元ホンダ・レーシング(HRC)のF1エンジン開発責任者である浅木泰昭氏が『DAZN』のイタリアGP、フリー走行3回目の生中継にコメンテーターとして出演。現地モンツァの状況を見ながら、つい最近まで現場で手腕を振るっていた技術者ならではの言葉を口にした。
2023年4月限りでHRC退職となった浅木氏。2020年10月にホンダが2021年限りでのF1活動終了を発表し、2021年に翌シーズン(2022年)から導入予定だった新骨格エンジンの投入を前倒しで実現させ、同年マックス・フェルスタッペンのドライバーズタイトル奪取に大きく貢献したことでも知られる。
生中継内では実況担当のサッシャ氏が、パワーユニットの理屈や実情などについて次々に質問。技術者としてホンダ第2期からF1の現場に接してきた経験を踏まえ、浅木氏は見識を述べている。
2021年以降、F1ではホンダ及びHRCのパワーユニットが強さを示している状況。だが浅木氏はホンダ第4期(2015~2021年)序盤のことを「ホントに苦しいですよ。勝てるようになったら好きなことを言えますけど。メルセデスに負けていた時はどうやったらこんだけパワーの差が出るんだっていう苦しい時代を過ごしての話ですからね」と振り返った。
浅木「すごいバッシングを受けましたけどね、マクラーレン時代(2015~2017年)は。何をやるにも大変ですよね」
サッシャ「眠れない夜とかありましたか?」
浅木「ここで言うんですか?……なかなかありますよ」
Getty Images
その後、当時のホンダはマクラーレンと袂を分かち、2018年はトロ・ロッソ(現アルファタウリ)にパワーユニットを供給。2019年からはレッドブルにも拡大してPU供給することとなった。
そしてホンダF1活動終了年となった2021年は、フェルスタッペンがルイス・ハミルトンとのし烈なチャンピオン争いを制し、ドライバーズタイトルを獲得。ホンダとしてのF1活動は同年で終了となったものの、HRCとしてレッドブルグループとの協力関係を継続させた2022年は、レッドブルが圧倒的な力を示してダブルタイトルを手にした。現在の2023年もその強さは継続となっている。
中継内では、本田技研工業の航空事業であるHondaJetの技術開発が、F1の世界にも大きく貢献しているとの話題になった。
サッシャ「なんで飛行機の知見がF1に活きるんですか?」
浅木「長いシャフトが高回転で回るとき、共振というのを持つんですけど。共鳴するところをいかに避けるかというのをやらないと、飛行機もちゃんと飛べないんです」
サッシャ「飛行機も振動がすごくあって、それを技術で抑えていると」
浅木「似たようなことで、縁石に乗り上げてガツン!という衝撃がもとで軸がブレ出してね。(ピエール)ガスリーなんか一回NGH壊しちゃったんですけど。その時に、飛行機だって着陸のときにガツン!といくから、そんなんで壊れないようにこういうテストをやっているとか、いろんな話を聞きまして。(F1のパワーユニットと飛行機のエンジンで)近いところがいっぱいあるんだなと思いましたよ」
浅木「タフネスを持っていないと。やっぱり人の命を預かっているんでね。そういうところは(航空機の技術者が)いろんな知見を持っていましたね」
サッシャ「じゃあHondaJetがホンダF1の復活にも、すごく寄与しているわけですね」
浅木「Jet部門がなかったら、高度な知識を持っている人たちがF1に関わることはないじゃないですか。だから(F1で)勝てなかったんじゃないですかね。ジェットチームがホンダになかったら」
Getty Images
サッシャ氏は「失礼だったらごめんなさい」と前置きしたうえで、率直に「飛行機のほうがF1の技術より上なんですか?」と質問。すると浅木氏は「部分的にはね」と即答し、こう続けた。
浅木「飛行機の技術屋さんがF1に来て、勝てるエンジンが作れるかと言うと全然別の話ですから。本当に(HRCとして)困った部分を(HondaJetが)よく知っていたんですよね」
サッシャ「たまたま苦手だったところに、飛行機の技術がものすごく活きたということですか?」
浅木「そういうことです。そういう技術を持っていないから、うちは違うレイアウトにしようという選択肢もあったわけです。メルセデスみたいにコンプレッサーとターボをエンジンの前後ろに振り分けるみたいなことをやらなきゃ、シャフトが短いんで」
浅木「飛行機の技術がなくても勝てたかもしれないけど、それを選んで、また元に戻してとかしていたら、時間がなくてずっと勝てなかったんじゃないですかね」
現場で陣頭指揮を執り、ホンダを躍進に導いた浅木氏。その原動力の一つとして、HondaJetの技術がF1のパワーユニットでも大きな力添えとなっていたようだ。
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チーム・ドライバー
日程・番組表
レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
---|---|---|---|
第1戦 | バーレーンGP | 3月3日(金) ~4日(土) | 3月5日(日) |
第2戦 | サウジアラビアGP | 3月17日(金) ~18日(土) | 3月19日(日) |
第3戦 | オーストラリアGP | 3月31日(金) ~ 4月1日(土) | 4月2日(日) |
第4戦 | アゼルバイジャンGP | 4月28日(金) ~ 29日(土) | 4月30日(日) |
第5戦 | マイアミGP | 5月5日(金) ~ 6日(土) | 5月7日(日) |
第6戦 | エミリア・ロマーニャGP | 5月19日(金) ~ 20日(土) | 5月21日(日) |
第7戦 | モナコGP | 5月26日(金) ~ 27日(土) | 5月28日(日) |
第8戦 | スペインGP | 6月2日(金) ~ 3日(土) | 6月4日(日) |
第9戦 | カナダGP | 6月16日(金) ~ 17日(土) | 6月18日(日) |
第10戦 | オーストリアGP | 6月30日(金) ~ 7月1日(土) | 7月2日(日) |
第11戦 | イギリスGP | 7月7日(金) ~ 8日(土) | 7月9日(日) |
第12戦 | ハンガリーGP | 7月21日(金) ~ 22日(土) | 7月23日(日) |
第13戦 | ベルギーGP | 7月28日(金) ~ 29日(土) | 7月30日(日) |
第14戦 | オランダGP | 8月25日(金) ~ 26日(土) | 8月27日(日) |
第15戦 | イタリアGP | 9月1日(金) ~ 2日(土) | 9月3日(日) |
第16戦 | シンガポールGP | 9月15日(金) ~ 16日(土) | 9月17日(日) |
第17戦 | 日本GP | 9月22日(金) ~ 23日(土) | 9月24日(日) |
第18戦 | カタールGP | 10月6日(金) ~ 7日(土) | 10月8日(日) |
第19戦 | アメリカGP | 10月20日(金) ~ 21日(土) | 10月22日(日) |
第20戦 | メキシコシティGP | 10月27日(金) ~ 28日(土) | 10月29日(日) |
第21戦 | サンパウロGP | 11月3日(金) ~ 4日(土) | 11月5日(日) |
第22戦 | ラスベガスGP | 11月16日(木) ~ 17日(金) | 11月18日(土) |
第23戦 | アブダビGP | 11月24日(金) ~ 25日(土) | 11月26日(日) |