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【コラム】第51回「角田裕毅選手の2023年を振り返る」|F1解説 ムッシュ柴田のピットイン

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角田裕毅選手が2023年最終戦後に発した言葉

アブダビGP決勝レースのチェッカー直後、角田裕毅選手と担当エンジニアであるマッティア・スピニの間で、こんなやりとりがありました。

スピニ「チェッカーフラッグ。P8だ」

角田「みんな、申し訳ない。全てを出し切ったんだけど」

スピニ「ユウキ、僕らは最後までトライし続けた。そして君は全てを出し尽くした。素晴らしいレースをありがとう」

コンストラクターズ選手権7位の座をウィリアムズから奪うには、最低でも6位入賞の必要がありました。しかし1ストップ作戦を敢行した角田選手は終盤にオスカー・ピアストリ、フェルナンド・アロンソらに抜かれ、8位フィニッシュ。目標は達成できませんでした。

2023-12-06 2022 Tsunoda Yuki Spini Alphatauri F1 Formula 1Red Bull Content Pool

謝罪する角田選手。それに対しスピニは奮闘をねぎらい「素晴らしいレースをありがとう」と、謝意を述べたのでした。

スピニは角田選手のF1デビュー以来、担当エンジニアとしてずっと支え続けてきた存在です。角田選手がついカッとなって叫んだり悪態をつく時、それを最初に受け止めて落ち着かせ、励ますのもスピニの役目でした。

そんなスピニが、今季最終戦で角田選手に「ありがとう」と伝えた。これまでいい結果を挙げたレースで「グッジョブ!」と称賛したことはあっても「ありがとう」の言葉は、少なくとも僕は聞いたことがありませんでした。スピ二はどんな思いで、この言葉を発したのか。

アルファタウリAT04は序盤に大苦戦も、後半戦から徐々に盛り返す

2023-03-18 Tsunoda Yuki Alphatauri F1 Formula 1Getty Images

2023年角田選手の成熟ぶりに、異論のある人はほとんどいないと思います。シーズン前半は、ダウンフォースも足りない上に直線スピードも遅いというAT04の絶対的な戦闘力不足ゆえに、予選でQ3まで行くことは至難でした(ベルギーGPまでの12戦でわずか2回)。

それでもレースではスタート直後の混乱を巧みに回避し、安定したミスのない走りでマシン性能を出し切る形でチェッカーを受け続けました。

イタリアGPでは出走できないトラブルに見舞われるまで、角田選手は開幕戦から連続13レース完走。角田選手以外でそれを成し遂げたドライバーは選手権上位5人とバルテリ・ボッタスのみ。角田選手本人にとっても、自己ベストのパフォーマンスでした。もしマシン戦闘力があれほどひどくなければ、3回の10位入賞だけでは終わらなかったでしょう。

実際、シーズン後半になって大幅アップデートを繰り返すと、アルファタウリは終盤5戦で4回のポイント獲得と、入賞の常連チームになっていました(うち3回が角田選手の入賞)。

メキシコGPでは千載一遇のチャンスも、好機を逸す

2023-10-30 Piastri Tsunoda Yuki F1 Formula 1Getty Images

アルファタウリが最も上位チームに肉薄したのは、10月の19レース目となるメキシコGPでした。この週末、チームは予選から速さを発揮し、ダニエル・リカルドが4番グリッドを獲得。角田選手もPU交換による10グリッド降格ペナルティがなければ、Q3進出はほぼ確実でした。

そして決勝レースを18番グリッドからスタートした角田選手は、フェルナンド・アロンソやランス・ストロールを抜いて中盤には入賞圏内まで浮上。赤旗中断後には8番手まで順位を上げていました。この時点でリカルドは6番手。今季初のダブル入賞は目前でした。しかし角田選手はオスカー・ピアストリにターン1で仕掛けた際に接触し、大きく後退。12位完走に終わりました。

マクラーレンへの対抗心、その前にいるチームメイトも凌いでみせるという決意。この時の角田選手には、明らかに焦りがありました。

その後、後方からの追い上げにかかってからも「君のペースの方がずっと速いぞ」と励ますスピニに対し「情報は何も必要ない。何も言わなくていい!」と言い放つ角田選手は、完全に平常心を失っていた印象でした。

もちろん僕のような外野がとやかく言わずとも、角田選手はあの失敗から多くのことを学んだはずです。連戦のサンパウロに移動した際にはまだまだ心理的に引きずっていたと思いますが、決勝レースでは16番グリッドから9位入賞。見事に名誉挽回を果たしたのでした

角田裕毅選手が見せた確かな成長

2023-11-27 Tsunoda Yuki Alphatauri F1 Formula 1Red Bull Content Pool

そして最終戦アブダビGPは、文字通り角田選手のシーズン総仕上げというべきレースでした。オーソドックスに2回ストップで行っていたら、あるいは6位入賞を果たしていたかもしれません。しかし角田選手は納得の上で1回ストップを選択し、自身とマシンの持てる力を100%引き出して見せた。スピニもそれを十分理解したからこその「ありがとう」だったのでしょう。

冒頭で紹介した、チェッカー後の無線。角田選手はフランツ・トスト代表への深い感謝を述べ、そしてこう締めくくりました。

「今年はみんな、本当に死に物狂いで頑張ったよね。そのおかげでこうやって、最後のレースを楽しく締めくくることができた。この勢いを持続して、来年もやってやろう!」

シーズン終盤に飛躍したチームは、その勢いを翌年も持続することが多い。長くF1を見てきて、その印象が外れたことは数えるほどしかありません。角田裕毅のさらなる飛躍が、来季はきっと見られるはずです。

文・柴田久仁夫(しばた・くにお)

1956年静岡県生まれ。1980年代よりフランス・パリを拠点にTV番組の取材ディレクターとして活躍後、1987年から約30年間に渡りF1グランプリを現地取材。趣味のトレイルランを生かし、裸足でサーキットをランニングしながらコースの特性やサーフェスの変化を把握する。セバスチャン・ベッテルをはじめ、著名F1ドライバーたちとも一緒にサーキットをランニングしながら独自取材を行う。2016年より本拠地を東京に移し、現在は『DAZN』F1中継で解説を担当する。

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第1戦バーレーンGP 3月3日(金) ~4日(土)3月5日(日)
第2戦サウジアラビアGP 3月17日(金) ~18日(土)3月19日(日)
第3戦オーストラリアGP 3月31日(金) ~ 4月1日(土)4月2日(日)
第4戦アゼルバイジャンGP 4月28日(金) ~ 29日(土)4月30日(日)
第5戦マイアミGP 5月5日(金) ~ 6日(土)5月7日(日)
第6戦エミリア・ロマーニャGP 5月19日(金) ~ 20日(土)5月21日(日)
第7戦モナコGP 5月26日(金) ~ 27日(土)5月28日(日)
第8戦スペインGP 6月2日(金) ~ 3日(土)6月4日(日)
第9戦カナダGP 6月16日(金) ~ 17日(土)6月18日(日)
第10戦オーストリアGP 6月30日(金) ~ 7月1日(土)7月2日(日)
第11戦イギリスGP 7月7日(金) ~ 8日(土)7月9日(日)
第12戦ハンガリーGP 7月21日(金) ~ 22日(土)7月23日(日)
第13戦ベルギーGP 7月28日(金) ~ 29日(土)7月30日(日)
第14戦オランダGP 8月25日(金) ~ 26日(土)8月27日(日)
第15戦イタリアGP 9月1日(金) ~ 2日(土)9月3日(日)
第16戦シンガポールGP 9月15日(金) ~ 16日(土)9月17日(日)
第17戦日本GP 9月22日(金) ~ 23日(土)9月24日(日)
第18戦カタールGP 10月6日(金) ~ 7日(土)10月8日(日)
第19戦アメリカGP 10月20日(金) ~ 21日(土)10月22日(日)
第20戦メキシコシティGP 10月27日(金) ~ 28日(土)10月29日(日)
第21戦サンパウロGP 11月3日(金) ~ 4日(土)11月5日(日)
第22戦ラスベガスGP 11月16日(木) ~ 17日(金)11月18日(土)
第23戦アブダビGP 11月24日(金) ~ 25日(土)11月26日(日)