ハンガリーGPでは序盤から複数台の絡む接触が
角田裕毅選手がアルファタウリの新たなチームメイトとして、ダニエル・リカルドを迎えた最初のレースとなったハンガリーGP。予選、決勝レースともに、リカルドが角田選手を凌ぐ結果となりました。
決勝スタート直後、チョウ・グァンユに追突されて一時は最下位まで落ちながらも、果敢なピット戦略とタイヤマネージメントの巧さで13位チェッカーと、内容的にも見応えがありました。一方の角田選手は、最初のピットインで左フロントのタイヤ交換に手間取り5秒以上のタイムロスを喫したことが致命傷でした。
さらに第2スティントで履いたハードを44周目まで引っ張ったことが、結果的にポイント獲得のチャンスを完全に失わせました。
そのあたりは観ているこちらもかなりモヤモヤした思いを抱いたのですが、『DAZN』の『Wednesday F1 Time #23』にリモート出演した角田選手が、その間の事情を含め、ハンガリーの週末をかなり詳細に振り返ってくれています。
僕がまずすごく面白いと思ったのが、17番グリッドから一気に11番手まで順位を上げたスタートダッシュについてのコメントでした。
「チョウ選手が隣にいて、ブレーキングでプレッシャーをかけることができた。彼が僕のブレーキングに合わせようとして、前をよく見てなくて追突事故を起こした。そういうミスを誘えたのも良かったかなと思ってます」
実際にスタートの俯瞰映像を見直すと、5番グリッドのチョウ・グァンユが大きく出遅れ、イン側から迫った角田選手が一瞬、並走しています。その直後にチョウ選手はリカルドに追突し、アルピーヌ2台を巻き込む多重事故になったわけです。
当事者ならではの臨場感たっぷりのコメントで、しかもスタートの混乱状態の中でも角田選手が周囲を見渡せていることがよくわかりました。
1周目でジャンプアップも、角田選手はそこから失速
Red Bull Content Pool
しかしその後角田選手はピット作業の遅れもあって、大きく順位を落としてしまいます。さらに第2スティントで履いたハードタイヤをかなり長く引っ張る間に、ずるずると順位を下げていきました。
これについて角田選手は「ハードを長く持たせるのか、さっさとミディアムに履き替えるのか、ハテナマークのままずっと走ってて、結局後ろになってしまった。いいタイヤマネージメントができてたので、それが結果的に活かせなかったのは、すごく残念でした」と、無念さを隠しませんでした。
チームメイトのリカルドがわずか11周でハードからミディアムに履き替え、結果的に自分の2つ上でフィニッシュしただけに、いっそう悔しかったのでしょう。
ただ角田選手は「悔しさはむしろ、レース週末を通して自分のパフォーマンスが発揮できなかったこと」と言っています。
予選Q1ではわずか0.013秒差だったとはいえ、リカルドはQ2に進み自身は17番手でした。さらに遡れば、初日フリー走行1回目で新型フロントウィングを壊し、以降は旧仕様で走らざるを得なかった。自身のミスでせっかくのアップデートを活かせなかったことは、相当悔しかったことでしょう。
角田選手から見た、実力者リカルドのすごい部分とは
Red Bull Content Pool
ではリカルドについて、角田選手はどう思っているのか。
「チームとの環境作りが上手い。自信を持てば速いドライバーというのは感じている。成功したドライバーだと誰もが知ってるし、チームとしても期待は大きい」とのことでした。
去年までのマクラーレンはリアの挙動が不安定で、リカルドは最後まで真価を発揮できませんでした。似たような車体特性のアルファタウリでも、手こずるのではないか。そんな見方もありましたが、本人は「自信を持って走れた」とコメントしています。
それについて角田選手は「レッドブルほどではないけれど、去年のマクラーレンよりは安定している。そのおかげで自信を取り戻して、クルマにもすぐに馴染めた。そういう対応力、そしてフィードバックは、すごく上手いなと思いました」とのこと。
自分より僚友が優れている点を認めつつ、学習に意欲
Red Bull Content Pool
そんなリカルドを間近で見て、角田選手は「無線のやりとりの改善」を、特に痛感したと言っています。
「レース中、タイヤはどんな状況なのかとか、無線でチームに詳しく伝えるべきでした。リカルドはそこが上手くて、タイヤ情報が詳細かつ、わかりやすかったと」
「なので(ハードを早く捨てる)賭けにも出やすかったんでしょう。そういう状況に応じた無線でのアップデートは、僕よりも上なのかなと思います。そこは学ぶところですね」
確かに角田選手はF2時代から、無線では最低限のことしかしゃべっていませんでした。余談ながらチャールズ・ルクレールも、かなり無口です。頻繁に起きている担当エンジニアとの戦略上のいざこざは、ひょっとすると無線でのルクレールからのフィードバックの少なさも、影響しているのかもしれません。
経験も実績も十分にあるリカルドに対し、角田選手がどこまでやれるのか。僕自身もハンガリーGP前は、そんな興味でいっぱいでした。しかし今は2人でAT04を速くして、少なくともコンスタントにポイントを獲得できるようにしてほしい。そんな思いが優っています。
文・柴田久仁夫(しばた・くにお)
1956年静岡県生まれ。1980年代よりフランス・パリを拠点とし、TV番組制作の現場で手腕を振るう。1987年よりF1の世界にも足を踏み入れ、それ以来数々のレースを取材してきた。訪れたサーキットでは素足でトラックの感触を確かめるというライフワークも行っている。2016年より本拠地を東京に移し、現在は『DAZN』のモータースポーツ中継でも解説を務める。
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【レース情報】
F1 第13戦:ベルギーGP
7月28日(金)20:30~フリー走行
7月29日(土)0:00~予選
7月29日(土)19:00~スプリントシュートアウト
7月29日(土)23:30~スプリントレース
7月30日(日)22:00~決勝
F2 第11戦:ベルギー
7月28日(金)18:05~フリー走行
7月28日(金)22:55~予選
7月29日(土)20:45~レース1
7月30日(日)17:00~レース2
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チーム・ドライバー
日程・番組表
レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
---|---|---|---|
第1戦 | バーレーンGP | 3月3日(金) ~4日(土) | 3月5日(日) |
第2戦 | サウジアラビアGP | 3月17日(金) ~18日(土) | 3月19日(日) |
第3戦 | オーストラリアGP | 3月31日(金) ~ 4月1日(土) | 4月2日(日) |
第4戦 | アゼルバイジャンGP | 4月28日(金) ~ 29日(土) | 4月30日(日) |
第5戦 | マイアミGP | 5月5日(金) ~ 6日(土) | 5月7日(日) |
第6戦 | エミリア・ロマーニャGP | 5月19日(金) ~ 20日(土) | 5月21日(日) |
第7戦 | モナコGP | 5月26日(金) ~ 27日(土) | 5月28日(日) |
第8戦 | スペインGP | 6月2日(金) ~ 3日(土) | 6月4日(日) |
第9戦 | カナダGP | 6月16日(金) ~ 17日(土) | 6月18日(日) |
第10戦 | オーストリアGP | 6月30日(金) ~ 7月1日(土) | 7月2日(日) |
第11戦 | イギリスGP | 7月7日(金) ~ 8日(土) | 7月9日(日) |
第12戦 | ハンガリーGP | 7月21日(金) ~ 22日(土) | 7月23日(日) |
第13戦 | ベルギーGP | 7月28日(金) ~ 29日(土) | 7月30日(日) |
第14戦 | オランダGP | 8月25日(金) ~ 26日(土) | 8月27日(日) |
第15戦 | イタリアGP | 9月1日(金) ~ 2日(土) | 9月3日(日) |
第16戦 | シンガポールGP | 9月15日(金) ~ 16日(土) | 9月17日(日) |
第17戦 | 日本GP | 9月22日(金) ~ 23日(土) | 9月24日(日) |
第18戦 | カタールGP | 10月6日(金) ~ 7日(土) | 10月8日(日) |
第19戦 | アメリカGP | 10月20日(金) ~ 21日(土) | 10月22日(日) |
第20戦 | メキシコシティGP | 10月27日(金) ~ 28日(土) | 10月29日(日) |
第21戦 | サンパウロGP | 11月3日(金) ~ 4日(土) | 11月5日(日) |
第22戦 | ラスベガスGP | 11月16日(木) ~ 17日(金) | 11月18日(土) |
第23戦 | アブダビGP | 11月24日(金) ~ 25日(土) | 11月26日(日) |