経歴
11歳でフェラーリ・アカデミー入り
1998年、カナダで生まれたランス・ストロールは、10歳のころからカートでのキャリアをスタートさせた。カナダやアメリカの選手権を転戦しながらその才能を発揮し、2010年には11歳にしてフェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)のメンバ―に選ばれる異色の存在だった。
フェラーリの支援を受け、2011年からはヨーロッパを主戦場にカートで腕を磨き、2014年にはフォーミュラへとステップアップ。イタリアF4では、ルーキーながら2位に大差をつけてタイトルを獲得している。
2015年にはヨーロッパF3に参戦し、優勝1回を含む総合6位を記録。そんな最中、ウィリアムズのテストドライバー就任の話が舞い込み、FDAを離脱して2016年からF1マシンをドライブさせる機会を得た。
父親の強烈なバックアップを背にF1へ
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2016年はウィリアムズのテストドライバーと、ヨーロッパF3の二足のわらじで活動したストロール。翌年のF1デビューに向け、実業家である父ローレンスの資金力で世界中のF1サーキットを貸し切り、2年落ちのF1マシンで何度もプライベートテストを実施した。また、ヨーロッパF3ではその実力を発揮して全30戦中20勝と圧倒してタイトルを獲得した。
ストロール親子の狙い通り、2017年にはウィリアムズのレギュラードライバーとしてシートを獲得。その際、父ローレンスがチームに80億円を超える持参金を持ち込んだことで、史上最高額のペイドライバーと話題になった。
一方、コース上ではデビューから3戦連続でリタイアとなり、序盤戦は力量不足が指摘されたこともあったが、大混戦となった第8戦アゼルバイジャンGPで3位表彰台を獲得し、結果でその批判を覆した。さらにシーズン中もレースの合間にプライベートテストを継続して行い、徐々に安定感のある走りを身につけていった。
ウィリアムズからレーシング・ポイントへ
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2018年は競争力で劣るウィリアムズのマシンで苦戦し、入賞2回で総合18位という結果だったが、翌2019年にレーシング・ポイントへ加わることが決定。この移籍には、父ローレンスの投資グループがフォース・インディア(のちにレーシング・ポイントへ改称)を買収し、チームのオーナーとして息子を迎え入れたという背景があった。
父がオーナー、子がドライバーという体制となった2019年は、第11戦ドイツGPでピットストップのタイミングがズバリと決まり、4位入賞。マシンの開発に遅れが生じたこともあり、このレースが同シーズン最大のハイライトとなった。
そして迎えた2020年はレーシング・ポイントのポテンシャルがメルセデス、レッドブルに次ぐ3番手争いを展開するレベルまで上昇。ストロールは相棒セルジオ・ペレスに比べてポイント数でこそ見劣りはしたが、第14戦トルコGPではウェットコンディションの中で抜群のコントロール力を発揮し、キャリア初のポールポジションをマーク。決勝でも濡れた路面の中で先行し、一時はファステストラップを連発しながらトップを快走した。だが結果的に2020シーズンは2度3位表彰台に上がったのが最高成績で、年間11位に終わっている。また、第11戦アイフェルGPでは土曜日のセッションを前に体調不良を訴えて欠場。後に新型コロナウイルスに感染していたことを公表し、チーム含め批判の対象にもなった。
父ローレンスが英国の自動車メーカー「アストンマーティン」の株式を買収して大株主となり、レーシング・ポイントは2021年からチーム名がアストンマーティンへと生まれ変わることに。新たな相棒として、4度の王者セバスチャン・ベッテルが僚友となった。
2021年シーズンは中団でやや苦戦
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前年はレーシング・ポイントの最終シーズンでコンストラクターズ4位と躍進を見せたが、2021年のアストンマーティン初年度は前年に比べてややメルセデス&レッドブルのトップ争いから離される状況に。ストロールも開幕戦のバーレーンGPで10位入賞を果たしたものの、終盤にはアルファタウリのルーキー角田裕毅にオーバーテイクを許しての開幕10位となった。
第2戦エミリア・ロマーニャGP、第5戦モナコGPでストロールは8位入賞を果たすも、チームはアルピーヌ、アルファタウリとの中団争いでもやや苦戦を強いられる。
結局ストロールは22レース中、予選Q3に進出したのは6回。シーズンを通じての最高位は第20戦カタールGPの6位フィニッシュで、入賞回数は9度で34ポイントを手にした。ドライバーズランキング13位で2021年シーズンを終えている。
2022年は8度の入賞で総合15位
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2022年は序盤こそ苦戦したものの、アストンマーティンのAMR22は徐々にポテンシャルを高めていく。
ストロールはシーズンスタートから12位、13位、12位と完走を果たすと、第4戦エミリア・ロマーニャGP、第5戦マイアミGPでは2戦連続で10位入賞となる。後半戦に入るとアストンマーティンは時折上位勢に匹敵するタイムを出す場面も散見され、シンガポールGPでストロールは6位入賞を果たした。この決勝順位が結果として同シーズンの最高位に。
8度の入賞で18ポイントを稼ぎ、総合15位でストロールは2022年を終えている。
2023年は開幕前に大怪我…開幕から参戦も、僚友アロンソとの差は歴然
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僚友ベッテルが2022年をもって引退。アストンマーティンに2023年よりフェルナンド・アロンソが加わることになった。
新シーズンのプレシーズンテストを控えた2023年2月20日、アストンマーティンはストロールが自転車トレーニング中に転倒し、同23日~25日に予定しているテストを欠場すると公表した。代役は2022年のF2王者であり、リザーブドライバーのフェリペ・ドルゴヴィッチが務めることに。結果としてテストはアロンソ&ドルゴヴィッチと、前年は同チームのレギュラーでなかった2名で挑むことになった。
そしてチームはストロールが間に合わなかった場合、開幕戦バーレーンGPはドルゴヴィッチが参戦する意向を示した。
だが3月2日、アストンマーティンはストロールがバーレーンGPに問題なく参戦すると表明。本人は「開幕戦に間に合わせるため、ここまでリハビリに集中してきた」と、初戦はぶっつけ本番の状態ながら新シーズンへの意気込みを口にしている。
そして開幕戦からアストンマーティンのマシンでアロンソが速さを示し、レッドブルの2台に次ぐポジションで3位表彰台に複数回上がった一方、ストロールは負傷明けの影響かなかなか上位勢と競うことができず。第3戦オーストラリアGPでは4位フィニッシュを果たしたが、終盤にライバル勢がクラッシュやトラブルで次々に姿を消した中での4位上昇だった。
アストンマーティンはこの年、レッドブルを追う第2勢力の一角として戦ったが、ストロールは74ポイントで総合10位。アロンソが206ポイントで総合4位という結果だっただけに、かなり見劣りする結果となってしまった。
続く2024年シーズンもストロール&アロンソのコンビで挑むこととなっているが、アストンマーティンは引き続き競争力を有しているのかが注目ポイントとなる。
プロフィール
ランス・ストロール
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1998年10月29日生まれ|カナダ国籍|ウィリアムズ(2017~2018)、レーシング・ポイント/アストンマーティン(2019~)
通算成績(2024年開幕時点)
- 出走/145回
- 優勝/0回
- PP/1回
- FL/0回
年 | チーム名 | 勝利数 | 年間成績 |
---|---|---|---|
2017年 | ウィリアムズ | 0勝 | 12位 |
2018年 | ウィリアムズ | 0勝 | 18位 |
2019年 | レーシング・ポイント | 0勝 | 15位 |
2020年 | レーシング・ポイント | 0勝 | 11位 |
2021年 | アストンマーティン | 0勝 | 13位 |
2022年 | アストンマーティン | 0勝 | 15位 |
2023年 | アストンマーティン | 0勝 | 10位 |
2023年の成績
- 年間:74ポイント/10位
- 優勝/0回
- PP/0回
- FL/0回
レース名 | 決勝順位 |
---|---|
第1戦バーレーンGP | 6位 |
第2戦サウジアラビアGP | Ret. |
第3戦オーストラリアGP | 4位 |
第4戦アゼルバイジャンGP | 7位 |
第5戦マイアミGP | 12位 |
第6戦エミリア・ロマーニャGP【中止】 | |
第7戦モナコGP | Ret. |
第8戦スペインGP | 6位 |
第9戦カナダGP | 9位 |
第10戦オーストリアGP | 9位 |
第11戦イギリスGP | 14位 |
第12戦ハンガリーGP | 10位 |
第13戦ベルギーGP | 9位 |
第14戦オランダGP | 11位 |
第15戦イタリアGP | 16位 |
第16戦シンガポールGP | DNS |
第17戦日本GP | Ret. |
第18戦カタールGP | 11位 |
第19戦アメリカGP | 7位 |
第20戦メキシコGP | 17位 |
第21戦サンパウロGP | 5位 |
第22戦ラスベガスGP | 5位 |
第23戦アブダビGP | 10位 |
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チーム・ドライバー
日程・番組表
レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
---|---|---|---|
第1戦 | バーレーンGP | 2月29日(木) ~3月1日(金) | 3月2日(土) |
第2戦 | サウジアラビアGP | 3月7日(木) ~8日(金) | 3月9日(土) |
第3戦 | オーストラリアGP | 3月22日(金) ~ 3月23日(土) | 3月24日(日) |
第4戦 | 日本GP | 4月5日(金) ~ 6日(土) | 4月7日(日) |
第5戦 | 中国GP | 4月19日(金) ~ 20日(土) | 4月21日(日) |
第6戦 | マイアミGP | 5月3日(金) ~ 4日(土) | 5月5日(日) |
第7戦 | エミリア・ロマーニャGP | 5月17日(金) ~ 18日(土) | 5月19日(日) |
第8戦 | モナコGP | 5月24日(金) ~ 25日(土) | 5月26日(日) |
第9戦 | カナダGP | 6月7日(金) ~ 8日(土) | 6月9日(日) |
第10戦 | スペインGP | 6月21日(金) ~ 22日(土) | 6月23日(日) |
第11戦 | オーストリアGP | 6月28日(金) ~ 29日(土) | 6月30日(日) |
第12戦 | イギリスGP | 7月5日(金) ~ 6日(土) | 7月7日(日) |
第13戦 | ハンガリーGP | 7月19日(金) ~ 20日(土) | 7月21日(日) |
第14戦 | ベルギーGP | 7月26日(金) ~ 27日(土) | 7月28日(日) |
第15戦 | オランダGP | 8月23日(金) ~ 24日(土) | 8月25日(日) |
第16戦 | イタリアGP | 8月30日(金) ~ 31日(土) | 9月1日(日) |
第17戦 | アゼルバイジャンGP | 9月13日(金) ~ 14日(土) | 9月15日(日) |
第18戦 | シンガポールGP | 9月20日(金) ~ 21日(土) | 9月22日(日) |
第19戦 | アメリカGP | 10月18日(金) ~ 19日(土) | 10月20日(日) |
第20戦 | メキシコGP | 10月25日(金) ~ 26日(土) | 10月27日(日) |
第21戦 | サンパウロGP | 11月1日(金) ~ 2日(土) | 11月3日(日) |
第22戦 | ラスベガスGP | 11月21日(木) ~ 22日(金) | 11月23日(土) |
第23戦 | カタールGP | 11月29日(金) ~ 30日(土) | 12月1日(日) |
第24戦 | アブダビGP | 12月6日(金) ~ 7日(土) | 12月8日(日) |