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【コラム】第18回「マックス戴冠の最大の敵はペレスか?」|F1解説者ムッシュ柴田のピットイン

【コラム】第18回「マックス戴冠の最大の敵はペレスか?」|F1解説者ムッシュ柴田のピットインDAZN
【F1 コラム】解説者も務めるモータースポーツジャーナリスト、柴田久仁夫がF1の今に迫る。
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荒れた2時間レースのシンガポールGPでペレスが今季2勝目

3年ぶりに開催されたシンガポールGPの勝者セルジオ・ペレスは、レース後のヒーローインタビューで開口一番「僕のベストレースだった」とコメントしました。

ルイス・ハミルトンやマックス・フェルスタッペンでさえクラッシュやオーバーランを喫した、ウェット路面から徐々に乾いていく非常に難しいコンディション。さらに6台が次々にリタイアし、二度のSC(セーフティカー)、三度のVSC(バーチャルセーフティカー)が導入される荒れに荒れたレースを、ペレスはノーミスの走りで制したのでした。

今回が230戦目のF1という大ベテランのペレスですが、これまで4回しか勝っていません。しかしそのいずれもが、大波乱の末に掴み取った勝利でした。

2020-12-10 Sergio Perez Racing Point Formula 1 F1 SakhirGetty Images

初勝利は2020年の第16戦サクヒールGP。このレースもシャルル・ルクレールやフェルスタッペンの多重クラッシュなどでSCやVSCが何度も出る中、ペレスも接触事故で一時は最後尾に転落。その後は果敢な追い抜きを見せ、王者メルセデスの自滅にも助けられ、F1史上最も遅い190戦目の初優勝を果たしました。

2勝目はレッドブル移籍1年目となる、2021年のアゼルバイジャンGPでした。首位を独走していたフェルスタッペンがタイヤバーストで消え、残り2周での再スタートではハミルトンがターン1でオーバーラン。油圧系のトラブルを抱え、リタイアも考えたペレスが逃げ切るという展開でした。

そして3勝目となった今季のモナコGPも、今回のシンガポールGPと同様ハーフウェットのコンディション、そして同じくフェラーリとの一騎打ちという展開でした。ただしこのモナコでは、1回目のピットインでアンダーカットに成功して2位に、そして2回目のピットインで今度はオーバーカットを成功させて首位を奪うという、レッドブルのピット戦略が光ったレースでした(ちなみに作戦の陣頭指揮を取ったのが、DAZNのSaturday F1 LABでも紹介したチーフストラテジストのハンナ・シュミッツでした)。

2022-10-02 Perez Red Bull F1 Formula 1Getty Images

一方、今回のシンガポールでの4勝目は、ペレスが自らの腕で勝ち取った勝利と言ってもいいでしょう。スタートでポールシッターのルクレールに先行してからは、周回ごとに変化する路面状況を読み解き、最速ラップを更新しながら迫ってくるルクレールとの差を冷静にコントロールし続けました。

路面が乾いていく状況では、浅溝のレインタイヤのインターメディエイトは、どんどん摩耗していきます。それをしっかり持たせ、せっかく築いた差がなくなった2回のSC時も、再スタートで隙を見せることはありませんでした。

唯一のミスはSC中に10車身以上の間隔を開けてしまったことですが、レース後のペレスは「故意ではなく、濡れた路面をスリックタイヤでSCのペースについていくことは不可能だった」と主張しています。

それでも5秒ペナルティが科されることに備え、終盤52周目からの7周は「毎ラップ、予選アタックのようにプッシュした」と語っています。実際、1分48秒台のとんでもないタイムを7つ綺麗に並べ、終盤にはその時点の最速ラップも叩き出しました(※ファステストラップは14位フィニッシュのジョージ・ラッセルがマーク)。

フェラーリのタイヤはデグラデーションが大きかったという点にも助けられたとはいえ、47周目に0.430秒まで迫っていたルクレールは、あっという間に7.595秒まで引き離された。まさにペレスの、完璧な勝利でした。

2022-06-15 Verstappen Perez Red Bull F1 Formula 1

思えばこれまでの3勝も、チームメイトを含むライバルたちがミスやトラブル、クラッシュで消えていく中、冷静沈着な走りで勝ち取ったものでした。今季はフェルスタッペンが独走体制で勝ち続ける中、ペレスはともすればチームメイトの影に隠れ、5月のモナコ以来未勝利であることも批判されてきました。

しかし実はモナコ以降ずっと、ルクレールの背後にピタッとつく形で選手権3位をキープし続けています(ベルギーでは一時単独2位に浮上)。シンガポールを終えて、2位ルクレールとはわずか2ポイント差。レッドブルとフェルスタッペンにとって、ペレスはまさに理想のセカンドドライバーと言えます。

ただしペレス自身は、その地位に甘んじるつもりは毛頭ないでしょう。今週末の日本GPでフェルスタッペンがタイトルを確定する瞬間を、多くのファンが期待していると思います。

しかし今のペレスには、勢いがあります。フェルスタッペンの鈴鹿での戴冠を阻止するのはルクレールではなく、ペレスかもしれません。

 

文・柴田久仁夫(しばた・くにお)

1956年静岡県生まれ。1980年代よりフランス・パリを拠点とし、TV番組制作の現場で手腕を振るう。1987年よりF1の世界にも足を踏み入れ、それ以来数々のレースを取材してきた。訪れたサーキットでは素足でトラックの感触を確かめるというライフワークも行っている。2016年より本拠地を東京に移し、現在は『DAZN』のモータースポーツ中継でも解説を務める。

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【レース情報】
F1  第18戦:日本GP
10月7日(金)12:00~フリー走行1回目
10月7日(金)15:00~フリー走行2回目
10月8日(土)12:00~フリー走行3回目
10月8日(土)15:00~予選
10月9日(日)12:00~F1パレード
10月9日(日)14:00~決勝

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チーム・ドライバー

日程・番組表

 レースフリー走行・予選決勝
第1戦バーレーンGP 3月18日(金) ~19日(土)3月20日(日)
第2戦サウジアラビアGP 3月25日(金) ~26日(土)3月27日(日)
第3戦オーストラリアGP 4月8日(金) ~4月9日(土)4月10日(日)
第4戦エミリア・ロマーニャGP 4月22日(金) ~ 23日(土)4月24日(日)
第5戦マイアミGP 5月6日(木) ~7日(土)5月8日(日)
第6戦スペインGP 5月20日(金) ~21日(土)5月22日(日)
第7戦モナコGP 5月27日(金) ~ 28日(土)5月29日(日)
第8戦アゼルバイジャンGP 6月10日(金) ~11日(土)6月12日(日)
第9戦カナダGP 6月17日(金) ~ 18日(土)6月19日(日)
第10戦イギリスGP 7月1日(金) ~ 2日(土)7月3日(日)
第11戦オーストリアGP 7月8日(金) ~9日(土)7月10日(日)
第12戦フランスGP 7月22日(金) ~23日(土)7月24日(日)
第13戦ハンガリーGP 7月29日(金) ~ 30日(土)7月31日(日)
第14戦ベルギーGP 8月26日(金) ~ 27日(土)8月28日(日)
第15戦オランダGP 9月2日(金) ~3日(土)9月4日(日)
第16戦イタリアGP 9月9日(金) ~ 10日(土)9月11日(日)
第17戦シンガポールGP 9月30日(金) ~10月 1日(土)10月2日(日)
第18戦日本GP 10月7日(金) ~ 8日(土)10月9日(日)
第19戦アメリカGP 10月21日(金) ~ 22日(土)10月23日(日)
第20戦メキシコGP 10月28日(金) ~ 29日(土)10月30日(日)
第21戦サンパウロGP 11月11日(金) ~ 12日(土)11月13日(日)
第22戦アブダビGP 11月18日(金) ~ 19日(土)11月20日(日)
Getty Images