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【コラム】第29回「角田の進化に、クルマが応えてくれない…」|F1解説者ムッシュ柴田のピットイン

【コラム】第29回「角田の進化に、クルマが応えてくれない…」|F1解説者ムッシュ柴田のピットインDAZN
【F1 コラム】解説者も務めるモータースポーツジャーナリスト、柴田久仁夫がF1の今に迫る。
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開幕から2戦連続11位…入賞にあと一歩届かない角田裕毅の現状

ジェッダ市街地サーキットでの角田裕毅は、F1ドライバーとしての進化を改めてしっかり見せてくれました。

2週間前の開幕戦でも、ライバルたちより明らかに一発の速さに劣るマシンで14番グリッドを獲得。レースは1秒差で10位入賞に届きませんでしたが、最後までウィリアムズを追い回しました。

そして今回のサウジアラビアGPでは、逆に追われる立場で10番手を21周にわたって死守。最後はケビン・マグヌッセンに抜かれて、2戦連続の11位に終わりました。しかし二人の自己ベストタイムを比較すると、マグヌッセンの1:33.374に対して、角田は1:33.931と、コンマ5秒以上の差があります。

区間別では中高速コーナーが連続するセクター2が特に遅く(ここだけで0.417秒)、何度も1秒以内に入られてDRSで迫られたのを、巧みなブロックで防御し続けていたのがわかります。

何より開幕2レースの角田は、金曜日のフリー走行から翌日の予選、日曜日の決勝レースまで全セッションで、ミスのない安定した走りを続けています。担当エンジニアとの無線も、去年までとは様変わりの落ち着いたやり取りです(マグヌッセンに抜かれた直後「ノー!!」と口にした無線以外は)。

予選、決勝に向けて、3日間でいかに流れを作れるか。去年までなかなかできずにいたレース週末の課題を、今年はきっちりこなしている。それが「ユウキはマシン性能を100%引き出してくれている」というチーム上層部の評価につながっています。

角田を支える新たな味方とは

2023-03-23 2014 Kamui Kobayashi Mario Miyakawa F1 Formula 1Kunio SHIBATA

角田の「変身」には、2つの要因がありそうです。まずマリオ宮川という個人マネジャーがついたこと。

F1昇格前から角田自身、そしてそれ以上に父親の信彰さんが、F1を知り尽くし、精神面のサポートもできるマネジャーの必要性を痛感していました。しかしレッドブルは基本的に個人マネジャーを許していない。それが今年ようやく、状況が変わりました。

イタリアで生まれ育ったマリオは30年以上もF1に関わり、ジャン・アレジとジュリアーノ親子、小林可夢偉のマネジャーを務め、日伊英仏の4ヶ国語にも堪能。フェラーリと太いパイプを持ち、F1村の情報に詳しい。これ以上はないマネジャーを得たことで、角田が今まで以上にレースに集中できていることは確かです。

盟友の離脱も角田にとっては転機に

2023-03-23 Yuki Tsunoda De Vries Gasly F1 Formula 1Getty Images

そして2つ目は、チームメイトが代わったことです。

ピエール・ガスリーは角田にとって大先輩であり、兄のような存在でした。一方、新たなチームメイトのニック・デ・フリースは現在28歳。22歳の角田よりレースキャリアがはるかに長く、コミュニケーション能力に長けている。チームへの技術的フィードバックにも定評があります。

いずれも角田にとっては、不利になりうる要素です。しかしそのような状況が逆に、チームリーダーとしての自覚を角田にいっそう促したと言えるでしょう。そんな角田の進化が明らかなだけに、なおのこと新車AT04の遅さがもどかしく思えます。

今季のAT04はここから上向きになるのか?

2023-03-19 Tsunoda Yuki Alphatauri F1 Formula 1Getty Images

フランツ・トスト代表は「とにかくダウンフォースが少なすぎる」と問題点を指摘しています。それが事実なら、空力上の根本的な欠陥の恐れもあり、シーズン中の大幅な戦闘力向上は難しいかもしれません。

一方で今季のアルファタウリは去年の失敗を教訓に「ほぼ毎レース、小刻みな改良を繰り出す」ことを表明。次戦オーストラリア、続くアゼルバイジャンでのアップデート投入がすでに発表されています。

いうまでもなくライバルたちも開発を続けているだけに、相対的な差を詰めていくのは簡単な作業ではないでしょう。ですが角田の速さにふさわしいクルマが1レースでも早く届くことを、今は祈るばかりです。

文・柴田久仁夫(しばた・くにお)

1956年静岡県生まれ。1980年代よりフランス・パリを拠点とし、TV番組制作の現場で手腕を振るう。1987年よりF1の世界にも足を踏み入れ、それ以来数々のレースを取材してきた。訪れたサーキットでは素足でトラックの感触を確かめるというライフワークも行っている。2016年より本拠地を東京に移し、現在は『DAZN』のモータースポーツ中継でも解説を務める。

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【レース情報】
F1  第3戦:オーストラリアGP※日本時間
3月31日(金)10:30~フリー走行1回目
3月31日(金)14:00~フリー走行2回目
4月1日(土)10:30~フリー走行3回目
4月1日(土)14:00~予選
4月2日(日)14:00~決勝

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チーム・ドライバー

日程・番組表

 レースフリー走行・予選決勝
第1戦バーレーンGP 3月3日(金) ~4日(土)3月5日(日)
第2戦サウジアラビアGP 3月17日(金) ~18日(土)3月19日(日)
第3戦オーストラリアGP 3月31日(金) ~ 4月1日(土)4月2日(日)
第4戦アゼルバイジャンGP 4月28日(金) ~ 29日(土)4月30日(日)
第5戦マイアミGP 5月5日(金) ~ 6日(土)5月7日(日)
第6戦エミリア・ロマーニャGP 5月19日(金) ~ 20日(土)5月21日(日)
第7戦モナコGP 5月26日(金) ~ 27日(土)5月28日(日)
第8戦スペインGP 6月2日(金) ~ 3日(土)6月4日(日)
第9戦カナダGP 6月16日(金) ~ 17日(土)6月18日(日)
第10戦オーストリアGP 6月30日(金) ~ 7月1日(土)7月2日(日)
第11戦イギリスGP 7月7日(金) ~ 8日(土)7月9日(日)
第12戦ハンガリーGP 7月21日(金) ~ 22日(土)7月23日(日)
第13戦ベルギーGP 7月28日(金) ~ 29日(土)7月30日(日)
第14戦オランダGP 8月25日(金) ~ 26日(土)8月27日(日)
第15戦イタリアGP 9月1日(金) ~ 2日(土)9月3日(日)
第16戦シンガポールGP 9月15日(金) ~ 16日(土)9月17日(日)
第17戦日本GP 9月22日(金) ~ 23日(土)9月24日(日)
第18戦カタールGP 10月6日(金) ~ 7日(土)10月8日(日)
第19戦アメリカGP 10月20日(金) ~ 21日(土)10月22日(日)
第20戦メキシコシティGP 10月27日(金) ~ 28日(土)10月29日(日)
第21戦サンパウロGP 11月3日(金) ~ 4日(土)11月5日(日)
第22戦ラスベガスGP 11月16日(木) ~ 17日(金)11月18日(土)
第23戦アブダビGP 11月24日(金) ~ 25日(土)11月26日(日)