5月1日は女子ボクシング界にとってだけではなく、ボクシング界全体にとってが歴史的に大きな意味を持つ試合となる。
女子ライト級アンディスピューテッド王者の座を賭けたケイティー・テイラーvsアマンダ・セラーノのイベントは、DAZNが独占生中継を行なう。開催地はかの有名なマディソン・スクエア・ガーデンだ。女子ボクシングへのリスペクトが高まったことを明確に表わしている。
さて、ここまでの道のりは如何程だったのだろうか？
DAZN Newsは二人のパイオニアの旅路を追い、今回の一戦が決定するまでの道のりをたどった。
ケイティー・テイラーの台頭
スポーツファンが女子ボクシングについて語るときに真っ先に上がってくるのが、アイルランドのケイティー・テイラーの名前だ。
2005年にヨーロッパ女子アマチュアボクシング選手権で金メダルを獲得して以来、テイラーには特別な才能があると賞賛されてきた。
2016年11月にプロデビューを果たす前から、テイラーはアマチュアで成功を収めてきた。女子世界選手権では5大会連続で金メダルに輝いた上、ヨーロッパ選手権では6度、欧州連合アマチュアボクシング選手権では5度の金メダルを獲得している。
アマチュア選手にとってオリンピックは至高の目標だ。女子ボクシングは2012年ロンドン五輪で初めて導入されたが、数々の世界選手権で圧倒的な成績を収めてきたテイラーにとっては、同大会でライト級金メダリストに輝いたのは当然の結果だったかもしれない。
2016年のリオ五輪では残念ながら準々決勝で敗退したが、その後テイラーはエディー・ハーン氏とMatchroomの下でプロに転向。2016年11月にプロデビューを果たすと、カリナ・コピンスカにレフェリーストップで勝利した。
それ以降、テイラーはめきめきと頭角を現していく。プロデビューから11カ月で自身初のライト級世界タイトルを獲得すると、2019年11月にはデルフィーヌ・ペルスーンを破ってアンディスピューテッド王者となった。
だが、テイラーの輝かしい成功はライト級だけにとどまらない。2019年11月にはクリスティーナ・リナダトゥを破ってWBO女子スーパーライト級王座を獲得。2階級世界王者となった。
現在テイラーは人生最大の夜に向けて準備を進めている。この試合に勝利すれば、グローブを身に着けた偉大な女性の一人として、揺るぎない地位を確立できるだろう。
アマンダ・セラーノの台頭
プエルトリコのアマンダ・セラーノは、すでにボクシング界における地位を十分に確立した選手だ。
現在33歳のセラーノは、テイラーのようにアマチュア時代に金メダルをたくさん獲得してきたわけではない。だが、2009年3月にプロデビューを飾ると、すぐに世界タイトルを目指し始めた。
セラーノが初めて世界タイトルを獲得したのは2011年9月10日。キンバリー・コナーをレフェリーストップで下し、IBF女子スーパーフェザー級世界王者となった。
その後2014年にはライト級、2016年2月にフェザー級、2016年10月にスーパーバンタム級で世界タイトルを獲得。さらに2017年4月にはダイアナ・サンタナを破ってWBO女子バンタム級タイトルを獲得。5階級王者となった。
だがセラーノはそこで止まらなかった。2018年9月にはヤミラ・エステル・レイノソを破って空位であったWBO女子スーパーライト級王座を戴冠。6階級世界王者となり歴史に名を残したのだ。
さらに翌年、セラーノは7階級世界王者に輝いた。エバ・ボラベルガーを1ラウンドレフェリーストップで下しWBO女子スーパーフライ級タイトルを手にしたのだ。
それ以降セラーノはフェザー級を主戦場としており、ヘザー・ハーディ、ダニエラ・ロミナ・ベルムデス、ヤミレス・メルカドを相手に防衛に成功している。
今回はケイティー・テイラーを相手にさらなる試練を迎える。セラーノが勝利すれば、このプエルトリコ人はボクシング界で最も偉大な女子ファイターと称されるようになるだろう。
今大会の成立に関わったエディー・ハーンとジェイク・ポール
日本時間5月1日に行なわれるイベントでは、もちろんケイティー・テイラーvsアマンダ・セラーノに注目が集まることになるが、この大会の成立にあたって、エディー・ハーン氏とYoutuberのジェイク・ポールが異例の協力関係を結んだことが高く評価されている。
テイラーvsセラーノはもともと2020年に計画されていたが、COVID-19のパンデミックによってすぐに計画が頓挫してしまった。舞台裏ではこの試合を成立させるべく交渉が続けられたが、ファンを会場に入れられない状態で試合を行なうことで、ファイトマネーを減額する必要があることに両陣営とも合意することができなかった。
だが、2年の期間を経て、この試合がDAZNによる生中継のもとで行なわれることになった。
ポールはこの大会の成立に重要な存在ということになるだろう。セラーノがポールの経営するプロモーション団体「Most Valuable Promotions」(MVP)と契約したことで、この試合に関連するあらゆる出来事は100万人単位の人々に見られることになり、マディソン・スクエア・ガーデンでの対決を前に盛り上がりを見せることになるだろう。
ポールはプロボクサーとして5戦を行っているが、ボクシングファンからは愛想をつかされている。だがこの点はハーン氏にとっては気にならないということだ。
北米を中心に放送されている「DAZN Boxing Show」で2月にハーン氏が明かしていたように、どんな悪友の力を借りようとも、テイラーvsセラーノをできる限り大きなイベントにするつもりだということだ。
「彼の意図は、個人的な考えであれ、アマンダのためであれ、ボクシングのためであれ、この試合をできるだけ大きくすることだ」
「だから、私が彼を好きであろうが、彼が私を好きであろうが何だろうが、私達は全く気にしていない。私達は二人とも、歴史的なイベントを作り上げるために動いているんだ」
ボクシング 配信予定 | DAZN番組表
| 日時（日本時間） | カード | 詳細 |
|---|---|---|
| 5月1日（日） 5:00 | テイラー vs.セラーノ | ─ |
| 5月8日（日） 9:00 | カネロ vs.ビボル | WBA世界ライトヘビー級タイトル戦 |
| 5月13日（金） 9:00 | アコスタ vs.リベラ | スーパーフライ級10回戦 |
※配信予定、及び出場選手は変更になる場合あり
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