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【コラム】第16回「ついにメルセデスがやってきた、のか?」|F1解説者ムッシュ柴田のピットイン

【コラム】第16回「ついにメルセデスがやってきた、のか?」|F1解説者ムッシュ柴田のピットインDAZN
【F1 コラム】解説者も務めるモータースポーツジャーナリスト、柴田久仁夫がF1の今に迫る。
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オランダGPは地元フェルスタッペンが制す…メルセデスが戦局を読んだ柔軟な戦略で存在感

今年のオランダGPは異なる戦略のぶつかり合う、実に見応えのある展開でした。マックス・フェルスタッペンが最後には勝ちましたが、王者の実力を垣間見せてくれたメルセデスこそが、このレースの主役と言っていいでしょう。

敗れたとはいえ、ついに強いメルセデスが戻ってきたと言えるのか。その辺りを今回検証してみようと思います。

優れた小説やドラマは、巧妙に張られたいくつもの伏線が思いもかけない形で回収され、圧倒的なラストへとなだれ込んでいくものです。今回のレースでいえば、伏線はハードタイヤでした。

タイヤへの負荷が高いザントフォールトサーキットは、5種類のコンパウンドの中で最も固いC1~C3が選ばれました。

C1はハード、C2がミディアム、C3がソフト。にしてもハードはあまりに固すぎるだろうというのが、ピレリおよび各チームの事前予想で、実際20人のドライバー全員が初日でハードを履きましたが、二日目以降の使用を止めています(アストンマーティン、アルファタウリの4台は、FP3で皮むきのため1周だけハードで走行)。

2022-09-08  Alonso Alpine F1 Formula 1Getty Images

そんな中、フェルナンド・アロンソだけは初日でのハードの使い方がライバルたちと違っていました。FP1はソフトとミディアムのみ、FP2で初めてハードを履いたのです。そんなドライバーは、アロンソだけでした。レース開催時間に近く、FP1より路面にラバーが乗った状態、つまり実戦にできるだけ近いコンディションで、ハードの感触を確かめたかったのでしょう。

そして日曜日のレースでのアロンソは、12周目にいきなりハードへと交換しました。これにはわれわれ観戦者だけでなく、レース当事者たちも大いに驚いたはずです。さすがアロンソと感嘆する他ない、観察力と決断力でした。

確かに二日目に路面コンディションが大きく改善したことで、アロンソ以外にもハードも使えるかもと考え始めたドライバーもいたでしょう。大部分がソフトでスタートした中、メルセデスの2台、マクラーレンのランド・ノリスがミディアムを選択したのは、その可能性も考慮に入れていたのかと。

とはいえプランAはあくまで、ミディアム→ミディアム→ソフトだったと思います。

ところがアロンソによるハードのペースが、安定して速い。これで多くのチームが続々と、第2スティントでハードを履きました。そしてメルセデス勢はルイス・ハミルトン29周目、ジョージ・ラッセルは31周目まで引っ張ってハードに履き替えたことで、レース前には不可能と見なされていた1ストップ戦略が、がぜん現実味を帯びました。

さらに2台のハードでのペースは予想よりはるかに速く、1分15秒台を安定して刻んでいました。一方、首位を走るフェルスタッペンは、ミディアムでも1分15秒台後半が精一杯。このままいけばフェルスタッペンの二度目のピットインの際にハミルトン、あるいはラッセルが首位を奪い、そのまま勝ってしまうのではないか。

しかし実際には、デフ(ディファレンシャル)トラブルに見舞われた角田裕毅がコース脇に止まったことで、バーチャルセーフティーカーが導入され、この時点でメルセデス今季初勝利の目論見は潰えました。

2022-09-08 Verstappen Hamilton F1 Formula 1Getty Images

ではもし角田のVSCや、後にセーフティーカー誘発となったバルテリ・ボッタスのトラブルがなく、メルセデス2台が1ストップ作戦を完遂できていたら、メルセデスははたして勝てていたでしょうか。

個人的には、難しかったと考えます。フェルスタッペンは最初のSC導入でハードタイヤに交換したものの、すぐに再びSCが出たために8周しか走りませんでした。しかしその間、メルセデスのハードのペースよりコンマ8秒前後速い1分14秒台中盤のラップタイムを刻み続けています。

もしSCが一度も導入されなかった場合、ハミルトンはチェッカーまで43周、ラッセルでも39周、ハードで走り続ける必要がありました。フェルスタッペンが二度目のタイヤ交換で3番手に後退していたとしても、フレッシュなハードタイヤで2台に追いつき追い抜いて、首位を奪い返したと考えるのが妥当と思えます。

2022-09-08 Verstappen Russell F1 Formula 1Getty Images

とはいえオランダでのメルセデスが、ガチ勝負でレッドブルと戦えたことは確かです。「コース特性にもよるが」という条件付きながらも、メルセデスがついに優勝争いできるまで戦闘力を取り戻したことは間違いないでしょう。

さらにいえばラッセルのF1初勝利、そしてハミルトンが通算300戦を超えて勝利を遂げる、史上初のドライバーとなる光景を、今シーズン中に目撃できる可能性も大きく出てきたということです。

文・柴田久仁夫(しばた・くにお)

1956年静岡県生まれ。1980年代よりフランス・パリを拠点とし、TV番組制作の現場で手腕を振るう。1987年よりF1の世界にも足を踏み入れ、それ以来数々のレースを取材してきた。訪れたサーキットでは素足でトラックの感触を確かめるというライフワークも行っている。2016年より本拠地を東京に移し、現在は『DAZN』のモータースポーツ中継でも解説を務める。

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【レース情報】
F1  第16戦:イタリアGP※日本時間
9月9日(金)21:00~フリー走行1回目
9月10日(土)0:00~フリー走行2回目
9月10日(土)20:00~フリー走行3回目
9月10日(土)23:00~予選
9月11日(日)22:00~決勝

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チーム・ドライバー

日程・番組表

 レースフリー走行・予選決勝
第1戦バーレーンGP 3月18日(金) ~19日(土)3月20日(日)
第2戦サウジアラビアGP 3月25日(金) ~26日(土)3月27日(日)
第3戦オーストラリアGP 4月8日(金) ~4月9日(土)4月10日(日)
第4戦エミリア・ロマーニャGP 4月22日(金) ~ 23日(土)4月24日(日)
第5戦マイアミGP 5月6日(木) ~7日(土)5月8日(日)
第6戦スペインGP 5月20日(金) ~21日(土)5月22日(日)
第7戦モナコGP 5月27日(金) ~ 28日(土)5月29日(日)
第8戦アゼルバイジャンGP 6月10日(金) ~11日(土)6月12日(日)
第9戦カナダGP 6月17日(金) ~ 18日(土)6月19日(日)
第10戦イギリスGP 7月1日(金) ~ 2日(土)7月3日(日)
第11戦オーストリアGP 7月8日(金) ~9日(土)7月10日(日)
第12戦フランスGP 7月22日(金) ~23日(土)7月24日(日)
第13戦ハンガリーGP 7月29日(金) ~ 30日(土)7月31日(日)
第14戦ベルギーGP 8月26日(金) ~ 27日(土)8月28日(日)
第15戦オランダGP 9月2日(金) ~3日(土)9月4日(日)
第16戦イタリアGP 9月9日(金) ~ 10日(土)9月11日(日)
第17戦シンガポールGP 9月30日(金) ~10月 1日(土)10月2日(日)
第18戦日本GP 10月7日(金) ~ 8日(土)10月9日(日)
第19戦アメリカGP 10月21日(金) ~ 22日(土)10月23日(日)
第20戦メキシコGP 10月28日(金) ~ 29日(土)10月30日(日)
第21戦サンパウロGP 11月11日(金) ~ 12日(土)11月13日(日)
第22戦アブダビGP 11月18日(金) ~ 19日(土)11月20日(日)