フェルスタッペンが圧倒的な強さを発揮した2023年
2023年シーズンは、レッドブルとマックス・フェルスタッペンが圧勝した1年でした。22戦中21勝、勝率95.4%という圧倒的なチーム成績もさることながら、フェルスタッペンだけで19勝したのが何よりすごかったですね。
圧倒的なシーズンとしてよく比較に上がる1988年のマクラーレン・ホンダは16戦15勝。アイルトン・セナが8勝、アラン・プロスト7勝を記録しています。
21戦19勝の記録を残した2016年のメルセデスも、ニコ・ロズベルグ9勝、ルイス・ハミルトン10勝と、チームメイトが勝利を分け合うのが普通でした。
それが2023年のレッドブルは、シーズン序盤の第4戦終了時点でセルジオ・ペレスが2勝を挙げ、選手権としては同じく2勝のフェルスタッペンとほぼ横並び状態。ですが第5戦以降はフェルスタッペンだけが勝ち続け、シンガポールGP以外の全レースを制したのでした。
フェルスタッペンの勝ちっぷりがどれほど凄かったか。レッドブルは2023年も860ポイントを手にしてコンストラクターズ選手権を制しましたが、もしペレスの獲得ポイントが0だったとしても、160ポイント以上の大差を2位メルセデスにつけ、タイトルを手中にしていた。それだけフェルスタッペン1人の貢献が、絶大だったということです。
オランダ人王者がトラック上で示した地力とは
Red Bull Content Pool
これだけ1人のドライバーが勝ち続けると、単調でつまらないシーズンになりがちです。しかし少なくとも僕は、ほぼ毎レース全く退屈せずに楽みながら観ることができました。それは一つにはフェルスタッペンという類まれな才能が、今季さらに成熟した走りを見せてくれたからです。
たとえばメカトラブルで予選15番手に沈みながら、2位表彰台に上がったサウジアラビアGP、あるいは9番グリッドから抜群のタイヤマネージメントで勝利をもぎ取ったマイアミGPなど、グリッド後方からレースをスタートさせても必ず巻き返していました。
19勝のうちの7勝がポールスタート以外(グリッド降格含む)での勝利だったのは、そんな強さから来たものと言っていいでしょう。
特にシーズン中盤以降は、RB19の車体的優位はすでにそれほど大きくはなかったはず。それでもフェルスタッペンだけは、勝ち続けた。そんな凄さを目の当たりにできた、素晴らしいシーズンでした。
ライバルたちの奮闘も大きな見どころに
Getty Images
シーズンを楽しめたもう一つの理由は、フェルスタッペンを追う者たちによる激しい攻防でした。
シーズン序盤はアストンマーティンのフェルナンド・アロンソ。中盤以降はマクラーレンのランド・ノリス、オスカー・ピアストリの若手コンビ。そして終盤にはフェラーリのチャールズ・ルクレールが強さを見せました。レッドブルドライバー以外で勝ったのは、結果的にはフェラーリのカルロス・サインツただ1人でした。
しかし表彰台には、レッドブルを除いて9人ものドライバーが上がっています(メルセデス、フェラーリ、マクラーレン、アルピーヌの各2人と、アストンマーティンのアロンソ)。
それに対し2022年、レッドブル以外で表彰台を射止めたドライバーは5人のみ(フェラーリ、メルセデスの各2人+ノリス)。言い換えれば去年の表彰台の顔ぶれは、いわゆる「3強チーム」のドライバーにほぼ固定されていたということです。
2023年はマクラーレンとアストンマーティンが大きく戦闘力を上げ、レッドブル&フェラーリ&メルセデスの3強を脅かす存在になった。そして去年の4位から6位に後退したアルピーヌも、突然のチーム代表ら首脳陣の更迭やチーム内の確執があったにもかかわらず、少なくとも表彰台に上がるだけの力は持っていたことがわかります。
2024年は力関係にどのような変化が生まれるのか
Getty Images
レッドブルは2023年もタイトルを独占し、勝利数も前年の17勝に対して19勝。獲得ポイントも759点から860点と100ポイント以上上積みしたことで、さらに強さを増したように見えます。
ではレッドブルの優位は、はたして2024年も変わらないのか。
先ほど「RB19の車体的優位は、すでにそれほど大きくはなかった」と述べましたが、これはシーズン後半には大きなアップデートをやめ、2024年マシンの開発に専念していたことも関係していたと思われます。そう考えると来季も、レッドブルが序盤からライバルたちをあっという間に引き離してしまうかもしれません。
しかし一方で僕はシーズン終盤、マクラーレンとフェラーリの健闘を見て、力関係に変化の兆しを感じました。
ラスベガスのルクレールはあと少し運に恵まれていれば、フェラーリは2勝目を挙げることができていたはず。それだけ実力のあるマシンパッケージでした。
そしてマクラーレンは車体性能の高さに加えて、ドライバーラインナップの点では10チーム中最高と言っていい。2024年にF1での2年目を迎えるピアストリは、さらなる進化を遂げるはず。
レッドブルとフェラーリ、マクラーレンが三つ巴の戦いを繰り広げるような、そんなシーズンになったら最高ですね。
文・柴田久仁夫(しばた・くにお)
1956年静岡県生まれ。1980年代よりフランス・パリを拠点にTV番組の取材ディレクターとして活躍後、1987年から約30年間に渡りF1グランプリを現地取材。趣味のトレイルランを生かし、裸足でサーキットをランニングしながらコースの特性やサーフェスの変化を把握する。セバスチャン・ベッテルをはじめ、著名F1ドライバーたちとも一緒にサーキットをランニングしながら独自取材を行う。2016年より本拠地を東京に移し、現在は『DAZN』F1中継で解説を担当する。
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チーム・ドライバー
日程・番組表
レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
---|---|---|---|
第1戦 | バーレーンGP | 3月3日(金) ~4日(土) | 3月5日(日) |
第2戦 | サウジアラビアGP | 3月17日(金) ~18日(土) | 3月19日(日) |
第3戦 | オーストラリアGP | 3月31日(金) ~ 4月1日(土) | 4月2日(日) |
第4戦 | アゼルバイジャンGP | 4月28日(金) ~ 29日(土) | 4月30日(日) |
第5戦 | マイアミGP | 5月5日(金) ~ 6日(土) | 5月7日(日) |
第6戦 | エミリア・ロマーニャGP | 5月19日(金) ~ 20日(土) | 5月21日(日) |
第7戦 | モナコGP | 5月26日(金) ~ 27日(土) | 5月28日(日) |
第8戦 | スペインGP | 6月2日(金) ~ 3日(土) | 6月4日(日) |
第9戦 | カナダGP | 6月16日(金) ~ 17日(土) | 6月18日(日) |
第10戦 | オーストリアGP | 6月30日(金) ~ 7月1日(土) | 7月2日(日) |
第11戦 | イギリスGP | 7月7日(金) ~ 8日(土) | 7月9日(日) |
第12戦 | ハンガリーGP | 7月21日(金) ~ 22日(土) | 7月23日(日) |
第13戦 | ベルギーGP | 7月28日(金) ~ 29日(土) | 7月30日(日) |
第14戦 | オランダGP | 8月25日(金) ~ 26日(土) | 8月27日(日) |
第15戦 | イタリアGP | 9月1日(金) ~ 2日(土) | 9月3日(日) |
第16戦 | シンガポールGP | 9月15日(金) ~ 16日(土) | 9月17日(日) |
第17戦 | 日本GP | 9月22日(金) ~ 23日(土) | 9月24日(日) |
第18戦 | カタールGP | 10月6日(金) ~ 7日(土) | 10月8日(日) |
第19戦 | アメリカGP | 10月20日(金) ~ 21日(土) | 10月22日(日) |
第20戦 | メキシコシティGP | 10月27日(金) ~ 28日(土) | 10月29日(日) |
第21戦 | サンパウロGP | 11月3日(金) ~ 4日(土) | 11月5日(日) |
第22戦 | ラスベガスGP | 11月16日(木) ~ 17日(金) | 11月18日(土) |
第23戦 | アブダビGP | 11月24日(金) ~ 25日(土) | 11月26日(日) |