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【プレビュー】完全アウェイのイギリスで“クラッシュ・ライト”炸裂なるか。IBFスーパーフェザー級王者の尾川堅一が初防衛戦に挑む|ボクシング

【プレビュー】完全アウェイのイギリスで“クラッシュ・ライト”炸裂なるか。IBFスーパーフェザー級王者の尾川堅一が初防衛戦に挑む|ボクシング(C)Getty Images
【ボクシング プレビュー】日本時間5日(日)、IBFスーパーフェザー級王者の尾川堅一が、敵地カーディフでジョー・コルディナを相手に初の防衛戦を行う。
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IBF世界スーパー・フェザー級王者の尾川堅一(帝拳)が6月4日(日本時間5日)、ウェールズのカーディフで同級3位、ジョー・コルディナ(イギリス)と初防衛戦を行う。悲願の世界王座獲得から半年あまり。強打が武器のチャンピオンが完全アウェイのイギリスで必殺の右ストレート“クラッシュ・ライト”を炸裂させようとしている。

尾川は2021年11月、ニューヨークでアジンガ・フジレ(南アフリカ)との王座決定戦を制してIBFチャンピオンに輝いた。リング上で尾川は「やっぱり4年前、ファーマーとの試合で子どもたちにベルトを…」と声をつまらせ、こみ上げる涙を拳で拭った。

17年12月、テビン・ファーマー(米)に勝利してIBF王座を手にしたとき、だれよりも喜んでくれたのは3人の幼い子どもたちだった。しかし、身に覚えのないドーピング違反が試合後に明らかとなり、無実を訴えたものの試合は無効試合となり、無情にもベルトを剥奪された。そして1年間のライセンス停止処分が下され、尾川は人生のどん底に突き落とされた。そこから這い上がってのベルト獲得は、本人や家族はもちろん、多くのボクシングファンの心を打った。

こうして4年越しの雪辱をはたした尾川にセットされた初防衛戦が今回のコルディナ戦だ。同地は挑戦者の地元であり、激しい声援で知られる英国ファンで埋まったアリーナは完全アウェイ状態となるのは間違いない。それでも逆境に燃える王者は「イギリスのファンに自分の力をアピールするチャンス」とむしろ敵地での戦いを歓迎しているのだから頼もしい。

挑戦者のコルディナはアマチュアで157勝28敗の戦績を誇り、リオデジャネイロ五輪にイギリス代表として出場した30歳だ。尾川も契約するマッチルーム・ボクシング傘下でキャリアを進め、20年に右拳を3度手術するピンチを切り抜けて復活。デビューから14連勝(8KO)と無敗をキープして世界初挑戦にこぎつけた。

アマチュア仕込みのオーソドックスなスタイルの選手で、射程の長いジャブと右ストレートが武器。オリンピアンだけに技術はまとまっており、ガードをしっかり固めてワンツー、左ボディブローで対戦相手を崩しにかかる。

尾川の必殺技は“クラッシュ・ライト”の異名を持つ強烈な右ストレートだ。その特徴は2歳から始めたという日本拳法で培った“踏み込み”の鋭さ。王座を獲得したフジレ戦でもズバッと踏み込んで右を決め、南アフリカ人から強烈なダウンを奪った。

尾川の右は相手選手のガードを打ち破るほどの破壊力がある。もしこれが決まればコルディアが立っているのは不可能であろう。問題はその右が当たるかどうかで、尾川はそのために左のリードや左ボディ、右ストレートから返しの左フックを練習してきた。右を打ち込むための“お膳立て”に時間を費やしてきたというわけだ。

コルディナが尾川の強打を警戒してディフェンスに重きを置く可能性は十分に考えられる。ともに決定打を欠く展開になれば、ジャッジが大声援を浴びる地元選手に傾くという計算も挑戦者陣営にはあるかもしれない。

それでもなお、尾川のパワーと経験が世界初挑戦のホープの野望を打ち砕くと期待したい。コルディナが尾川の圧力に抗いきれなくなれば、チャンピオンが終盤に豪快なKO勝利を収めることになるだろう。

スーパー・フェザー級は現在、WBC王者オスカル・バルデス(メキシコ)との全勝対決を制してWBCとWBOの2冠を保持するシャクール・スティーブンソン(米)が第一人者として君臨する。スティーブンソンの試合を目にして「僕の右なら当たります」と豪語した尾川。まずはイギリスのファンを黙らせ、次なるステップへの足がかりを築いてほしい。

文・渋谷淳(しぶや・じゅん)

1971年生まれ、東京都出身。慶應義塾大卒。新聞社勤務をへて独立し、現在はボクシングを中心にスポーツ総合誌「Number」などに執筆。著書「慶応ラグビー 魂の復活」(講談社)。ボクシング・ビート誌のウェブサイト「ボクシングニュース」、会員制有料スポーツサイト「SPOAL(スポール)」の編集にも力を注いでいる。

尾川 vs コルディナ 日時、開始時刻

  • 日時: 日本時間6月5日(日)
  • 放送時間: 日本時間午前3時
  • メインイベント開始予想時刻: 日本時間午前6時頃

このイベントは日本時間5月22日(日)午前3時から開始される。アンダーカードの進行次第ではあるが、メインイベントを戦う両名の入場は日本時間午前6時15分頃と予想されている。

尾川 vs コルディナ 放送予定

このイベントはDAZNから全世界200以上の国と地域に生中継される。

尾川 vs コルディナ 開催地

この試合はウェールズ・カーディフにあるモーターポイント・アリーナで行われる。

尾川堅一 データと戦績

  • 国籍: 日本
  • 生年月日: 1988年2月1日
  • 身長: 172.7 cm
  • リーチ: データなし
  • 総試合数: 28試合
  • 戦績: 26勝1敗1分(18KO)

ジョー・コルディナ データと戦績

  • 国籍: 英国
  • 生年月日: 1991年12月1日
  • 身長: 175.3 cm
  • リーチ: データなし
  • 総試合数: 14試合
  • 戦績: 14勝0敗(8KO)

尾川 vs コルディナ 全対戦カード

  • 尾川堅一 vs ジョー・コルディナ: IBFスーパーフェザー級タイトルマッチ
  • ゼルファ・バレット vs ファルーク・コルバノフ: スーパーフェザー級
  • ダルトン・スミス vs ホセ・ロペス: スーパーライト級
  • スカイ・ニコルソン vs ガブリエラ・ブービエ: 女子フェザー級
  • ガマル・ヤファイ vs (対戦相手未定): スーパーバンタム級
  • カラム・フレンチ vs ガダタメン・テイラー: スーパーライト級
  • ジョー・モーガン vs ルステム・ファトクリン: スーパーライト級
  • カイラン・ジョーンズ vs ワシフ・マメドフ: ミドル級
  • ベン・クロッカー vs エフゲニー・バゼム: ウェルター級
  • モニク・バックス vs (対戦相手未定): 女子スーパーミドル級

ボクシング 配信予定 | DAZN番組表

        
日時(日本時間)カード詳細
6月5日(日)
3:00
尾川
vs.コルディナ
IBF世界スーパーフェザー級タイトルマッチ
6月11日(土)
8:50
京口
vs.ベルムデス
WBA世界ライトフライ級王座統一戦
6月12日(日)
9:00
ムンギア
vs.ケリー
スーパーミドル級12回戦

  ※配信予定、及び出場選手は変更になる場合あり

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