路面コンディションが次々と変わるモナコGPで、ルクレールがチャンスを逸す
もしかして、呪われている?
としか思えないシャルル・ルクレールの惨敗でした。F2時代も含め、地元モナコでこれまで入賞すらできていなかったことを思えば、今回のモナコGP4位入賞は十分な結果だったという言い方もできます。
ですがレース中のオーバーテイクがほぼ不可能なモナコで、ルクレールはぶっちぎりのポールポジションを獲得しており、悲願の母国初優勝はすぐ手の届くところにありました。
決勝当日は雨に見舞われ、不確定要素が一気に増しましたが、難しいコンディションのローリングスタートもきっちり決めて首位を快走していました。18周目のインターメディエイトへの交換で3番手に後退しましたが、首位に返り咲くチャンスはまだ十分にありました。
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その3周後、さらに路面が乾いていく状況で、フェラーリはウェットタイヤで走り続けて暫定首位に上がっていたカルロス・サインツと同時に、ルクレールにも「ボックス」の指示を出します。ところがサインツとルクレールの間隔が近すぎることがわかり、慌てて「ステイアウト!」と真逆の指示に切り替えました。
しかしルクレールはすでにピットロードに進入したあとで、ステアリングを叩きながら「何やってるんだ!」と絶叫。サインツの後ろで待っている時間はほんの2秒ほどでしたが、次周にピットインしたレッドブル2台にアウトラップされ、4番手に落ちてしまったのでした。
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4位フィニッシュ後のルクレールは、無理やり笑顔は浮かべながらも「誰にもミスを犯すことはあるけど、あまりに多すぎる」「本当はめちゃくちゃ怒ってる」と、チームへの怒りを隠しませんでした。
フェラーリのドタバタはルクレールの勝利をフイにしたという点で、かなり重大なものでした。そもそも1回目のタイヤ交換も、セルジオ・ペレスの16周目のピットインに即座に反応してピットインするか、あるいはサインツのようにもう数周待って直接スリックタイヤに履き替えるべきでした。
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サインツはまさにそのおかげで、ペレスと最後まで優勝を争えました。対照的にルクレールは2回のピットストップの両方でチームがミスを犯したために、トップから4位に転落。ルクレールがモナコ初優勝を逃したというだけでなく、両方の選手権で首位を奪還する絶好のチャンスを逃したという点で、フェラーリにとっても実に手痛い敗戦でした。
今回の戦略ミスについてフェラーリOBのゲルハルト・ベルガーやエディ・アーバインは「フェラーリはよくやっている。批判しすぎだ」と言ってますが、ルクレールはそんな擁護コメントを冷静に受け止めることはできないでしょう。
フェラーリのドライバーズタイトル獲得は2007年のキミ・ライコネンが最後で、もう15年も前のことです。その間にはフェルナンド・アロンソが2010年にほぼタイトルを手中にしながら、最終戦アブダビGPでピット戦略ミスの犠牲となって、総合2位に終わっています。
フェラーリは全F1ドライバー憧れの存在であると同時に、彼らの期待にあまりにも応えられずに来ています。上述のアロンソに加え、アラン・プロスト、セバスチャン・ベッテルといった世界チャンピオンも、頂点を極めることなくフェラーリを去っていきました。
ジャン・アレジもフェラーリでなく、当時最強だったウィリアムズに移籍していれば、わずか1勝でF1キャリアを終えることはなかったでしょう。
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レッドブルやメルセデスもミスを犯しますが、彼らの方がそこからしっかり学んで活かしている印象です。ラテン系の民族性のせいにするのは短絡的すぎるし、フェラーリのスタッフにはイギリス人やドイツ人もたくさんいます。
でも同じくイタリアに本拠を置くアルファタウリも似たようなチョンボを繰り返しているのを見ると、ラテン系チームの共通点というのはあるのかもしれません。今のルクレールは「とにかくミスだけはしないでくれ」と祈るような気持ちでしょうね。
文・柴田久仁夫(しばた・くにお)
1956年静岡県生まれ。1980年代よりフランス・パリを拠点とし、TV番組制作の現場で手腕を振るう。1987年よりF1の世界にも足を踏み入れ、それ以来数々のレースを取材してきた。訪れたサーキットでは素足でトラックの感触を確かめるというライフワークも行っている。2016年より本拠地を東京に移し、現在は『DAZN』のモータースポーツ中継でも解説を務める。
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【レース情報】
F1 第8戦:アゼルバイジャンGP※日本時間
6月10日(金)20:00~フリー走行1回目
6月10日(金)23:00~フリー走行2回目
6月11日(土)20:00~フリー走行3回目
6月11日(土)23:00~予選
6月12日(日)20:00~決勝
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チーム・ドライバー
日程・番組表
レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
---|---|---|---|
第1戦 | バーレーンGP | 3月18日(金) ~19日(土) | 3月20日(日) |
第2戦 | サウジアラビアGP | 3月25日(金) ~26日(土) | 3月27日(日) |
第3戦 | オーストラリアGP | 4月8日(金) ~4月9日(土) | 4月10日(日) |
第4戦 | エミリア・ロマーニャGP | 4月22日(金) ~ 23日(土) | 4月24日(日) |
第5戦 | マイアミGP | 5月6日(木) ~7日(土) | 5月8日(日) |
第6戦 | スペインGP | 5月20日(金) ~21日(土) | 5月22日(日) |
第7戦 | モナコGP | 5月27日(金) ~ 28日(土) | 5月29日(日) |
第8戦 | アゼルバイジャンGP | 6月10日(金) ~11日(土) | 6月12日(日) |
第9戦 | カナダGP | 6月17日(金) ~ 18日(土) | 6月19日(日) |
第10戦 | イギリスGP | 7月1日(金) ~ 2日(土) | 7月3日(日) |
第11戦 | オーストリアGP | 7月8日(金) ~9日(土) | 7月10日(日) |
第12戦 | フランスGP | 7月22日(金) ~23日(土) | 7月24日(日) |
第13戦 | ハンガリーGP | 7月29日(金) ~ 30日(土) | 7月31日(日) |
第14戦 | ベルギーGP | 8月26日(金) ~ 27日(土) | 8月28日(日) |
第15戦 | オランダGP | 9月2日(金) ~3日(土) | 9月4日(日) |
第16戦 | イタリアGP | 9月9日(金) ~ 10日(土) | 9月11日(日) |
第17戦 | シンガポールGP | 9月30日(金) ~10月 1日(土) | 10月2日(日) |
第18戦 | 日本GP | 10月7日(金) ~ 8日(土) | 10月9日(日) |
第19戦 | アメリカGP | 10月21日(金) ~ 22日(土) | 10月23日(日) |
第20戦 | メキシコGP | 10月28日(金) ~ 29日(土) | 10月30日(日) |
第21戦 | サンパウロGP | 11月11日(金) ~ 12日(土) | 11月13日(日) |
第22戦 | アブダビGP | 11月18日(金) ~ 19日(土) | 11月20日(日) |