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【コラム】第11回「大不振のアルファタウリ。角田裕毅の来季はどうなる?」|F1解説者ムッシュ柴田のピットイン

【コラム】第11回「大不振のアルファタウリ。角田裕毅の来季はどうなる?」|F1解説者ムッシュ柴田のピットインDAZN
【F1 コラム】解説者も務めるモータースポーツジャーナリスト、柴田久仁夫がF1の今に迫る。
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シーズン中盤、アルファタウリが大失速

アルファタウリの低迷が、かなり深刻です。第8戦アゼルバイジャンGPでピエール・ガスリーが5位に入ったのを最後に、直近3レースはノーポイント。

その結果、コンストラクターズ選手権ではハースにも抜かれて8位に後退してしまいました。

AT03の戦闘力が、去年のAT02と比較して落ちていることは確かです。ではその理由は、何なのか。マシン自体の純粋な性能が、事前に想定した数値に達していないのか。

あるいはライバルチームと比較した、相対的な性能で劣っているのか。二人のドライバーやエンジニアのコメントを聴く限り、その両方と思われます。

レースによって彼らは「グリップがなかった」「トラクションが足りない」「前後のバランスが悪い」「とにかくペースが遅すぎた」と、いろいろな言い方をしています。

AT03はバウンシング(高速走行中の激しい縦揺れ現象)は最初からうまく対処できていましたが、その代わりダウンフォースの絶対量は想定したほど出ていないようです。

前後のバランスも去年ほど良くなく、そのため前後のタイヤを均一に作動温度域に入れるのに苦労することも多い。その結果、例えばカナダやオーストリアは、なすすべもありませんでした。

2022-06-10 Tsunoda Yuki Alphatauri F1 Formula 1Getty Images

しかしそれ以上に問題なのは、コースによって「なぜ遅いのか(あるいは速いのか)わからない」現象が、繰り返し起きていることです。

去年まで得意としていたレッドブルリンクが、今年はダメダメでした。逆に苦戦を予想していたシルバーストンでは、途中まで2台揃って入賞圏内を快走しています。

車体が大きく変わったことで、マシンの理解が進んでいないのかもしれません。とはいえシーズン中盤の今になっても、理由が解明できていないのはかなりまずい状況です。

一方でライバルチームの戦闘力向上が、アルファタウリをいっそう窮地に陥れていることも確かです。中でもアルファロメオとハースの速さは、直近のオーストリアではアルファタウリを完全に置き去りにするレベルでした。

チームは次戦フランスGPで大幅アップデートを投入予定ですが、はたして巻き返すことができるのか。マシンの理解が十分進まないままでは、せっかくの改良仕様が活かせるのか、そこは大きな不安材料です。

2022-07-13 Tsunoda Yuki Alphatauri F1 Formula 1Getty Images

もっと心配なのが、ミスを繰り返す角田裕毅選手の現状です。第9戦カナダGPではピット出口でクラッシュしてリタイア、続くイギリスGPはガスリーを焦って抜こうとして接触。ダブル入賞の貴重なチャンスをフイにしただけでなく、事故の際に脱落したパーツでフェルスタッペンのRB18はフロア部分にダメージを負い、結果として優勝争いから脱落する原因を作ってしまいました。

翌週のオーストリアに姿を見せた角田選手は、明らかに憔悴した表情でした。そしてここでも予選14位、スプリントレース17位、決勝レース16位と、結果を出せませんでした。

レッドブル上層部の評価も厳しく、ガスリーの来季残留を早々に表明(現行契約の満了まで契約を履行する)した一方で、角田選手が2023年もアルファタウリに残留できるかどうかはまだ未定です。

2022-07-07 Tsunoda Yuki Gasly Alphatauri F1 Formula 1Getty Images

ドライバー人事を統括するヘルムート・マルコ博士の、フランス『オートエブド』誌での独占インタビューを以下に抄訳しますが、そのコメントはかなり厳しいものでした。

「もしカナダGP前に(角田の評価を)訊かれていたら、彼の進化にはとても満足していると答えただろう。しかしカナダ以上に、イギリスは最悪だった。ガスリーより明らかに速い車に乗っていたのに、彼は次のストレートまで待つ忍耐力が持てなかった」

「ユウキはとてつもなく速いドライバーだが、一方で我々は頻繁に彼のメンタル面の問題に立ち会っている。頭というのはヘルメットをかぶるだけでなく、考えるためにもある」

「普段はおとなしいユウキが、バイザーを閉じた瞬間に神風ドライバーに変身してしまう。そこを変えない限り将来は危ういと、彼には言い渡したよ」

一方でマルコ博士は4レース前から、角田選手にスポーツ心理療法士をつけたことを明らかにしました。何とかして現状を打開してほしいという親心であると同時に、最後通告ということなのかもしれません。

文・柴田久仁夫(しばた・くにお)

1956年静岡県生まれ。1980年代よりフランス・パリを拠点とし、TV番組制作の現場で手腕を振るう。1987年よりF1の世界にも足を踏み入れ、それ以来数々のレースを取材してきた。訪れたサーキットでは素足でトラックの感触を確かめるというライフワークも行っている。2016年より本拠地を東京に移し、現在は『DAZN』のモータースポーツ中継でも解説を務める。

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【レース情報】
F1  第12戦:フランスGP※日本時間
7月22日(金)21:00~フリー走行1回目
7月23日(土)0:00~フリー走行2回目
7月23日(土)20:00~フリー走行3回目
7月23日(土)23:00~予選
7月24日(日)22:00~決勝

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チーム・ドライバー

日程・番組表

 レースフリー走行・予選決勝
第1戦バーレーンGP 3月18日(金) ~19日(土)3月20日(日)
第2戦サウジアラビアGP 3月25日(金) ~26日(土)3月27日(日)
第3戦オーストラリアGP 4月8日(金) ~4月9日(土)4月10日(日)
第4戦エミリア・ロマーニャGP 4月22日(金) ~ 23日(土)4月24日(日)
第5戦マイアミGP 5月6日(木) ~7日(土)5月8日(日)
第6戦スペインGP 5月20日(金) ~21日(土)5月22日(日)
第7戦モナコGP 5月27日(金) ~ 28日(土)5月29日(日)
第8戦アゼルバイジャンGP 6月10日(金) ~11日(土)6月12日(日)
第9戦カナダGP 6月17日(金) ~ 18日(土)6月19日(日)
第10戦イギリスGP 7月1日(金) ~ 2日(土)7月3日(日)
第11戦オーストリアGP 7月8日(金) ~9日(土)7月10日(日)
第12戦フランスGP 7月22日(金) ~23日(土)7月24日(日)
第13戦ハンガリーGP 7月29日(金) ~ 30日(土)7月31日(日)
第14戦ベルギーGP 8月26日(金) ~ 27日(土)8月28日(日)
第15戦オランダGP 9月2日(金) ~3日(土)9月4日(日)
第16戦イタリアGP 9月9日(金) ~ 10日(土)9月11日(日)
第17戦シンガポールGP 9月30日(金) ~10月 1日(土)10月2日(日)
第18戦日本GP 10月7日(金) ~ 8日(土)10月9日(日)
第19戦アメリカGP 10月21日(金) ~ 22日(土)10月23日(日)
第20戦メキシコGP 10月28日(金) ~ 29日(土)10月30日(日)
第21戦サンパウロGP 11月11日(金) ~ 12日(土)11月13日(日)
第22戦アブダビGP 11月18日(金) ~ 19日(土)11月20日(日)