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モータースポーツ

【コラム】第30回「浅木さんが最後まで見せてくれた技術者魂」|F1解説者ムッシュ柴田のピットイン

【コラム】第30回「浅木さんが最後まで見せてくれた技術者魂」|F1解説者ムッシュ柴田のピットインDAZN
【F1 コラム】解説者も務めるモータースポーツジャーナリスト、柴田久仁夫がF1の今に迫る。
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ホンダのF1活動を長年支えた浅木泰昭氏

4月初旬、東京青山のホンダ本社で浅木泰昭エンジニアの「引退記念トークショー」が開かれました。

ホンダF1第4期活動での浅木さんの多大な貢献は、今さら説明の必要もないでしょう。F1復帰当初のホンダは、V6ターボハイブリッドという新たな技術開発に完全に出遅れ、優勝どころか表彰台にも上がれない苦しい時期を過ごしていました。

そんなどん底の時期に、量産車や二輪、ホンダジェットの技術者たちを巻き込んでのオールホンダ体制を構築。常勝メルセデスにパワー面で大きく劣り、かつ壊れまくっていたホンダ製パワーユニットを「現役最強のF1エンジン」と評されるまでに立て直す陣頭指揮を取ったのが浅木さんでした。

2023-04-22 Kunio SHIBATA Asaki Yasuaki Honda F1 Formula 1

そして2022年はパートナーのレッドブルが、ドライバー&コンストラクターズの両選手権を独占。それを見届けるかのように、浅木さんは42年間の技術者人生に終止符を打ったわけです。その記念としてのトークショーでしたが、本来ホンダは特定のエンジニアが脚光を浴びることについて、避ける傾向があります。

その意味でも今回は、かなり異例のイベントと言えました。それだけ浅木さんが、特別な存在だったということなのでしょう。

会場には開演の数時間前から、十数倍の抽選を勝ち抜いた熱心なファンの方々が全国から詰めかけ、大変な熱気でした。ホンダF1復活のストーリーを、浅木さん本人の口から直に聞きたい。そんな熱い思いがみなぎっていました。

F1の舞台で戦い続けることとは

2023-04-22 2018 Yamamoto Masashi Tost Franz Asaki Yasuaki F1 Formula 1Getty Images

「砂漠に水を撒くようだ」

これまで何度もインタビューしてきた中で、浅木さんはいくつもの記憶に残る名言を残しています。トークショーで最初に紹介したのが、この言葉でした。

第4期のどん底時代、量産開発の部下もF1に駆り出される。送り出す立場だった浅木さんは「砂漠に水を撒くようなものだから、早く帰ってこい」と言ったそうです。

「“やっても無駄だ。技術者としてつぶれる前に、早く帰ってこい”と言ったんです。するとそいつが“こんな状況を放っておいて、量産に戻れません”と、返してきた」

「確かに負けたまま終わる負の遺産は、無視できない。何をやってもダメだったという気持ちで量産に戻られても、使い道がない技術者になる。それはホンダにとってまずいと思いました」

だったら彼らが自信を取り戻すところまで、自分がやるしかない。定年を半年後に控えた浅木さんがあえてF1に身を投じたのは、そんな理由からでした。

2023-04-22 Kunio SHIBATA Asaki Yasuaki Honda F1 Formula 1

その根底には、浅木さん自身の原体験もありました。1980年代初めのホンダ第2期活動に入社2年目から携わり「そこで開発したエンジンが世界一になった自信をベースに、量産をやってきた」同じ経験を、部下たちにも味わってほしいという思いだったということです。

とはいえ当時のホンダ製パワーユニットは、メルセデスのはるか後塵を拝する状態でした。はたして追いつけるのか。

「その意味では、ワクワク感よりもプレッシャーの方が大きかったですね。だから研究所に通う車中で、お腹が痛くなったりしましたよ。体調が変わるぐらいの重圧を感じてたんでしょう」

ホンダは2026年以降どうなるのか

2022-11-02 Perez Red Bull Honda Logo F1 Formula 1Getty Images

「F1は容赦がない。だからこそ続ける価値がある」

トークショーの当日、もうひとつ紹介した名言がこれでした。以下、浅木さんの解説です。

「F1のレギュレーションは、ダメなチームも一回ぐらい勝てるようにとか、そんなんじゃない。ダメなところは負け続ける。そういう容赦のなさこそが、F1が世界最高峰たる理由だと私は思うわけです。そしてそういうところで世界一になったという自信が、これまでのホンダを作ってきたのだと思ってます」

2023-04-22 Kunio SHIBATA Asaki Yasuaki Honda F1 Formula 1

F1はV6ターボハイブリッドの技術レギュレーションにおいても、開発で出遅れたホンダが追いつけやすくなるように制限を緩めるとか、そんな手心はいっさい加えませんでした。F1の容赦のなさは依然として健在であり、ホンダはそこから苦境を跳ね返し、頂点を極めたのでした。

となるとこの名言の後半「だからこそ続ける価値がある」という言葉の真意が気になってきます。パワーユニット規約が大きく変わる2026年以降、ホンダははたして撤回宣言を翻して、参戦を継続するのか。浅木さん自身は、ホンダはどうするべきだと思っているのか。

普段のインタビューだったら、答えを濁されても仕方のない質問です。それが今回のトークショーでは、一歩踏み込んだコメントをしてくれました。

「2026年以降もホンダがF1にいるというつもりで、ここまで続けてきた」と、浅木さんは答えてくれたのです。

2023-04-22 Kunio SHIBATA Asaki Yasuaki Honda F1 Formula 1

ホンダがF1を続けると思っているからこそ、ここまで開発を続けてきた。そうでなければ、さっさと止めていたということです。

世界の自動車業界はEVへと大きく舵を切り、ホンダも例外ではありません。しかし浅木さんは今も内燃機関の可能性を信じ、その可能性を極める最高の舞台であるF1で、開発を続けてきました。

若い技術者たちには、そのバトンを引き継いでほしい。それが浅木さんの最後の願いなのだと思います。

文・柴田久仁夫(しばた・くにお)

1956年静岡県生まれ。1980年代よりフランス・パリを拠点とし、TV番組制作の現場で手腕を振るう。1987年よりF1の世界にも足を踏み入れ、それ以来数々のレースを取材してきた。訪れたサーキットでは素足でトラックの感触を確かめるというライフワークも行っている。2016年より本拠地を東京に移し、現在は『DAZN』のモータースポーツ中継でも解説を務める。

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【レース情報】
F1  第4戦:アゼルバイジャンGP※日本時間
4月28日(金)18:30~フリー走行
4月28日(金)22:00~予選
4月29日(土)17:30~スプリントシュートアウト
4月29日(土)22:30~スプリントレース
4月30日(日)20:00~決勝

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チーム・ドライバー

日程・番組表

 レースフリー走行・予選決勝
第1戦バーレーンGP 3月3日(金) ~4日(土)3月5日(日)
第2戦サウジアラビアGP 3月17日(金) ~18日(土)3月19日(日)
第3戦オーストラリアGP 3月31日(金) ~ 4月1日(土)4月2日(日)
第4戦アゼルバイジャンGP 4月28日(金) ~ 29日(土)4月30日(日)
第5戦マイアミGP 5月5日(金) ~ 6日(土)5月7日(日)
第6戦エミリア・ロマーニャGP 5月19日(金) ~ 20日(土)5月21日(日)
第7戦モナコGP 5月26日(金) ~ 27日(土)5月28日(日)
第8戦スペインGP 6月2日(金) ~ 3日(土)6月4日(日)
第9戦カナダGP 6月16日(金) ~ 17日(土)6月18日(日)
第10戦オーストリアGP 6月30日(金) ~ 7月1日(土)7月2日(日)
第11戦イギリスGP 7月7日(金) ~ 8日(土)7月9日(日)
第12戦ハンガリーGP 7月21日(金) ~ 22日(土)7月23日(日)
第13戦ベルギーGP 7月28日(金) ~ 29日(土)7月30日(日)
第14戦オランダGP 8月25日(金) ~ 26日(土)8月27日(日)
第15戦イタリアGP 9月1日(金) ~ 2日(土)9月3日(日)
第16戦シンガポールGP 9月15日(金) ~ 16日(土)9月17日(日)
第17戦日本GP 9月22日(金) ~ 23日(土)9月24日(日)
第18戦カタールGP 10月6日(金) ~ 7日(土)10月8日(日)
第19戦アメリカGP 10月20日(金) ~ 21日(土)10月22日(日)
第20戦メキシコシティGP 10月27日(金) ~ 28日(土)10月29日(日)
第21戦サンパウロGP 11月3日(金) ~ 4日(土)11月5日(日)
第22戦ラスベガスGP 11月16日(木) ~ 17日(金)11月18日(土)
第23戦アブダビGP 11月24日(金) ~ 25日(土)11月26日(日)