カネロことサウル・アルバレスは、試合ごとに進化した技能を発揮しているように見える。宿敵ゲンナジー・ゴロフキンとの再戦では作戦立て直して退け、ダニエル・ジェイコブス戦ではディフェンス面で猫のように素早い反応を見せた。その後、信じられないほどの冷静さと忍耐、急襲でセルゲイ・コバレフをノックアウトし観客を身震いさせた。
こうした数々の偉業だけでなく、53勝1敗2分け(36KO)という記録をもつカネロは、文句なくボクシング界の顔である。DAZNニュースは、ここにカネロ・アルバレスのファイト、ベスト5を紹介する。
2019年11月2日、対セルゲイ・コバレフ、ノックアウト勝ち
カネロとコバレフは10ラウンドを終えて互いに完全にイーブンだったが、11ラウンド目に……バン! カネロの左フックがコバレフのあごを打ち砕き、ロシア人ボクサーは大きくよろめいた。コバレフにダメージを与えたことを感じ取ったカネロは右フックを打ちこみ、たちまちコバレフは膝から崩れ落ちた。
派手な11回ノックアウトだった。これとまったく同じように、このメキシコ人ボクサーはWBOのライトヘビー級のタイトルをセンセーショナルに勝ちとり、満員のラスベガスのMGMグランド・ガーデン・アリーナで4階級制覇を成し遂げた。
2019年5月4日、対ダニエル・ジェイコブス、圧勝の判定勝ち
ジェイコブス戦での判定勝ち(116-112、115-113、115-113)が、なぜこのメキシコ人ボクサーのファイト、ベスト5のひとつと考えられるのか。答えは簡単だ。カネロは統一世界ミドル級王者として、攻撃のみならず、魔法のような防御の新たなレベルを見せつけたからである。
カネロは卓越したヘッドとボディの動きで素早く「奇跡の男」と呼ばれるジェイコブスのパンチをかわし、翻弄した。ゲンナジー・ゴロフキンとの連戦を成し遂げ、ロッキー・フィールディングをグロッキーにしていたカネロは、特にディフェンスでの進化が段違いで、完全かつ圧倒的な勝利を得たのであった。
2018年9月15日、対GGG、リターンマッチで勝利
2017年9月のカネロとゲンナジー・ゴロフキンとの最初の対戦は、僅差で引き分けと判定されたことが物議をかもし、疑惑の採点と言われた。そのことを伝え聞いたカネロは闘志をかきたてられ、カウンターパンチに頼る戦い方を封印すると、このカザフスタンの闘士GGGを戦いに引きずりこみ、何ラウンドもダウンに追いこんだ。
リターンマッチで、ゴロフキンは879発のパンチのうち234発をカネロにお見舞いし、カネロは622発のうち202発が有効だったが、より効き目があり、決定的なパンチを放ったのは自分だと確信していた。ジャッジも同じ判断で、過半数がカネロ勝利のスコアとなった(114-114、115-113、115-113)。
だが再びGGGは自分が勝者であると考え、多くのボクシングの専門家やファンの間で結果についての意見が分かれた。しかし、カネロの戦略の変更が成功したことは間違いなく、少なくともこの対戦でカネロがゴロフキンを下すのに充分なことをしたのは間違いない。
2015年11月21日、対ミゲール・コット、勝利
カネロは、2013年9月のフロイド・メイウェザー・ジュニア戦で判定負けし、プロになってから初めての敗北を経験したが、それは貴重な体験であった。カネロはそこで学んだことを歴戦のベテランボクサー、ミゲール・コットとの一戦で発揮したのである。2人はメキシコとプエルトリコのボクシングでのライバル意識を再燃させたのであった。
当時コットは35歳、カネロは25歳であったが、コットにはボクサーとして蓄積してきた英知があり、この対戦は若獅子たるカネロにとって危険なマッチアップとなった。事実、カネロはコットが保持していた正統なミドル級のタイトルおよびザ・リングのミドル級タイトルに加え、カネロが負ければ空席となるWBCのベルトをも狙っており、それによりすべてがよりスリリングになった。
メキシコ人ボクサーはこの対戦には何の問題もないと確信しており、堂々とコットを破って2階級制覇を成し遂げた。2018年12月にはフィールディングに3回TKO勝ちでWBA(レギュラー)のスーパーミドル級タイトルを勝ち取り、3階級制覇を成し遂げた。
2016年5月7日、対アミール・カーン、失神KO勝ち
この一戦までにカーンのあごにはすでに問題があった。2012年7月のダニー・ガルシア戦で4回TKO負けしたときにあごを負傷していたのだ。だが、イギリス人ボクサーのカーンは5試合連続勝利を謳歌しており、数々の健康問題を払拭して、カネロ相手のビッグファイトに挑んだのであった。
いずれにせよ、カーンはカネロにジャブをあびせ、メキシコのスターは早々と相手のパンチの届かない距離をとって反撃のチャンスをうかがっていた――ように見えた。
序盤はカーンの攻撃が功を奏し、動きのよさを見せていたが、第6ラウンドに恐ろしい結末が訪れる。カネロの必殺の右腕の一発がイギリス人ボクサーを一瞬でノックアウトしたのだ。コバレフをKOしたときに匹敵する素晴らしいKOで、その時よりも破壊力に増すKOであった。おそらく今後もアルバレス最高のKOでありつづけるだろう。
サウル・“カネロ”・アルバレスの戦績
- 国籍:メキシコ
- 出身地:グアダラハラ
- 生年月日:1990年7月18日
- 身長:175cm
- リーチ:179cm
- 試合数:56
- レコード:53-1-2、36KO
カラム・スミスの戦績
- 国籍:イングランド
- 生まれ:リバプール
- 生年月日:1990年4月23日
- 身長:191cm
- リーチ:198cm
- 試合数:27
- レコード:27-0、19KO
カネロ vs. スミスのフルカード
- カネロ・アルバレスvs.カラム・スミス
- フランク・サンチェスvs.ジュリアン・フェルナンデス
- レイモンド・フォードvs.フアン・アントニオ・ロペス
- オースティン・ウィリアムズvs.イシア・ジョーンズ
- マーク・カストロvs.ルイス・ハビエル・バルデス
- アレクシス・エスピノvs.アシュトン・サイクス
- クリスティアン・ゴメス・デュランvs.アンヘル・エルナンデス
- アレクシス・エドゥアルド・モリーナvs.ロバート・グリーンウッド
ボクシング 配信予定 | DAZN番組表
日時(日本時間) | カード | 詳細 |
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12月19日(土) 08:00 | ゲンナディ・ゴロフキン vs.カミル・シェルメタ | IBF世界ミドル級タイトルマッチ |
12月20日(日) 10:00 | サウル・アルバレス vs.カラム・スミス | WBA世界スーパーミドル級王座統一選 |
1月3日(日) 09:00 | ライアン・ガルシア vs.ルーク・キャンベル | WBC世界ライト級次期挑戦者決定戦 |
※配信予定、及び出場選手は変更になる場合あり
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