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【コラム】第36回「アルボンとウィリアムズの幸福な関係」|F1解説者ムッシュ柴田のピットイン

【コラム】第36回「アルボンとウィリアムズの幸福な関係」|F1解説者ムッシュ柴田のピットインDAZN
【F1 コラム】解説者も務めるモータースポーツジャーナリスト、柴田久仁夫がF1の今に迫る。
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カナダGPでアルボンが7位入賞…改めて才能を示す

今回のカナダGPで7位をもぎ取るまで、アレクサンダー・アルボンは「最も過小評価されているF1ドライバーの一人」でした。

これまでのキャリアがかなり地味だったのも、そんな評価と関係ありそうです。16歳で4輪デビューを果たし、フォーミュラ・ルノーやGP3、F2を戦ってきましたが、一度もタイトルを獲ったことがない。2019年からはフォーミュラEへの転向が決まり、F1デビューは夢に終わるはずでした。

ところがピエール・ガスリーがトロロッソからレッドブルへ昇格することで、急きょアルボンがF1の舞台に引っ張り出されます。するとデビュー2戦目のバーレーンGPで初入賞を果たし、それ以降もベテランの僚友ダニール・クビアトとほぼ互角の結果を出し続けました。

F1デビューイヤーの途中からレッドブルに大抜てき

2021-02-24 Gasly Albon F1 Formula 1Getty Images

この健闘が評価され、失意のガスリーと入れ替わる形で夏にはレッドブルに昇格します。F1にデビューして、わずか13戦目。マックス・フェルスタッペンでさえ24戦目でしたから、異例の大抜てきでした。とはいえレッドブルにしてみれば、あくまで2020年以降のフェルスタッペンのチームメイトを誰にするのか、様子見の性格が強いものでした。

するとアルボンはレッドブル初戦のスパ・フランコルシャン、続くモンツァでもフェルスタッペンを上回る結果を出し、日本GP予選ではフェルスタッペンと同一タイムを叩き出して、速さでも負けていないところを見せました。

終盤のブラジルGPではルイス・ハミルトンに追突されなければ、初表彰台は確実でした。このレースを除けば、レッドブル移籍後8レースでいずれも6位以内に入賞するという抜群の安定性も、僕たちを驚かせるには十分でした。

2021年はリザーブ降格…それでも組織のために尽力

2021-11-18 Tsunoda Yuki Albon F1 Formula 1Getty Images

これでアルボンは翌2020年もレッドブル残留を果たすのですが、独特の挙動のマシンに手こずります。それでも3位表彰台を2度獲得。目立たない記録ですが、アジア人F1ドライバーとして複数回表彰台に上がったのは、今のところアルボンだけです。

とはいえこの年、2勝を含む11回の表彰台を獲得したフェルスタッペンとの差はあまりに大きく、2021年はレースシートを失います。ただしテストドライバーとしてのマシン開発への貢献、何より角田裕毅への親身な指導は、レッドブルやアルファタウリの首脳陣が高く評価するところです。

それでもアルボン自身はレース復帰を望み、レッドブルとの関係を清算して2022年からのウィリアムズ移籍を決断します。F2時代にライバルだったジョージ・ラッセルの、強い推しもありました。

しかし再建途中のウィリアムズに、アルボンが真価を発揮できるほどの戦闘力は望めず、3回の下位入賞が精一杯でした(“3回も入賞できた”ことを、むしろ評価すべきかもしれません)。

下位ウィリアムズで可能な限りの成果を示す

2023-06-22 Albon Williams F1 Formula 1DAZN

そんな厳しい状況はウィリアムズ2年目の今季も、決して好転しているわけではありません。それでもアルボンは毎レース、ウィリアムズのマシン性能を100%出し切ろうと努力し、多くの場合成功しているように見えます。

今回、カナダGPにおける7位入賞は、アルボンのそんな献身とドライバーとしての力量、そしてチームのアルボンに対する厚い信頼があったからこその、稀有な到達点でした。

ただしジェームズ・ボウルズ代表自身が言明しているように、ウィリアムズの本格復活までにはまだ何年もかかりそうです。

2023-02-23 Albon Williams F1 Formula 1Getty Images

アルボンはその日が来るのを、このままじっと待ち続けるのか。普通に考えれば、去年のラッセルが成し遂げたように、トップチームへと羽ばたくことを望んでいるはずです。そして他チームもアルボンの実力を、今さらながら認識したことでしょう。

レッドブルもひょっとしたら、フェルスタッペンのチームメイト候補リストに、改めてアルボンの名前を載せているかもしれません。

文・柴田久仁夫(しばた・くにお)

1956年静岡県生まれ。1980年代よりフランス・パリを拠点とし、TV番組制作の現場で手腕を振るう。1987年よりF1の世界にも足を踏み入れ、それ以来数々のレースを取材してきた。訪れたサーキットでは素足でトラックの感触を確かめるというライフワークも行っている。2016年より本拠地を東京に移し、現在は『DAZN』のモータースポーツ中継でも解説を務める。

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【レース情報】
F1  第10戦:オーストリアGP※日本時間
6月30日(金)20:30~フリー走行1回目
7月1日(土)0:00~予選
7月1日(土)19:00~スプリントシュートアウト
7月1日(土)23:30~スプリントレース
7月2日(日)22:00~決勝

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チーム・ドライバー

日程・番組表

 レースフリー走行・予選決勝
第1戦バーレーンGP 3月3日(金) ~4日(土)3月5日(日)
第2戦サウジアラビアGP 3月17日(金) ~18日(土)3月19日(日)
第3戦オーストラリアGP 3月31日(金) ~ 4月1日(土)4月2日(日)
第4戦アゼルバイジャンGP 4月28日(金) ~ 29日(土)4月30日(日)
第5戦マイアミGP 5月5日(金) ~ 6日(土)5月7日(日)
第6戦エミリア・ロマーニャGP 5月19日(金) ~ 20日(土)5月21日(日)
第7戦モナコGP 5月26日(金) ~ 27日(土)5月28日(日)
第8戦スペインGP 6月2日(金) ~ 3日(土)6月4日(日)
第9戦カナダGP 6月16日(金) ~ 17日(土)6月18日(日)
第10戦オーストリアGP 6月30日(金) ~ 7月1日(土)7月2日(日)
第11戦イギリスGP 7月7日(金) ~ 8日(土)7月9日(日)
第12戦ハンガリーGP 7月21日(金) ~ 22日(土)7月23日(日)
第13戦ベルギーGP 7月28日(金) ~ 29日(土)7月30日(日)
第14戦オランダGP 8月25日(金) ~ 26日(土)8月27日(日)
第15戦イタリアGP 9月1日(金) ~ 2日(土)9月3日(日)
第16戦シンガポールGP 9月15日(金) ~ 16日(土)9月17日(日)
第17戦日本GP 9月22日(金) ~ 23日(土)9月24日(日)
第18戦カタールGP 10月6日(金) ~ 7日(土)10月8日(日)
第19戦アメリカGP 10月20日(金) ~ 21日(土)10月22日(日)
第20戦メキシコシティGP 10月27日(金) ~ 28日(土)10月29日(日)
第21戦サンパウロGP 11月3日(金) ~ 4日(土)11月5日(日)
第22戦ラスベガスGP 11月16日(木) ~ 17日(金)11月18日(土)
第23戦アブダビGP 11月24日(金) ~ 25日(土)11月26日(日)