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【小倉茂徳の視点】第29回・波乱続きのアゼルバイジャンGP、勝負への強い熱意が明暗を生む結果に|F1

【小倉茂徳の視点】第29回・波乱続きのアゼルバイジャンGP、勝負への強い熱意が明暗を生む結果に|F1DAZN
DAZNのF1中継で解説を務めるモータースポーツジャーナリスト、小倉茂徳氏が独自の視点でモータースポーツ界の今に迫る。高速市街地コースのバクー決戦、第6戦アゼルバイジャンGPを小倉茂徳氏はどう見たのか。
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文・小倉茂徳(おぐら・しげのり)

モータースポーツジャーナリスト・解説者。鈴鹿サーキットと同じ1962年生まれ。1987-88年ホンダのF1チームの広報スタッフとしてF1を転戦。以後、現職に。子供向けにレーシングカーの仕組みと面白さを伝えながらSTEM教育への入り口となるレクチャーも行っている。2016年からは、スポーツのネット配信DAZNのF1解説を担当。

モナコと異なる市街地コースのバクー

2021-06-04 Tsunoda Yuki Alphatauri F1 Formula 1

モナコGPから中1週間を経て、第6戦アゼルバイジャンGPとなりました。モナコGPのモンテカルロも、アゼルバイジャンGPのバクーも、どちらも市街地の公道特設サーキットですが、その特性はまったく異なります。

モンテカルロは基本的に曲がりくねったレイアウト。コース幅も狭く、低速な特性の公道コースとして知られます。

一方、バクーは2.2kmにもおよぶスロットル(アクセル)全開区間があり、一周の平均速度は時速205kmほど。最高速度も時速340kmを超える、F1カレンダー中屈指の高速型コースとなります。

予選好調のフェラーリ、苦しんだメルセデス

2021-06-05 Leclerc Ferrari F1 Formula 1

市街地コースのモナコGPに続いて、アゼルバイジャンGPの予選でもフェラーリのチャールズ・ルクレールがポールポジションを獲得しました。

高速区間ではまだライバルより遅れをとっていたところもありましたが、モナコでもアゼルバイジャンでも予選では好調。フェラーリの性能が上がりつつあることを示した結果に。

一方、メルセデス勢はモナコに続いてアゼルバイジャンでもフリープラクティスの初日から苦しむ状況。予選でルイス・ハミルトンはやや改善して2位になりましたが、バルテリ・ボッタスは10位と苦戦の内容となっています。

決勝で圧倒的だったフェルスタッペン

2021-06-12 Verstappen F1 Formula 1

決勝は序盤からハミルトンがトップのポジションを奪って逃げました。でも上位勢が1回目のピットストップを終えた時点で、トップはマックス・フェルスタッペン、2位はセルジオ・ペレスと、レッドブルの1-2体制となりました。3位のハミルトンはレッドブル勢に追い付けず、徐々に引き離されていく流れに。

するとレース中盤、ハードタイヤでロングランをしていたランス・ストロールが、ロングストレートでタイヤバースト(破裂)に見舞われ、リタイアを余儀なくされます。

セーフティカーが入ったことにより、フェルスタッペンは7秒近い大量リードを失う形に。それでも、フェルスタッペンはレース再開になると再びリードを築き、終盤には2位ペレスとの差を4秒前後に保ってのクルージング(巡航走行)ができるほどでした。

ところが、51周レースの46周目、ロングストレートでフェルスタッペンのタイヤも突如バースト。優勝目前に迫っていたフェルスタッペンは、残り5周でのクラッシュにより、まさかのノーポイントとなってしまいました。

なお、このストロールとフェルスタッペンのタイヤバーストの原因についてはタイヤメーカーが詳細を調査中とのこと。壊れた部分の状態や他車のタイヤ状況から、クラッシュしたマシンの破片など、デブリを踏んだことによってタイヤが切れた可能性があると考えられています。

勝利への熱い想い、明暗を分けた一瞬

2021-06-12 Hamilton Perez F1 Formula 1

フェルスタッペンがクラッシュしたことに伴い、後処理などの理由からレースは赤旗中断となりました。そして1周フォーメーションラップを行ったあと、残り2周で再開というスーパースプリントレースで勝負を決することに。

再スタート前、2番グリッドにいるハミルトンのブレーキから白煙が上がります。フォーメーションラップ中に入念にタイヤとブレーキを温め、最大の性能を発揮させることで、1コーナーでトップを獲るという、ハミルトンの気迫が現れていたと言えるでしょう。

スタートの瞬間、ハミルトンが前へ出ようとします。それに対して先頭ペレスはハミルトンのいるイン側にラインをとってけん制。ペレスもまた絶対にトップを守るという不退転の決意を見せました。

ですが1コーナーでインを突いたハミルトンはそのまま直進してコースアウト。集団の最後尾まで落ちる状況に。

ペレスと競り合った際にハミルトンは、ステアリングホイール(ハンドル)についたスイッチの一つにうっかり触れていたようです。

これはチームがブレーキマジックと呼ぶスイッチで、レース状態以外でタイヤやブレーキをウォームアップさせるときに使うもの。これを作動させるとブレーキ性能の大部分がフロントタイヤへと移り、リヤブレーキが利きにくくなるという、ブレーキバランスが大幅に変わる装置でした。

これで1コーナーでインを突いたハミルトンは充分な減速ができず、逸走する形に。真っ向勝負ではレッドブルに勝てない。でも残り2周のスタートで前に出られたら活路がある。「なんとしても勝ちたい」というハミルトンの強い想いと、緊張感ゆえのエラーだったと言えるでしょう。

一方、トップを守ったペレスは2番手セバスチャン・フェテルの追撃をかわしつつ、そのままトップチェッカーを受けました。レッドブルチーム加入後、初優勝。昨年の第16戦サヒールGP以来、通算2勝目をマークしています。

古豪が歴史的な2位表彰台

2021-06-12 Vettel F1 Formula 1

2位にはアストン・マーティンのフェテルが入りました。今回アストン・マーティン勢は好調で、フェテルは予選Q2終盤のアタックが赤旗で中断されたことにより、11位スタートとなりました。

ですが決勝ではタイヤ交換をやや遅らせたことでライバルの前に出て、しかも後半はライバルよりもタイヤの状態が良いことを活かし、さらに有利な戦いへと流れを生み出す戦いぶりを見せました。4度のワールドチャンピオンであるフェテル自身の速さを示すとともに、レース巧者ぶりも光った一戦と言えるでしょう。

今季からF1に復帰したアストン・マーティンは、1959年と1960年にもF1に参戦していました。しかし過去の参戦時代、そして今季と合わせて、F1での表彰台はこれが初めてとなります。2位という結果もチーム史上最上位でした。

昨年はフェラーリ在籍のラストシーズンで苦戦したフェテルですが、今回の2位表彰台で見せた笑顔はとても印象的でした。アストン・マーティンの歴史という観点からしても、とても意義深い2位フィニッシュとなりました。

ホンダパワーの特性が際立つレースに

2021-06-12 Perez Gasly F1 Formula 1

3位表彰台に上がったのは、アルファタウリのピエール・ガスリーでした。最後のスプリントでは、少年時代からのレース仲間でもあるルクレールとの激しいバトルを展開し、フェアな戦いで制しました。同じアルファタウリでは角田裕毅も自身最高位の7位に入賞しました。

今回、アゼルバイジャンにおいてレッドブルとアルファタウリはとても速いマシンだったと言えるでしょう。

これはドライバーの良さ、マシンの良さとともに、ホンダのパワーユニットの特性も貢献していました。今回はスロットル全開の高速区間が長く、最大出力がものをいうところでもあります。モナコでは操縦性の良さで、そして今回は最大出力で、ホンダのパワーユニットがともにトップクラスであると示されました。

南フランスの高速サーキットへ

2021-06-13 2019 France Gasly Red Bull F1 Formula 1

さて、F1は第7戦第96回フランスGPへと臨みます。開催コースのポール・リカール・サーキットは、バクーと同様に高速型のコースという特性になります。

レッドブル、アルファタウリのホンダ勢は、パワーを活かしてフランスでも優位を保つことができるのでしょうか?

メルセデスは巻き返せるのか? フェラーリは? アストン・マーティンは? マクラーレンや地元開催のアルピーヌは? などなど、興味が尽きないところです。

フランスGPは日程変更で当初の予定より1週間早まり、6月20日が決勝日となります。

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【連載】小倉茂徳の視点

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チーム・ドライバー

日程・番組表

 レースフリー走行・予選決勝
第1戦バーレーンGP 3月26日(金) ~27日(土)3月28日(日)
第2戦エミリア・ロマーニャGP 4月16日(金) ~17日(土)4月18日(日)
第3戦ポルトガルGP 4月30日(金) ~5月1日(土)5月2日(日)
第4戦スペインGP 5月7日(金) ~ 8日(土)5月9日(日)
第5戦モナコGP 5月20日(木) ~22日(土)5月23日(日)
第6戦アゼルバイジャンGP 6月4日(金) ~5日(土)6月6日(日)
第7戦フランスGP 6月18日(金) ~ 19日(土)6月20日(日)
第8戦シュタイアーマルクGP 6月25日(金) ~26日(土)6月27日(日)
第9戦オーストリアGP 7月2日(金) ~ 3日(土)7月4日(日)
第10戦イギリスGP 7月16日(金) ~ 17日(土)7月18日(日)
第11戦ハンガリーGP 7月30日(金) ~31日(土)8月1日(日)
第12戦ベルギーGP 8月27日(金) ~28日(土)8月29日(日)
第13戦オランダGP 9月3日(金) ~ 4日(土)9月5日(日)
第14戦イタリアGP 9月10日(金) ~ 11日(土)9月12日(日)
第15戦ロシアGP 9月24日(金) ~25日(土)9月26日(日)
第16戦トルコGP 10月8日(金) ~ 9日(土)10月10日(日)
第17戦アメリカGP 10月22日(金) ~ 23日(土)10月24日(日)
第18戦メキシコGP 11月5日(金) ~ 6日(土)11月7日(日)
第19戦サンパウロGP 11月12日(金) ~ 13日(土)11月14日(日)
第20戦カタールGP 11月19日(金) ~ 20日(土)11月21日(日)
第21戦サウジアラビアGP 12月3日(金) ~ 4日(土)12月5日(日)
第22戦アブダビGP 12月10日(金) ~ 11日(土)12月12日(日)