ハースのロシア人ドライバー、ニキータ・マゼピンがシート喪失の危機に陥っている。
2月24日にロシア軍がウクライナに軍事侵攻を行ったことから、ハースF1チームはメインスポンサーであるウラルカリ社のロゴをマシンから排除。また、フロントウイングやカウルに入っていたロシア国旗のカラーリングも外すなど、対処に追われていた。
そしてイギリスのモータースポーツを統括するモータースポーツUKは3月3日、ロシアから競技ライセンスを発行されているドライバーについて、イギリス国内でのレース活動を禁止すると発表した。この決定により、ハースのマゼピンは異なる国からのライセンス発行や措置の撤回がない限り、イギリスGPで出走することが不可能に。また、イギリスだけでなく他のF1開催国もこの動きに追随するのではないかとの見方が強い。
この状況を受け、マゼピンについてはハースF1チームから契約解除されるのではないかとのうわさも浮上している。
『ESPN』は「マゼピンが解雇された場合、5名のドライバーが有力候補の代案となる」として、後任になり得るドライバーの特集を組んでいる。その5名は以下のとおり。
ピエトロ・フィッティパルディ
元世界王者(1972年、1974年)エマーソンの孫であるブラジル(出生地はアメリカ)のピエトロ・フィッティパルディが最も有力なマゼピンの後継者だろう。すでにハースのリザーブドライバーとして契約を結んでいる。
彼はバーレーンのプレシーズンテストで走る可能性が高い。ただ、フルタイム参戦ドライバーとしてそのままポジションを得るかと言ったら、一筋縄ではいかないだろう。
彼はすでに2020年、2つのレースで出走している。ロマン・グロージャンがバーレーンGPで大クラッシュした際、彼はリザーブとして残り2戦、グリッドに着いた。目に見えた結果を残したわけではなかったが、大きなミスもなくしっかりと走りきっている。
ピエトロは2018年に世界耐久選手権、スパ・フランコルシャンで両足を骨折する重傷を負った。その後、インディ500に参加するチャンスを逃すなど、大怪我により様々な機会を断念することになった。
弟エンツォ(F2に参戦中)も下部カテゴリーで奮闘しており、フィッティパルディはフォーミュラカーの世界において、引き続き存在感のある名前となっている。
アントニオ・ジョビナッツィ
このイタリア人ドライバーは、マゼピンが抜けた場合の代案として最も最適な人物かもしれない。
彼は昨季までアルファロメオのレギュラードライバーを務めていた。フェラーリのリザーブとして引き続きフェラーリと密接な関係をキープしており、そのポジションはミック・シューマッハとの分業で役割を担っている。
ハースはフェラーリのパワーユニットも搭載しており、緊密な関係であることも後押しの要因になるだろう。実際にハースがジョビナッツィを乗せるためにクリアすべき障壁は簡単なもので、マラネッロ(フェラーリの本拠地)からのインセンティブに追加される可能性がある。
ジョビナッツィはアルファロメオ時代、ブラジルGPで5位入賞を果たすなど、決して競争力があるわけではないマシンでも才能を示した。ただ、僚友である2007年の世界王者キミ・ライコネンに匹敵するスピードを見せたにもかかわらず、一貫性のなさから契約延長を勝ち取ることができなかった。
このイタリア人ドライバーはアルファロメオで見せたように、ハースのような下位チームでも十分に力を示すことができるだろう。また、F1カーのブランクが皆無に等しい点も大きなプラスとなる。ジョビナッツィはトラック上ではマゼピンよりも十分に仕事ができるとすでに証明しており、ミック・シューマッハの相棒としても様々なものをもたらすはずだ。
彼は現在、フォーミュラEなど異なる舞台でも走ることになっている。それでもレギュラードライバー復活の道が選択肢にあるのであれば、再びF1のグリッドに戻るシナリオは十分に起こりえるだろう。
ケビン・マグヌッセン
彼はかつてハースでレギュラードライバーを務め、2017年~2020年までF1のグリッドに着いていた。
ジーン・ハース代表が賛辞を贈るような、ハードワークができるドライバーだったにもかかわらず、彼は契約更新とはならず、2年前にチームを去った。マグヌッセンも、当時の同僚だったロマン・グロージャンも、ウラルカリ社の後押しを受けたマゼピンに太刀打ちすることができなかったのだ。
彼の取り巻く状況は中1年で大きく変わった。インディカーにも参戦し、世界耐久選手権にも出場するためのサインを交わしている。つまり、マグヌッセン本人がF1帰還を望んでいたとしても、多くの障壁がそれを阻んでしまうかもしれない。
ただ、彼はチームと良好な状態で去ったこともあり、慣れ親しんだ古巣に戻ったとしたら、すぐさまフィットするだろう。
オスカー・ピアストリ
もし若い才能を輝かせるという選択肢を優先するのなら、彼以外に適任の候補者はいないだろう。
このオーストラリア人は過去3シーズン、フォーミュラ・ルノー、F3、F2と立て続けにタイトルを掲げてきた。2022年のF1ステップアップは論理的にも妥当と思えたが、彼にはレギュラードライバーとしてのポジションはなく、アルピーヌのリザーブドライバーという役割が待っていた。ルーキーでF1のレギュラードライバーとなったのは、アルファロメオのチョウ・グァンユだけとなっている。
この採用は、F1のグリッドに着くことが才能や実力より、お金がものを言うという事実を強調したものだ。ただ、ピアストリがマゼピンの後任になるかと言ったら、その可能性は低いのが実情である。
彼はエステバン・オコン、フェルナンド・アロンソのリザーブとしてアルピーヌと契約を交わしており、フランスのチームはピアストリについて、ライバルチームへ容易に手放すようなことはしないだろう。
ただ、ミック・シューマッハ、ピアストリのコンビが実現したら、F2の歴代王者(2020年&2021年)が組むことになる。ともに前途有望なキャリアを送ることは確かだと思われるし、場合によってはピアストリがシューマッハを上回る才能を示すことも十分にあるだろう。
ニコ・ヒュルケンベルグ
彼の名前もいまだにF1界ではしばしば取り上げられる。2020年、新型コロナウイルス陽性により、セルジオ・ペレスとランス・ストロールがレースを欠場した。そのときにスーパーサブとしての役割を果たしたのが、このドイツ人ドライバーだ。
代役を務めた3レースで堅実な仕事を見せたことにより、ドライバー交代の話が浮上するたびにヒュルケンベルグは議題となっていた。だが、彼は現在アストンマーティンのリザーブドライバーを務めているため、ハースとの交渉があったとしても、トリッキーなことになるだろう。そのため、マゼピンがシートを失ったとしても多くのクリアすべき問題があることから、彼が代役を務めることはほぼあり得ないはずだ。
果たしてマゼピンは2022年シーズン、F1における2シーズン目をレギュラードライバーとして迎えることができるのだろうか。
ロシア軍のウクライナ軍事侵攻はモータースポーツ界のみならず、世界に暗い影を落としている状況となるが、開幕を前にハースはレギュラードライバー交代の選択肢に踏み切ることになるかもしれない。
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チーム・ドライバー
日程・番組表
レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
---|---|---|---|
第1戦 | バーレーンGP | 3月18日(金) ~19日(土) | 3月20日(日) |
第2戦 | サウジアラビアGP | 3月25日(金) ~26日(土) | 3月27日(日) |
第3戦 | オーストラリアGP | 4月8日(金) ~4月9日(土) | 4月10日(日) |
第4戦 | エミリア・ロマーニャGP | 4月22日(金) ~ 23日(土) | 4月24日(日) |
第5戦 | マイアミGP | 5月6日(木) ~7日(土) | 5月8日(日) |
第6戦 | スペインGP | 5月20日(金) ~21日(土) | 5月22日(日) |
第7戦 | モナコGP | 5月27日(金) ~ 28日(土) | 5月29日(日) |
第8戦 | アゼルバイジャンGP | 6月10日(金) ~11日(土) | 6月12日(日) |
第9戦 | カナダGP | 6月17日(金) ~ 18日(土) | 6月19日(日) |
第10戦 | イギリスGP | 7月1日(金) ~ 2日(土) | 7月3日(日) |
第11戦 | オーストリアGP | 7月8日(金) ~9日(土) | 7月10日(日) |
第12戦 | フランスGP | 7月22日(金) ~23日(土) | 7月24日(日) |
第13戦 | ハンガリーGP | 7月29日(金) ~ 30日(土) | 7月31日(日) |
第14戦 | ベルギーGP | 8月26日(金) ~ 27日(土) | 8月28日(日) |
第15戦 | オランダGP | 9月2日(金) ~3日(土) | 9月4日(日) |
第16戦 | イタリアGP | 9月9日(金) ~ 10日(土) | 9月11日(日) |
第17戦 | ロシアGP | 9月23日(金) ~ 24日(土) | 9月25日(日) |
第18戦 | シンガポールGP | 9月30日(金) ~10月 1日(土) | 10月2日(日) |
第19戦 | 日本GP | 10月7日(金) ~ 8日(土) | 10月9日(日) |
第20戦 | アメリカGP | 10月21日(金) ~ 22日(土) | 10月23日(日) |
第21戦 | メキシコGP | 10月28日(金) ~ 29日(土) | 10月30日(日) |
第22戦 | サンパウロGP | 11月11日(金) ~ 12日(土) | 11月13日(日) |
第23戦 | アブダビGP | 11月18日(金) ~ 19日(土) | 11月20日(日) |