2023年F1第21戦、サンパウロGP決勝終了後にアルファタウリの角田裕毅がこのレースウィークを振り返った。髪が長くなってきた角田だが、アメリカ、メキシコ、サンパウロと南北アメリカ3連戦で競争力のあるところを示したこともあり、ゲン担ぎで「散髪はしばらくしないかも」と述べている。
金曜のサンパウロGP予選では、角田はQ1敗退の16番グリッドという結果に。土曜日のスプリントシュートアウトではエステバン・オコンのスピンにより残り30秒で赤旗になり、15番手でSQ2に進むという幸運な展開もあった。SQ2でも10番手とギリギリで勝ち上がりになったが、ミディアムからソフトに変更となるSQ3では全体6番手タイムを叩き出し、スプリントの6番グリッドを手にした。
同日後半のスプリントではスタート直後に一つポジションを落としたものの、チャールズ・ルクレールを追いかけ続けDRS圏内を維持する、抜群のレースペースを示す。終盤の22／24周目にはタイヤのグリップが落ちてきたルイス・ハミルトンをオーバーテイクし、角田はスプリントで6位入賞＆3ポイントを獲得。2021年から始まったスプリントフォーマットにおいてアルファタウリ、そして角田の双方が初ポイントとなっている。
そして日曜の決勝では、ルクレールがスタート前にトラブルで姿を消し、スタート直後に複数台のクラッシュもあって早々に赤旗中断となったものの、この時点で角田は16番手スタートから11番手まで一気にジャンプアップした。
再開後にはアルピーヌ勢とのバトルで一時はP9まで浮上するも、そこからはアルピーヌ2台に抜き返され、11番手から前をうかがう展開になった。レース前半に角田はセクター2区間のグラスにはみ出し、一時的にコースアウトして数秒をロスするという痛恨のミスもあったが、その後は各コンパウンドをつなぎながら粘りの走りを見せ、最後はハミルトンから7秒後方の9位フィニッシュとなった。
スプリントで3ポイント、決勝で2ポイントとインテルラゴスで5ポイントを奪取した角田は自身のSNS、及びチーム公式メディアを通じてこう語っている。
「ブラジルの週末、5ポイントを獲得しました！（髪が伸びてきたけどゲン担ぎで）散髪しないかも」
「チームのみなさんにおめでとうと言いたい。今季は残り2レースとなりましたが、あと2つ、頑張りましょう！」
ただ、P9フィニッシュとなったものの、角田はもっと上でフィニッシュできたはずだという手応えもあった模様で「ポイントを獲得できてうれしいが、もっとできたことは間違いない」とも明かしている。
「（16周目の）ターン10でミスをしてしまい、ポジションを1つ落としてしまった。チームのみんなに、本当に申し訳なく思っている」
「特に信頼性の問題をいくつか抱えていたので、さらに上のポジションで終える可能性もあったと思っているけど、それについてはしっかり検討して改善していきたい」
僚友ダニエル・リカルドはスタート直後、クラッシュで飛んできたタイヤがリアウイングに当たって大きなダメージを受け、ピットストップ中に赤旗となったためにラップダウンとなった。レースでの入賞はこの時点でほぼ絶望的となったが、角田は「この週末はダニエル（リカルド）も本当に速かったのでとても残念」と続け、リカルドも十分に速かったと振り返った。
「今日は2人とも本当ならポイントを獲得することもできたはず。レースをポジティブに見ると、16番手からスタートして9位入賞となったこととは、力強いパフォーマンスがクルマにあることを示している。オースティン（アメリカGP）でアップグレードを導入して以来、僕らアルファタウリは確実に大きな進歩を遂げたと思っている」
「僕らは今、3週連続ポイントを獲得するなど良いリズムに乗っているし、シーズン最後の2レースに向けてこの勢いをキープすることが重要。クルマのパフォーマンスを最大限引き出し続け、ポイントをここからも獲得してコンストラクターズチャンピオンシップで先行するウィリアムズとの差をもっと縮めていきたい」
Red Bull Content Pool
アルファタウリのチーフレースエンジニア、クラウディオ・バレストリはレース後、角田のマシンに問題がありながら、P9死守のために終盤は安全策に出たことを明かしている。
「サンパウロGP決勝の目標は、ポイントを獲得してウィリアムズとの差を縮めることだった。そして実際にそれを達成できてよかったよ」
「ダニエルは残念だったが、スタート直後の多重クラッシュの影響を受け、飛んできたタイヤによりリアウイングに大きなダメージを負った。それからピットストップ中に赤旗が出されたために、早々にラップダウンとなってしまった」
「これで彼のレースはほぼ終わりとなってしまったが、私たちは彼をトラック上へと送り返した。セーフティカーか赤旗を待っていたが、望んでいたような展開は来なかったね。でもダニエルはそんな中でも競争力のあるレースペースを示し、13位でフィニッシュとなった。そればかりか、決勝レース中には貴重なデータをたくさん収集することもできた」
「ユウキにとってはダニエルとまったく異なる展開になった。彼は幸運にもスタートで多重クラッシュのトラブルに巻き込まれず済んだからね。赤旗からの再開後はトップ10圏内で戦い続けた」
そしてバレストリ氏は角田のマシンにも問題があったことを説明した。
「ただ、残念ながらレース終盤にユウキのマシンにはクラッチの問題を抱えている可能性があると判明した。そのため、確実にクルマをフィニッシュまで持ち込むため、シフトアップの操作を抑える方針に切り替えたんだ」
「ユウキはしっかり9番手でフィニッシュし、チームにポイントをもたらしてくれた。我々アルファタウリはコンストラクターズチャンピオンシップでさらに上のポジションに上がることを目標に、シーズンの残り2レースに焦点を切り替えていきたい」
ブラジルの週末で角田は5ポイントを獲得し、ドライバーズランキングでもニコ・ヒュルケンベルグとバルテリ・ボッタスを抜き、総合14位に浮上した。
コンストラクターズランキングでアルファタウリは、アルファロメオと横並びの16ポイントから、21ポイントまで伸ばし、ランキング7位ウィリアムズ（28点）との差を7点まで詰めている。
残りは第22戦ラスベガスGP（11月18日決勝）と第23戦アブダビGP（11月26日決勝）のみ、2レースとなっている。アメリカGPから競争力を示しているアルファタウリはさらに上の位置へと進めるのか、角田とリカルドの戦いぶりに期待したい。
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日程・番組表
| レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
|---|---|---|---|
| 第1戦 | バーレーンGP | 3月3日（金） ～4日（土） | 3月5日（日） |
| 第2戦 | サウジアラビアGP | 3月17日（金） ～18日（土） | 3月19日（日） |
| 第3戦 | オーストラリアGP | 3月31日（金） ～ 4月1日（土） | 4月2日（日） |
| 第4戦 | アゼルバイジャンGP | 4月28日（金） ～ 29日（土） | 4月30日（日） |
| 第5戦 | マイアミGP | 5月5日（金） ～ 6日（土） | 5月7日（日） |
| 第6戦 | エミリア・ロマーニャGP | 5月19日（金） ～ 20日（土） | 5月21日（日） |
| 第7戦 | モナコGP | 5月26日（金） ～ 27日（土） | 5月28日（日） |
| 第8戦 | スペインGP | 6月2日（金） ～ 3日（土） | 6月4日（日） |
| 第9戦 | カナダGP | 6月16日（金） ～ 17日（土） | 6月18日（日） |
| 第10戦 | オーストリアGP | 6月30日（金） ～ 7月1日（土） | 7月2日（日） |
| 第11戦 | イギリスGP | 7月7日（金） ～ 8日（土） | 7月9日（日） |
| 第12戦 | ハンガリーGP | 7月21日（金） ～ 22日（土） | 7月23日（日） |
| 第13戦 | ベルギーGP | 7月28日（金） ～ 29日（土） | 7月30日（日） |
| 第14戦 | オランダGP | 8月25日（金） ～ 26日（土） | 8月27日（日） |
| 第15戦 | イタリアGP | 9月1日（金） ～ 2日（土） | 9月3日（日） |
| 第16戦 | シンガポールGP | 9月15日（金） ～ 16日（土） | 9月17日（日） |
| 第17戦 | 日本GP | 9月22日（金） ～ 23日（土） | 9月24日（日） |
| 第18戦 | カタールGP | 10月6日（金） ～ 7日（土） | 10月8日（日） |
| 第19戦 | アメリカGP | 10月20日（金） ～ 21日（土） | 10月22日（日） |
| 第20戦 | メキシコシティGP | 10月27日（金） ～ 28日（土） | 10月29日（日） |
| 第21戦 | サンパウロGP | 11月3日（金） ～ 4日（土） | 11月5日（日） |
| 第22戦 | ラスベガスGP | 11月16日（木） ～ 17日（金） | 11月18日（土） |
| 第23戦 | アブダビGP | 11月24日（金） ～ 25日（土） | 11月26日（日） |