2023年シーズン途中からマクラーレンが大復活
ここ数戦のマクラーレンの強さには、本当に目を見張るものがあります。
シンガポールでランド・ノリスが2位表彰台に上がると、鈴鹿ではオスカー・ピアストリが3位に入ってダブル表彰台。カタールも続けてダブル表彰台で、今度はピアストリが2位。
カタールにおいてマクラーレンは、なんとレッドブルを凌いで、最もポイントを稼いだチームになったのでした(レッドブル34点、マクラーレン47点)。この調子で2人の活躍が続けば、最終戦までにアストンマーティンを抜いて選手権4位に返り咲くことができそうです。
かつて1980年代に一時代を築いた名門
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最近になってF1を観るようになったファンの皆さんは、かつてのマクラーレンがものすごく強いチームだったと言っても、ピンと来ないでしょう。なにしろ最後にタイトルを獲ったのは2008年、今から15年も前のことです。
その後は長期的な低迷に入り、特にホンダと組んだ2015年からの3年間は、優勝どころか表彰台にも上がれず、チーム創設以来のワースト記録を次々に塗り替える暗黒時代でした。
なぜ、そんなことになってしまったのか。よく言われるのが、マクラーレンとホンダ双方が「かつての成功体験から脱却できなかった」ことです。
1980年代後半から90年代初めにかけてのマクラーレン・ホンダの強さは圧倒的で、4年連続でタイトルを独占。1988年の16戦15勝という成績は圧倒的で、今季レッドブルがここまで(カタールGP終了時点)残している17戦16勝という記録を達成するまで、最多勝率でした。
かつての栄光はどこに…近年の特殊な内部事情とは
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マクラーレンとホンダ、ともに相手の強さが強烈に記憶に残っていました。その両者が再び組むのだから、すぐに頂点に立てるはず。
ところがホンダはV6ターボハイブリッド技術で完全にライバルたちに出遅れ、マクラーレンの車体開発能力もトップレベルとは程遠いものでした。成功体験が忘れられず、冷静な現状把握がお互いにできなかった。それも確かにあったでしょう。
ただマクラーレン側に限れば“あまりに政治的すぎた”ことも大きな要因でした。ロン・デニスという名前を、聞いたことのある人も多いと思います。マクラーレンのトップに20年以上君臨し、強烈なリーダーシップで黄金時代を築いた人物です。
2009年以降は半ば引退状態でしたが、5年後の2014年に衝撃の復活を果たします。自ら後継者に指名し、ホンダとの提携に尽力したマーティン・ウィットマーシュをチーム代表の座から引きずり下ろし、グループCEOに復帰したのです。
新たなチーム代表に就任したエリック・ブーリエは温厚な人柄の技術者でしたが、リーダーシップはとても持ち合わせていない。実際、マクラーレン加入後は、完全にデニスのイエスマン状態でした。
デニスの敷いた独裁政治下のスタッフたちは、第三者の僕が見ても萎縮している感じでした。かつての黄金時代のデニスは、確かに厳しい指導者でしたが、チーム内は自由闊達な雰囲気だったものです。それがこの時は成績の低迷と相まって、とても同じチームとは思えない重苦しい空気でした。
名門マクラーレン復活へ…中軸を担った人物の手腕とは
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しかし2016年、デニスはチーム運営の混乱と不振の責任から解任され、アメリカ人の実業家ザク・ブラウンがCEOに就任。本格的なチーム立て直しに着手します。彼の功績で特筆すべきは、WECでポルシェを頂点に導いたアンドレアス・ザイドルをチーム代表に据えたことでした。
ザイドルは最新鋭の風洞建設やメルセデス製PU獲得など、復活に向けての施策を次々に実行していきました。しかし最も評価されるべきは「スタッフの能力を最大限発揮させたこと」だったと、個人的には思っています。
かつてザイドルにインタビューした折り、本人は謙虚にこう語っていました。
「私が来る前に、すでに中長期的な投資を株主が決めていたし、技術陣の層の厚さは定評があった。これから何ができるか、彼らはいろんな技術的アイデアを温めてくれてもいた。なので私がしたことは、彼らの働きやすい環境を作ることだけだったよ」
そうこともなげに言うザイドルですが、それこそがザイドル以前の指導者たちが成し遂げられなかったことでした。
ザイドルは予定より早く去年暮れにチームを離脱し、ザウバーCEOに就任しましたが、彼の定めた道筋はしっかりとアンドレア・ステラ新代表に受け継がれているようです。レッドブルもすでに警戒感を隠していないようですし、来季以降のマクラーレン本格復活がますます楽しみになってきました。
文・柴田久仁夫(しばた・くにお)
1956年静岡県生まれ。1980年代よりフランス・パリを拠点とし、TV番組制作の現場で手腕を振るう。1987年よりF1の世界にも足を踏み入れ、それ以来数々のレースを取材してきた。訪れたサーキットでは素足でトラックの感触を確かめるというライフワークも行っている。2016年より本拠地を東京に移し、現在は『DAZN』のモータースポーツ中継でも解説を務める。
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【レース情報】
F1 第19戦:アメリカGP※日本時間
10月21日(土)2:30~フリー走行
10月21日(土)6:00~予選
10月22日(日)2:30~スプリントシュートアウト
10月22日(日)7:00~スプリントレース
10月23日(月)4:00~決勝
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チーム・ドライバー
日程・番組表
レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
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第1戦 | バーレーンGP | 3月3日(金) ~4日(土) | 3月5日(日) |
第2戦 | サウジアラビアGP | 3月17日(金) ~18日(土) | 3月19日(日) |
第3戦 | オーストラリアGP | 3月31日(金) ~ 4月1日(土) | 4月2日(日) |
第4戦 | アゼルバイジャンGP | 4月28日(金) ~ 29日(土) | 4月30日(日) |
第5戦 | マイアミGP | 5月5日(金) ~ 6日(土) | 5月7日(日) |
第6戦 | エミリア・ロマーニャGP | 5月19日(金) ~ 20日(土) | 5月21日(日) |
第7戦 | モナコGP | 5月26日(金) ~ 27日(土) | 5月28日(日) |
第8戦 | スペインGP | 6月2日(金) ~ 3日(土) | 6月4日(日) |
第9戦 | カナダGP | 6月16日(金) ~ 17日(土) | 6月18日(日) |
第10戦 | オーストリアGP | 6月30日(金) ~ 7月1日(土) | 7月2日(日) |
第11戦 | イギリスGP | 7月7日(金) ~ 8日(土) | 7月9日(日) |
第12戦 | ハンガリーGP | 7月21日(金) ~ 22日(土) | 7月23日(日) |
第13戦 | ベルギーGP | 7月28日(金) ~ 29日(土) | 7月30日(日) |
第14戦 | オランダGP | 8月25日(金) ~ 26日(土) | 8月27日(日) |
第15戦 | イタリアGP | 9月1日(金) ~ 2日(土) | 9月3日(日) |
第16戦 | シンガポールGP | 9月15日(金) ~ 16日(土) | 9月17日(日) |
第17戦 | 日本GP | 9月22日(金) ~ 23日(土) | 9月24日(日) |
第18戦 | カタールGP | 10月6日(金) ~ 7日(土) | 10月8日(日) |
第19戦 | アメリカGP | 10月20日(金) ~ 21日(土) | 10月22日(日) |
第20戦 | メキシコシティGP | 10月27日(金) ~ 28日(土) | 10月29日(日) |
第21戦 | サンパウロGP | 11月3日(金) ~ 4日(土) | 11月5日(日) |
第22戦 | ラスベガスGP | 11月16日(木) ~ 17日(金) | 11月18日(土) |
第23戦 | アブダビGP | 11月24日(金) ~ 25日(土) | 11月26日(日) |