ウィリアムズのアレクサンダー・アルボンが、2021年当時角田裕毅のアドバイザー役を務めたことについて振り返った。『High Performance』のインタビューで口にしている。
1996年生まれ、現在27歳のアルボンは2018年のF2でジョージ・ラッセル、ランド・ノリスに続く総合3位となり、2019年にトロロッソ(現アルファタウリ)からF1デビューを果たす。シーズン途中の13戦目より、レッドブルで不振だったピエール・ガスリーと入れ替わる形で、初年度からレッドブル昇格を果たした。
だがレッドブルではRBシリーズのマシンバランスに苦しみ、2019年の途中から2020年末まで奮闘するも、アルボンは2020年限りでレッドブルのシートを失う。
当時のRB16について「マシンのバランスがまったく良くなかった」と振り返った。この年のポイントランキングではマックス・フェルスタッペンが2勝で214ポイント、アルボンは最高位3位2度で105ポイントと、僚友にダブルスコアの差をつけられた状況に。2021年はレーシングポイント(現アストンマーティン)離脱となったセルジオ・ペレスが加入し、アルボンはレッドブルのリザーブドライバーに降格となった。
2021年開幕前のプレシーズンテストでは、フェルスタッペンが「フィーリングがすごく良い」とRB16Bのポテンシャルアップについて語っていたこともあり、リザーブ降格直後のアルボンとしては「このタイミングでマシンが良化するのか」と意気消沈したという。実際に同年のドライバーズチャンピオンシップは、ルイス・ハミルトンとの激闘を制して、オランダ人ドライバーが初戴冠を果たしている。
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また、同年は角田裕毅がアルファタウリのレギュラードライバーとなり、F1デビューを飾ったシーズンでもある。デビュー戦のバーレーンGPではいきなり9位入賞と上々のスタートを切るも、その後日本人ドライバーは不用意なミスも散見され、なかなか結果を残せずにいた。
中盤戦以降はシャシー交換などもあり、角田は予選でも高確率でQ3に進出するなど存在感を示すようになる。ちょうどこのタイミングで、アルボンは角田のアドバイザー役を務めたことでも話題になった。
だがアルボン本人はヘルムート・マルコ博士から角田の教育係を頼まれたことに、明確に難色を示したと回顧している。
「ドライバーコーチを頼まれたんだ。でも、そのときに“ノー”と言ったんだよ」
アルボンは当時、複雑な心境だったと吐露。角田のシートが、自分の欲しているレギュラーの座だったからだ。
「当時、どうやったらレギュラードライバーに戻れるのかとずっと考えていたよ。そんな状況下で“ユウキのアドバイザーをやってくれないか”と言われたんだ。それだけでなく、レッドブルジュニアの若手たちにも指導してほしいとね」
「でも、それは状況として奇妙だったと思う。だって僕はユウキのシートが欲しかったわけだから。当時、実際に自分が乗れる選択肢を考えたらレッドブルを除くとアルファタウリのシートだったからね」
レッドブルのバックアッパーだった2021年、アルボンは角田のサポート役を承諾しながらも、内心は複雑だったようだ。なお、2022年はメルセデスに移籍する盟友ラッセルの推薦もあり、その穴埋め役としてウィリアムズのシートを獲得している。2021年限りでアルボンはレッドブルと袂を分かつこととなった。
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2021年当時、角田はアルボンについて『DAZN』を通じて「マルコさんがアルボンに“ユウキの手伝いをしてくれ”って言ったのがきっかけで、アルボンが手伝ってくれるようになった」と述べている。
「どっちかというと(アルボンは)先生というよりはパートナーという感じで、アイデアやオプションを増やしてくれる。あとは新しいコースがどのような感触だったのか彼から経験として聞けるので、心構えにもなりますしすごく助かっている」
一方、当時のアルボンも角田の補佐を務めながら、若手がF1に順応することの難しさに理解を示している。『DAZN』に対して次のように語っていた。
「F1のデビューシーズンは大変だと思うよ。F2から大きなステップアップとなるし、環境も全く異なるもの。だから、僕の経験が参考になると思ったんだ。ドライビングだけでなく、ユウキが効率的に学ぶためのアドバイスをしているよ」
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「ユウキはチームとのコミュニケーションで、以前より明確に自分の意思を伝えるようになった。その主導権を握るようになったし、チーム無線でも走行中の状況をしっかり説明して、どうチームにフィードバックして調整すべきなのかを意識している」
「チームの仕事をより効率化させることが重要なんだ。ユウキはそれができるドライバーになりつつある。リーダーシップも育っているね」
「ユウキはどんどん良くなっているし、効率よく学んで成長している。彼の姿を見ていると(レーサーとして)長く活躍できるだろうと思っているよ」
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2022年と2023年はウィリアムズとアルファタウリで、競うようになったアルボンと角田。両者は2024年もそれぞれのチームで戦うことになる。
アルボンにとってはシートを失っていた2021年時点で、後輩の角田に対し“奇妙だったと思う”と口にするほど、複雑な思いがあったことは確かなようだ。だがその後は異なるチームのウィリアムズに移籍しても、アルボンと角田はトラック内外で良好な関係を築いている。
Masaki CHIBA
2023年、日本GPでは角田が表彰台スペースで日本のファンに対し、その日明らかになったばかりの来季契約延長報告をするというワンシーンがあった。FP3直前の時間帯ながら、ガレージから表彰台の下に出てきたアルボンが角田の言葉に耳を傾け、拍手する場面も。アルファタウリで奮闘し続け、4シーズン目の契約を手にした角田への敬意を示している。
アルボンは2022年、2023年とウィリアムズで存在感を示し、改めて優れたドライバーという評価を得ている。2023年はアルファタウリと角田にとって、コンストラクターズ7位争いで直接的なライバルとなったのがウィリアムズ及びアルボンとなった。角田としては、引き続きアルファタウリで可能な限りの成果を示すことが“兄貴分”アルボンに対する最大の恩返しとなりそうだ。
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チーム・ドライバー
日程・番組表
レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
---|---|---|---|
第1戦 | バーレーンGP | 3月3日(金) ~4日(土) | 3月5日(日) |
第2戦 | サウジアラビアGP | 3月17日(金) ~18日(土) | 3月19日(日) |
第3戦 | オーストラリアGP | 3月31日(金) ~ 4月1日(土) | 4月2日(日) |
第4戦 | アゼルバイジャンGP | 4月28日(金) ~ 29日(土) | 4月30日(日) |
第5戦 | マイアミGP | 5月5日(金) ~ 6日(土) | 5月7日(日) |
第6戦 | エミリア・ロマーニャGP | 5月19日(金) ~ 20日(土) | 5月21日(日) |
第7戦 | モナコGP | 5月26日(金) ~ 27日(土) | 5月28日(日) |
第8戦 | スペインGP | 6月2日(金) ~ 3日(土) | 6月4日(日) |
第9戦 | カナダGP | 6月16日(金) ~ 17日(土) | 6月18日(日) |
第10戦 | オーストリアGP | 6月30日(金) ~ 7月1日(土) | 7月2日(日) |
第11戦 | イギリスGP | 7月7日(金) ~ 8日(土) | 7月9日(日) |
第12戦 | ハンガリーGP | 7月21日(金) ~ 22日(土) | 7月23日(日) |
第13戦 | ベルギーGP | 7月28日(金) ~ 29日(土) | 7月30日(日) |
第14戦 | オランダGP | 8月25日(金) ~ 26日(土) | 8月27日(日) |
第15戦 | イタリアGP | 9月1日(金) ~ 2日(土) | 9月3日(日) |
第16戦 | シンガポールGP | 9月15日(金) ~ 16日(土) | 9月17日(日) |
第17戦 | 日本GP | 9月22日(金) ~ 23日(土) | 9月24日(日) |
第18戦 | カタールGP | 10月6日(金) ~ 7日(土) | 10月8日(日) |
第19戦 | アメリカGP | 10月20日(金) ~ 21日(土) | 10月22日(日) |
第20戦 | メキシコシティGP | 10月27日(金) ~ 28日(土) | 10月29日(日) |
第21戦 | サンパウロGP | 11月3日(金) ~ 4日(土) | 11月5日(日) |
第22戦 | ラスベガスGP | 11月16日(木) ~ 17日(金) | 11月18日(土) |
第23戦 | アブダビGP | 11月24日(金) ~ 25日(土) | 11月26日(日) |