今季F2で2勝をマークしポイントリーダーとなった岩佐歩夢が、第3ラウンドのオーストラリア・メルボルンを振り返っている。
岩佐は『DAZN』の『WEDNESDAY F1 TIME #7』にリモートインタビューで出演。岩佐の師でもあるレーシングドライバーの中野信治氏がインタビュアーを行った。
2023年F2第3ラウンドのメルボルンにおいて、岩佐は金曜日の予選でポールポジションを獲得。レース1（スプリントレース）はリバースグリッド＆他車のペナルティで9番グリッドからスタートも、オープニングラップで不運な接触もあり、13位フィニッシュとなった。
ポールスタートとなった日曜日のレース2（フィーチャーレース）では、好スタートを切るとそのままトップを快走し、ソフトからミディアムの第2スティントに移行。終盤にはロイ・ニッサニーがウォールにクラッシュしたため、セーフティーカー導入となる。
このタイミングでタイヤのコントロールが難しい状況となり、ローリングスタート直前にはビクター・マルタンスがデニス・ハウガーに追突する場面も。アクシデントの続いたフィーチャーレースだったが、岩佐は危なげなく2番手テオ・プルシェールを寄せ付けず、今シーズン2勝目をマーク。フィーチャーレースは待望の今季初優勝となった。
ポールポジションとレース2勝利で一気に27ポイントを手にした岩佐は、58点でF2のポイントランキングでトップに浮上。2位プルシェールとは8ポイント差で、F1昇格に必要なスーパーライセンス取得に向けて大きく近づいている状況となる。
岩佐はラウンド3のオーストラリア・メルボルンを「簡単な週末ではなかったんですけれども、しっかりと一週間をまとめ切ることができた週末の結果が優勝だったのかな、と思う」と振り返った。
中野氏が「雨の中で（予選は）本当に難しいコンディションだったんだけど、相当スリッピーに見えた。実際に乗っていて路面状況はどうだった？」と尋ねると、岩佐はこう返答している。
「正直最後のベストの周に関してはあまり危なすぎない路面にはなっていたかと思う。やっぱり1ラインが乾きだしていて、その他がまだまだ濡れていて、水がかなり浮いている状況だった」
「特にこの（アルバート・パーク）サーキットの路面はかなり水が浮きやすいので難しさはあった。ただ、最後のほうは雨でローグリップだったんですけど、滑る中でのコントロールを楽しめたコンディションだった」
岩佐は予選が赤旗中断となる直前にウェット環境の中、ベストタイムを叩き出してポールポジションを獲得した。だがその周回ではコントロールライン手前の最終セクションにおいて、カウンターステアを当てマシンを立て直すという、ヒヤッとした瞬間も。中野氏の「最後ターン14での修正は絶妙だった」という言葉を受け、その瞬間を回顧している。
「一瞬、あっ！とは思ったんですけど、自分としてはイン側の縁石にタッチしないで、ラインをなめていく感じでいきたかった。若干タイヤがグリップしてきて、イン側の縁石を少しタッチしてしまった結果があのスナップだった」
「ただ、あのスナップについてもコントロールできる、幅のあるマシンだったので。それで対応することができたんじゃないかと」
土曜日のスプリントレースでは、オープニングラップでゼイン・マローニと接触し、タイヤがパンク。すぐさまピットインを余儀なくされ、レース1はこれでトップ争いから大きく離された。だが本人は最後尾からのレースながら、ポジティブな気持ちを抱いてトラックに戻っていたという。
「（接触は）アンラッキーでした。でも正直なところ、大きな時間だったのかなと思います」
「やはり単独で（最後尾を）走っていて、タイヤもミディアムだったんですけど、あの時間でフィーチャーレースのシミュレーションのような感じで、諦めずにとにかくプッシュした」
「タイヤとクルマのポテンシャルを確かめるということに切り替えていたので、それがすごくチームとしてもフィーチャーレースに向けて大きな時間になったと思う」
日曜のフィーチャーレースはポールスタートから抜群のスタートを切り、ポール・トゥ・ウィンで完勝。中野氏が「フィーチャーレースに向け、用意周到に準備していたのが素晴らしかった。スタートを決めて、1コーナーに向けてズバッと入っていけた。このときは心境的にどんな感じだった？」と聞くと、岩佐も笑みを見せながら振り返っている。
「いやー、もうスタートジャンプが決まった瞬間に“これは来た！”と思ったんで。あとはもうミラーを見て、（後方から）2台とも来ていないのを見た瞬間にこれはもらったな、と。そこからはもう進路を変えずにアウト側からアウト・イン・アウトで、速度を乗せて1コーナーに入っていくことができた」
タイヤのマネージメントやレースペースについても、本人はしっかりコントロールできていたという。
「正直なところ、無理はしていませんでした。ただ、トラックとしてはタイヤの熱がすごく入れにくいサーキットでもあって。逆に言えばデグラデーションも少なかったので。とにかくソフトでもミディアムでもプッシュプッシュで、一周一周攻めていった。7～8周目にセーフティーカーが出て、ピットインする形になった」
「その後のミディアムのほうが若干ペースは良かったので、そのミディアムのペースを生かして、（後方との差を）広げにはかかったんですけど、セーフティーカーが終盤にも出てしまった」
「いろいろイレギュラーなことが起こったんですけど、ただいろんな状況に応じてしっかりと落ち着いて、僕自身もそうですし、チームとしても落ち着いてそれぞれコミュニケーションを取りながらレースを進めることができたので。すごくポジティブな一戦だったんじゃないかと思う」
中野氏は「これは快挙」として、F2カテゴリーにおいて日本人史上初めてポイントリーダーになったと伝えると、岩佐本人は日本人初という点について知らなかった模様だ。
「そうなんですか？いや、ポイントリーダーというのは知っていたんですけど」
「正直なところ、ランキングは今のところ気にしていないというところで。やはりまだまだ始まったばかりですし、ランキングに関してはいつひっくり返されてもおかしくないので。まずは目の前のレースを勝ち続けることに意識して、チームとともにとにかく全力で攻め続けたレースをしていくのが現時点の目標かな、と思っているので」
「もちろんチャンピオンシップを穫るというのは前提としての目標ではありますけども、今の時点でそこはあまり気にせず、しっかりと自分たちのできる範囲で死力を尽くすというところに集中していきたい」
今季すでに2勝をマークし、58ポイントでF2のランキングトップに立っている岩佐。2023年のF2はラウンド14まであり、その中の第3ラウンドを終えた段階ながら、F1昇格に最も近い状況にある。
第4ラウンドのアゼルバイジャンでもしっかりポイントを積み重ね、スーパーライセンス取得に向けて弾みをつけられるのか注目だ。
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チーム・ドライバー
日程・番組表
| レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
|---|---|---|---|
| 第1戦 | バーレーンGP | 3月3日（金） ～4日（土） | 3月5日（日） |
| 第2戦 | サウジアラビアGP | 3月17日（金） ～18日（土） | 3月19日（日） |
| 第3戦 | オーストラリアGP | 3月31日（金） ～ 4月1日（土） | 4月2日（日） |
| 第4戦 | アゼルバイジャンGP | 4月28日（金） ～ 29日（土） | 4月30日（日） |
| 第5戦 | マイアミGP | 5月5日（金） ～ 6日（土） | 5月7日（日） |
| 第6戦 | エミリア・ロマーニャGP | 5月19日（金） ～ 20日（土） | 5月21日（日） |
| 第7戦 | モナコGP | 5月26日（金） ～ 27日（土） | 5月28日（日） |
| 第8戦 | スペインGP | 6月2日（金） ～ 3日（土） | 6月4日（日） |
| 第9戦 | カナダGP | 6月16日（金） ～ 17日（土） | 6月18日（日） |
| 第10戦 | オーストリアGP | 6月30日（金） ～ 7月1日（土） | 7月2日（日） |
| 第11戦 | イギリスGP | 7月7日（金） ～ 8日（土） | 7月9日（日） |
| 第12戦 | ハンガリーGP | 7月21日（金） ～ 22日（土） | 7月23日（日） |
| 第13戦 | ベルギーGP | 7月28日（金） ～ 29日（土） | 7月30日（日） |
| 第14戦 | オランダGP | 8月25日（金） ～ 26日（土） | 8月27日（日） |
| 第15戦 | イタリアGP | 9月1日（金） ～ 2日（土） | 9月3日（日） |
| 第16戦 | シンガポールGP | 9月15日（金） ～ 16日（土） | 9月17日（日） |
| 第17戦 | 日本GP | 9月22日（金） ～ 23日（土） | 9月24日（日） |
| 第18戦 | カタールGP | 10月6日（金） ～ 7日（土） | 10月8日（日） |
| 第19戦 | アメリカGP | 10月20日（金） ～ 21日（土） | 10月22日（日） |
| 第20戦 | メキシコシティGP | 10月27日（金） ～ 28日（土） | 10月29日（日） |
| 第21戦 | サンパウロGP | 11月3日（金） ～ 4日（土） | 11月5日（日） |
| 第22戦 | ラスベガスGP | 11月16日（木） ～ 17日（金） | 11月18日（土） |
| 第23戦 | アブダビGP | 11月24日（金） ～ 25日（土） | 11月26日（日） |