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モータースポーツ

【小倉茂徳の視点】第18回・激動のバーレーンGP…衝撃的事故も安全性能の進化が奏功する形に|F1

【小倉茂徳の視点】第18回・激動のバーレーンGP…衝撃的事故も安全性能の進化が奏功する形に|F1DAZN
DAZNのF1中継で解説を務めるモータースポーツジャーナリスト、小倉茂徳氏が独自の視点でモータースポーツ界の今に迫る。バーレーンではグロジャンが1周目に大クラッシュ……。マシンは真っ二つになり炎に包まれるも、深刻な事態に至らなかった点に、歴史の積み重ねが実を結んだと強調する。
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文・小倉茂徳(おぐら・しげのり)

モータースポーツジャーナリスト・解説者。鈴鹿サーキットと同じ1962年生まれ。1987-88年ホンダのF1チームの広報スタッフとしてF1を転戦。以後、現職に。子供向けにレーシングカーの仕組みと面白さを伝えながらSTEM教育への入り口となるレクチャーも行っている。2016年からは、スポーツのネット配信DAZNのF1解説を担当。

通常の開催コースに戻って

2020-12-03 Bahrain GP Formula 1 F1

第15戦バーレーンGP。F1はふたたび例年の開催コースに戻りました。

コンディションも比較的暖かく、レース戦略に重要なタイヤについても、データを取ることができました。ただ、バーレーンGPが開催されるバーレーン・インターナショナルサーキットは路面が粗く、タイヤにはかなり厳しいものでした。

スタート直後の大クラッシュ

2020-12-03 Grosjean Haas  Formula 1 F1

決勝はスタートが日没直後のナイトレースでした。スタート直後、後方から順位を上げようとしたハースのロマン・グロジャンは、進路を変更する際に右後輪で他車の左前輪に乗り上げてしまいました。

これでグロジャンのマシンは、フル加速中に急に右側へと向きを変えます。そして、コース脇のガードレールへ深い角度で突っ込む形に。グロジャンのマシンは車体が前後にちぎれ、コクピットのある前半部分はガードレールに刺さった状態で炎上しました。

炎のなかからグロジャンは脱出。両手の甲の部分に軽い火傷などを負いました。ですが命に別状はありませんでした。

2020-12-03 Grosjean Haas  Formula 1 F1

F1の高い安全性の成果

F1は半世紀ほど前から安全性の向上が図られ、30年ほど前から安全性能がさらに強化されてきています。結果、車体の衝撃吸収構造のおかげで、激しい衝突でもグロジャンは意識を失わずにすみました。

大きなヘッドレストとHANS(ハンス)という頭と首を守るドライバー装備で、首の骨と脳神経系を守ることができました。そして、コクピットの上についたHALO(ヘイロー)という装置が、グロジャンの頭をガードレールの直撃から守ったという点も大きかったでしょう。

2020-12-03 Grosjean Haas  Formula 1 F1

今年から耐火性能がより強化されたレーシングスーツも、グロジャンを激しい火災から守りました。コース脇に等間隔で配置された、消火器と火災消火担当のファイヤーマーシャルや、医師を乗せてレースのスタートを後方から追うメディカルカーの活躍もあり、致命的な状況に至らずにすみました。

F1を統括するFIA(国際自動車連盟)は、F1をはじめモータースポーツの安全向上について、科学的な研究開発し続けてきました。

今回の事故は、おそらく以前なら即死してしまうか、重篤な状態になってしまうような規模でした。ですが、グロジャンが比較的軽いけがで生還できたのは、こうした安全研究の成果と言えるもの。

そして、こうした安全研究の成果は、F1以外のレースでも効果を出しているだけでなく、衝突安全ボディやヨーロッパで販売される新車評価基準にも応用されるなど、私たちが普段使う自動車の安全性能向上にも多大な貢献をしています。

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レース再開、激しい戦い

グロジャンの事故の後処理と、壊れたガードレール部分の修復のため約1時間半にわたる中断をしたのち、レースは再開されました。ポールポジションのルイス・ハミルトン(メルセデス)はトップを快走し、2番手のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)以下を引き離します。

レースの焦点は、どのタイヤがどれだけの周回数もつのか?ということになり、大部分は、いちばん硬くて丈夫なハードタイヤか、中間の硬さと丈夫さのミディアムタイヤを選択していました。

それでもサーキットの粗い路面はタイヤに厳しく、赤旗中断中のタイヤ交換を除くと、大部分がレース中に2回のピットストップ(タイヤ交換)を行うことになりました。この2回のピットストップのおかげで順位は激しく動きました。

さらには新品のタイヤか周回数を重ねたタイヤか、ハードかミディアムかソフトかで、それぞれのマシンのラップタイムや有利さが異なり、コース上では激しいバトルが至るところで繰り返されました。結果、慌ただしいほどに動きのある、熱く激しいレース展開になりました。

2020-12-03 Hamilton Verstappen Formula 1 F1

そんななか、アルファタウリのピエール・ガスリーはレース中1回のタイヤ交換で、最後まで乗り切ろうとします。これでピットストップのタイムロスを減らして順位を上げる戦略でした。

タイヤの使い方が巧いガスリーはこのギャンブル的な戦略で、9番手の再スタートからレース終盤には5位まで順位を上げました。ところが、終盤にタイヤの性能劣化が来てしまいました。

ペレスの不運、ガスリーの幸運

性能が劣化したタイヤで防戦一方のガスリー。44周目にはランド・ノリスに、51周目にはカルロス・サインツのマクラーレン勢にそれぞれ抜かれ、5位から7位へと順位を落とす形に。さらに、ルノーのダニエル・リカルドも襲い掛かってきます。

ゴールまであと4周を過ぎたところで、3位走行中だったセルジオ・ペレスのマシンから白煙と炎が出てしまいます。原因はMGU-Kというハイブリッド装置のモーター部分のトラブルでした。ペレスはこれでマシンを停め、表彰台に登る権利を失いました。

2020-12-03 Perez Racing Point Formula 1 F1

ペレスのマシンの排除作業を安全に行うためにセーフティカーが導入され、追い抜き禁止の隊列走行に。これで、リカルドの猛攻から防戦中だったガスリーには救いの手となり、リカルドにとっては悔しい展開となりました。

レースはセーフティカー先導のまま最終周の57周目となり、隊列走行を保ちながらのゴールとなりました。ガスリーは6位でした。優勝は終始トップだったハミルトン。2位と3位はマックス・フェルスタッペンとアレックス・アルボンで、レッドブル勢は今季初の二人そろっての表彰台となりました。

2020-12-03 Hamilton Verstappen Formula 1 F1

アルボンは金曜日のフリー走行2回目で、マシンが大破するクラッシュを喫しました。その日の晩、遅くまで残ってマシンを修復してくれたチームの努力に報いることができました。今季レッドブルのマシンの特性に手を焼いていたアルボンでしたが、最近は次第にマシンを乗りこなせるようになってきています。今季の残り2戦でも、アルボン本来の速さが出せそうなところです。

4位と5位にはノリスとサインツが入り、マクラーレンはこの二人の活躍のおかげで、4チームによる大混戦のコンストラクターズランキング3位争いから、少し抜け出しました。

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ふたたびバーレーンで、異なるレイアウトで

F1は今季最後の2週連続開催となります。第16戦はふたたびバーレーン・インターナショナルサーキットで開催ですが、コースレイアウトは、サーキットの外周コース部分をつないだ、よりコーナーが少ないものになります。

シミュレーション結果では1周が1分を切る高速なレースになるとも言われています。

F1はふたたび未知のコースに挑むことになります。そして、残り2戦の大詰めのなか、ドライバーズ、コンストラクターズともに激しいランキング争いを繰り広げます。

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チーム・ドライバー

日程・番組表

 レースフリー走行・予選決勝
第1戦オーストリアGP 7月3日(金) ~ 4日(土)7月5日(日)
第2戦シュタイアーマルクGP 7月10日(金) ~11日(土)7月12日(日)
第3戦ハンガリーGP 7月17日(金) ~18日(土)7月19日(日)
第4戦イギリスGP 7月31日(金) ~ 8月1日(土)8月2日(日)
第5戦70周年記念GP 8月7日(金) ~ 8日(土)8月9日(日)
第6戦スペインGP 8月14日(金) ~15日(土)8月16日(日)
第7戦ベルギーGP 8月28日(金) ~29日(土)8月30日(日)
第8戦イタリアGP 9月4日(金) ~ 5日(土)9月6日(日)
第9戦トスカーナ・フェラーリ1000GP 9月11日(金) ~12日(土)9月13日(日)
第10戦ロシアGP 9月25日(金) ~ 26日(土)9月27日(日)
第11戦アイフェルGP 10月9日(金) ~ 10日(土)10月11日(日)
第12戦ポルトガルGP 10月23日(金) ~24日(土)10月25日(日)
第13戦エミリア・ロマーニャGP 10月31日(土)11月1日(日)
第14戦トルコGP 11月13日(金) ~ 14日(土)11月15日(日)
第15戦バーレーンGP 11月27日(金) ~ 28日(土)11月29日(日)
第16戦サクヒールGP 12月4日(金) ~5日(土)12月6日(日)
第17戦アブダビGP 12月11日(金) ~ 12日(土)12月13日(日)