋谷淳(しぶや・じゅん)

1971年生まれ、東京都出身。慶應義塾大卒。新聞社勤務をへて独立し、現在はボクシングを中心にスポーツ総合誌「Number」などに執筆。著書「慶応ラグビー 魂の復活」(講談社)。ボクシング・ビート誌のウェブサイト「ボクシングニュース」、会員制有料スポーツサイト「SPOAL(スポール)」の編集にも力を注いでいる。

ボクシング 配信予定 | DAZN番組表

日時(日本時間)カード詳細
12月5日(土)
04:00
ビリー・ジョー・サンダース
vs.マーチン・マレー
WBO世界スーパーミドル級タイトル戦
12月13日(日)
03:00
アンソニー・ジョシュア
vs.クブラト・プレフ
WBAスーパー、IBF、WBO世界ヘビー級タイトルマッチ
12月19日(土)
08:00
ゲンナディ・ゴロフキン
vs.カミル・シェルメタ
IBF世界ミドル級タイトルマッチ
12月20日(日)
10:00
サウル・アルバレス
vs.カラム・スミス
WBA世界スーパーミドル級王座統一選
1月3日(日)
09:00
ライアン・ガルシア
vs.ルーク・キャンベル
WBC世界ライト級次期挑戦者決定戦

※配信予定、及び出場選手は変更になる場合あり

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