2022年F1第15戦オランダGP決勝後にメルセデスのチーム代表トト・ヴォルフが、アルファタウリの角田裕毅について言及している。レース中盤でマシンをストップさせ、バーチャルセーフティカーを誘発したことに不満を示した。
ヴォルフ代表はイギリス『Sky Sports』に「勝てたかもしれない結末が変わった」と発言。アルファタウリ角田のマシンストップが、自チームの不利になったと主張している。
「ドライバーが一度マシンをストップさせ、シートベルトを外して(※緩めた状況で、実際は外していない)フルラップを行った後にピットへ戻っても解決しなかった。それなのにチームはベルトを元に戻し、再びピットアウトしてすぐさまマシンをコース脇にストップさせた」
角田が異変を訴えたがピットイン後も解決に至らず、再びトラックに出てすぐさまマシンストップ&リタイアとなったことが、メルセデスの戦局を大きく変えたと強調している。
「我々のシミュレーションでは、もしバーチャルセーフティーカーがなかった場合、マックス(フェルスタッペン)はピットイン後、ルイス(ハミルトン)の8秒後ろでコースに戻っていただろう。我々のレースプランナーは勝利に近い位置で戦っていることを把握し、様々な予測をしていた。もちろん接戦にはなったかもしれないが、十分に頂点を狙える状況だったからね」
「レースで勝てなかったとしても、違う形の結末になっていた可能性はある。もしチャンピオンシップを競っている状況だったら、我々はFIAに提訴していただろう」
ヴォルフ代表が不満を示したのは、オランダGPレース中盤の出来事。
ザントフォールトはタイヤの劣化スピードが早いことから、各チームともにタイヤ&ピット戦略がカギに。メルセデス勢は2台ともスタートからミディアムを履き、第1スティントからロングランを敢行した。
30/72周目にルイス・ハミルトンがミディアムからハードにつなぎ、僚友ジョージ・ラッセルも32周目にハードへと変える。この時点でメルセデス勢のみが1ストップ作戦となり、他のチームはすべて2ストップ以上の見通しとなった。
だが43周目、角田がハードタイヤに履き替えて第3スティントに入ると状況が一変する。角田はピットアウトしたあとにマシンの異変を訴え、一度コース脇にマシンをストップさせる。
角田は「タイヤがハマっていない!」とチームに無線で連絡すると「タイヤは確かに入っている」とチーム側は返答。ピットまでスロー走行で戻った角田は、今度はハードからソフトに変更し、ベルトを締め直して今一度ピットから出た。角田のマシンは問題解決に至っておらず、チーム側はここでディファレンシャルの異変があることを告げ、角田にすぐさまマシンをストップさせるように指示。角田はセクター1区間のコース脇で停車した。
これにより、レースはイエローフラッグからバーチャルセーフティーカーに移行。ここでタイヤ交換のタイミングを見計らっていたドライバーは、一斉にピットインを行った。すでに最後まで走り切る想定だったメルセデスにとっては、大きく損した形に。
グリーンフラッグとなった50/72周目時点で上位勢はすべて最後まで走りきれるタイヤ状況となり、トップはフェルスタッペン。2番手は16秒後方にハミルトン、その6秒後ろに3番手ラッセル、8秒差で4番手セルジオ・ペレスという順番だった。角田が誘発したバーチャルセーフティーカーにより、この時点で最も得をしたのはフェルスタッペンだった。
レッドブルと系列が同じであるアルファタウリがその一因となったことから、ヴォルフ代表は角田のリタイアについて懐疑的なニュアンスを交え、不満を述べた形に。また、一部のファンからは”新しいクラッシュゲートだ”と主張する声も。
なお、レース終盤にはバルテリ・ボッタスもコース脇にマシンストップさせ、こちらはセーフティーカー誘発の要因となった。ハミルトンを除いたほぼすべての上位勢は、ここで改めて最終スティントのタイヤに履き替えている。ミディアムを履き続けたハミルトンはタイヤ交換を行わず、セーフティーカー明けのターン1で、ソフトに履き替えたフェルスタッペンにオーバーテイクを許し、そこから順位を落としていった。最終順位は最後にタイヤを交換したドライバーがトップ3を占め、フェルスタッペン、ラッセル、ルクレールの順番となった。セーフティーカー終了時点でトップだったハミルトンは4位フィニッシュとなり、表彰台を逸している。
VSCの原因となった角田に対して批判的なコメントを述べたヴォルフ代表だったが、結果的にレースの最終順位をさらに左右したのは、SC誘発のボッタスということになる。なお、現アルファロメオのボッタスと言えば、昨季までメルセデスに在籍。ヴォルフ代表本人がマネージメント担当を務めた蜜月関係でもある。
そしてその一方で『Sky Sports』のコメンテーターを務める元F1ドライバーのポール・ディ・レスタ氏は、レーサーならではの視点で次のように語り、角田裕毅を擁護した。
「FIAはすべてのチーム無線情報をキャッチしているし、そこで何かがあったとはとても思えない」
「実際にユウキはレーサーとして間違っていなかったと思う。もちろんアルファタウリもチームとしてできることをしようとした。結果的にあのような結末となったが、それが(ハミルトンにとって)レースを失う結果に直結したとはとても思えないね」
2021年はフェルスタッペンvsハミルトンの一騎打ちが白熱し、最終レースまでどちらが総合優勝となるかわからない展開となった。その最終戦アブダビGP決勝では、セーフティーカー明けのファイナルラップでフェルスタッペンがハミルトンをオーバーテイクし、オランダ人ドライバーは初のワールドチャンピオンとなっている。
今季第15戦オランダGPでは、総合優勝が懸かった昨季最終戦と状況は大きく異なる。それでも似たような展開で優勝目前のハミルトンがポジションを落とし、今季メルセデス初優勝を逸したことから、ヴォルフ代表は思うところがあったのかもしれない。
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チーム・ドライバー
日程・番組表
レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
---|---|---|---|
第1戦 | バーレーンGP | 3月18日(金) ~19日(土) | 3月20日(日) |
第2戦 | サウジアラビアGP | 3月25日(金) ~26日(土) | 3月27日(日) |
第3戦 | オーストラリアGP | 4月8日(金) ~4月9日(土) | 4月10日(日) |
第4戦 | エミリア・ロマーニャGP | 4月22日(金) ~ 23日(土) | 4月24日(日) |
第5戦 | マイアミGP | 5月6日(木) ~7日(土) | 5月8日(日) |
第6戦 | スペインGP | 5月20日(金) ~21日(土) | 5月22日(日) |
第7戦 | モナコGP | 5月27日(金) ~ 28日(土) | 5月29日(日) |
第8戦 | アゼルバイジャンGP | 6月10日(金) ~11日(土) | 6月12日(日) |
第9戦 | カナダGP | 6月17日(金) ~ 18日(土) | 6月19日(日) |
第10戦 | イギリスGP | 7月1日(金) ~ 2日(土) | 7月3日(日) |
第11戦 | オーストリアGP | 7月8日(金) ~9日(土) | 7月10日(日) |
第12戦 | フランスGP | 7月22日(金) ~23日(土) | 7月24日(日) |
第13戦 | ハンガリーGP | 7月29日(金) ~ 30日(土) | 7月31日(日) |
第14戦 | ベルギーGP | 8月26日(金) ~ 27日(土) | 8月28日(日) |
第15戦 | オランダGP | 9月2日(金) ~3日(土) | 9月4日(日) |
第16戦 | イタリアGP | 9月9日(金) ~ 10日(土) | 9月11日(日) |
第17戦 | シンガポールGP | 9月30日(金) ~10月 1日(土) | 10月2日(日) |
第18戦 | 日本GP | 10月7日(金) ~ 8日(土) | 10月9日(日) |
第19戦 | アメリカGP | 10月21日(金) ~ 22日(土) | 10月23日(日) |
第20戦 | メキシコGP | 10月28日(金) ~ 29日(土) | 10月30日(日) |
第21戦 | サンパウロGP | 11月11日(金) ~ 12日(土) | 11月13日(日) |
第22戦 | アブダビGP | 11月18日(金) ~ 19日(土) | 11月20日(日) |