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【コラム】第24回「2022年はなぜレッドブル独走になったのか」|F1解説者ムッシュ柴田のピットイン

【コラム】第24回「2022年はなぜレッドブル独走になったのか」|F1解説者ムッシュ柴田のピットインDAZN
【F1 コラム】解説者も務めるモータースポーツジャーナリスト、柴田久仁夫がF1の今に迫る。
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フェラーリが最強だったシーズン序盤

レッドブル759ポイント、フェラーリ554ポイント、メルセデス515ポイント。コンストラクターズ選手権のこの上位3チームの結果が、2022年シーズンの有り様を端的に物語っているといえるでしょう。ひとことで言えば「レッドブルが独走し、フェラーリ、メルセデスは完敗した」シーズンだったということです。

ただし三者の力関係は、開幕序盤から中盤、終盤へと、変化しています。少なくとも開幕時の最強のマシンは、フェラーリのF1-75でした。

車体下面で強大なダウンフォースを発生させる、いわゆる「グランドエフェクトカー」へとF1マシンが大きく変わることを見越して、フェラーリはすでに2021年のかなり早い段階から新車開発に集中していました。

一方、激しいタイトル争いを繰り広げていたレッドブルとメルセデスは、フェラーリに比べれば完成度の低いマシンを2022年に投入せざるを得ませんでした。

その結果、メルセデスはポーパシング現象(高速時の激しい縦揺れ)の対処に手こずり、優勝争いに全く絡めず。レッドブルも予選、レースペースともに見劣りし、開幕3戦で2勝を挙げたフェラーリに大きくリードされてしまいます。このままいけば、フェラーリがチャンピオンシップをリードする。そんな構図で始まったシーズンでした。

シーズンが進むと力関係に変化が

2022-04-24 Verstappen Red Bull F1 Formula 1Getty Images

しかし第4戦エミリア・ロマーニャGP以降、フェラーリは突然勝てなくなります。F1-75は依然として最速マシンでしたが、パワーユニットの信頼性、ドライバーのミス、そしてモナコGPに代表される不可解な戦略が足を引っ張りました。

その間にレッドブルは着々と戦闘力を回復していきました。開発の遅れによる最大のハンデキャップは重量超過の問題で、開幕当初のRB18は2022年の最低重量798kgより、少なくとも10kg以上重かったといわれています。コースにもよりますが、ラップタイムがコンマ3~4秒ほど遅くなる計算です。

しかもこの重量超過はフロント側に寄りすぎていてホイールがロックしやすく、フェルスタッペンでさえコーナーへの進入で何度もスピンを喫するほどでした。それが徐々に、しかもフロント周りを中心に重量が軽減されていったことで、戦闘力を取り戻していきます。

さらにレッドブルは主にフロア形状の改良を繰り返し、コーナリング時の挙動の改善を目指しました。その結果、どんなコースでも速さを発揮するオールマイティのマシンに仕上がっていきます。対照的にフェラーリのアップデートは、基本的にダウンフォースを増やす方向でした。

確かに一発の速さではフェラーリがベストマシンでしたが(全22戦中11回のポールポジションを獲得)、リアタイヤのオーバーヒート、フロントタイヤの異常摩耗の問題に悩まされ、レースでは失速。レース戦略をめぐるドタバタも改善されず、折り返し点の第11戦オーストリアGPを最後に、その後は未勝利のままシーズンを終えました。

なぜフェラーリは勝てなかったのか

2022-09-10 Leclerc Ferrari F1 Formula 1Getty Images

シーズン後半のフェラーリは、ポーパシング問題を解決して戦闘力を増したメルセデスにも追われ、薄氷の選手権2位でした。最速マシンを手に入れたはずのフェラーリが、なぜタイトルを獲れなかったのか。

戦略ミス、不可解な判断など、チーム運営上の問題がクローズアップされがちで、確かにそれらも大きな要因でしょう。しかしもしミスを最小限に防げていたとしても、タイトル奪還は難しかったというのが僕の見立てです。

去年までに比べて先行車への接近が容易になったことで、(若干とはいえ)レースでの戦略自由度が上がった。言い換えればポールポジションが必ずしも、勝利の絶対条件ではなくなった。その辺りの新しい規約への理解に基づくクルマ作りが、レッドブルの方が優れていたと言えます。

そしてフェルスタッペンとルクレール、2人のドライバーの力量を比べても、マシン性能を引き出す能力ではフェルスタッペンが上だったという印象です。

トップ3を崩せなかった中団勢

2022-12-27 Alonso Alpine F1 Formula 1Getty Images

2022年は中団勢が飛躍できなかった1年でもありました。トップ3以外で表彰台に上がったのは、マクラーレンのランド・ノリスによる3位が1回のみ。ダニエル・リカルド、エステバン・オコンが勝利を挙げ、ドライバーズランキング12位までの12人が表彰台に上がった2021年とは大きく様変わりです。

技術規約が大きく変わるシーズンは、その隙をついて思わぬチームが速さを見せることも。2009年のブラウンGPがその典型ですが、ただしF1の長い歴史を振り返ると、むしろそれは例外であることがわかります。

技術陣の層が厚く、リソースも潤沢にあるトップチームが、結局は新規約に最も巧く対応できるということです。

ただし2023年は、トップチームと中団勢の差は確実に縮まるはずです。さらにバジェットキャップの導入された現在は、トップチームほど以前ほど自由に予算が使えず、空力開発への制限も厳しくなっています。

今後はそれらがボディブローのように効いてくるはずで、中団チームのドライバーが上位争いに絡むレースは、今まで以上に増えることでしょう。

文・柴田久仁夫(しばた・くにお)

1956年静岡県生まれ。1980年代よりフランス・パリを拠点とし、TV番組制作の現場で手腕を振るう。1987年よりF1の世界にも足を踏み入れ、それ以来数々のレースを取材してきた。訪れたサーキットでは素足でトラックの感触を確かめるというライフワークも行っている。2016年より本拠地を東京に移し、現在は『DAZN』のモータースポーツ中継でも解説を務める。

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チーム・ドライバー

日程・番組表

 レースフリー走行・予選決勝
第1戦バーレーンGP 3月3日(金) ~4日(土)3月5日(日)
第2戦サウジアラビアGP 3月17日(金) ~18日(土)3月19日(日)
第3戦オーストラリアGP 3月31日(金) ~ 4月1日(土)4月2日(日)
第4戦未定4月14日(金) ~ 15日(土)4月16日(日)
第5戦アゼルバイジャンGP 4月28日(金) ~ 29日(土)4月30日(日)
第6戦マイアミGP 5月5日(金) ~ 6日(土)5月7日(日)
第7戦エミリア・ロマーニャGP 5月19日(金) ~ 20日(土)5月21日(日)
第8戦モナコGP 5月26日(金) ~ 27日(土)5月28日(日)
第9戦スペインGP 6月2日(金) ~ 3日(土)6月4日(日)
第10戦カナダGP 6月16日(金) ~ 17日(土)6月18日(日)
第11戦オーストリアGP 6月30日(金) ~ 7月1日(土)7月2日(日)
第12戦イギリスGP 7月7日(金) ~ 8日(土)7月9日(日)
第13戦ハンガリーGP 7月21日(金) ~ 22日(土)7月23日(日)
第14戦ベルギーGP 7月28日(金) ~ 29日(土)7月30日(日)
第15戦オランダGP 8月25日(金) ~ 26日(土)8月27日(日)
第16戦イタリアGP 9月1日(金) ~ 2日(土)9月3日(日)
第17戦シンガポールGP 9月15日(金) ~ 16日(土)9月17日(日)
第18戦日本GP 9月22日(金) ~ 23日(土)9月24日(日)
第19戦カタールGP 10月6日(金) ~ 7日(土)10月8日(日)
第20戦アメリカGP 10月20日(金) ~ 21日(土)10月22日(日)
第21戦メキシコGP 10月27日(金) ~ 28日(土)10月29日(日)
第22戦サンパウロGP 11月3日(金) ~ 4日(土)11月5日(日)
第23戦ラスベガスGP 11月16日(木) ~ 17日(金)11月18日(土)
第24戦アブダビGP 11月24日(金) ~ 25日(土)11月26日(日)