2023シーズンのF1は当初24戦で行われる見通しだったが、新型コロナウイルスの影響で中国GPが見送りとなり、エミリア・ロマーニャGPは豪雨災害により中止に。これで22戦での開催となった。
そして2024年は全24戦で実施される予定。これは過去最多のグランプリ数となる。
F1第15戦オランダGP 概要
4週間のサマーブレイクを終え、F1は苛烈を極めるシーズン後半戦へと突入する。
ここまでの成績を振り返ると、依然レッドブルとマックス・フェルスタッペンが首位に立つものの、急速にその差は縮まりつつある。フェルスタッペンが最後に勝利したのは第10戦スペインGPで、中断前の4戦ではメルセデスが3勝、マクラーレンが1勝と、序盤にレッドブルが見せた圧倒的な強さは影を潜める。
マクラーレンの躍進とメルセデスの復権が、レッドブルの牙城を崩しつつある今、タイトル争いはより面白いものになっている。そして、フェルスタッペンが再び覇権を取り戻すべく臨む一戦がオランダGPというのもまた興味深い。
2021年の復活以降オランダGPで勝利を手にしているのはフェルスタッペンのみで、同レース4連覇が懸かる今回は、中断明けの重要な一戦だ。負けられない母国GPで絶対王者は輝きを取り戻せるのか。2024年のオランダGPはシーズンの趨勢を占う一戦となるだろう。
レース開催日程・DAZN配信予定
第15戦:オランダGP
日時(日本時間) | 配信内容 | 解説・実況 |
---|---|---|
8月23日(金)19:30~ | フリー走行1回目 | 実況:サッシャ コメンテーター:浅木泰昭 |
8月23日(金)23:00~ | フリー走行2回目 | 実況:サッシャ 解説:柴田久仁夫 |
8月24日(土)18:30~ | フリー走行3回目 | 解説:田中健一 柴田久仁夫 |
8月24日(土)22:00~ | 予選 | 実況:サッシャ 解説:中野信治 |
8月25日(日)22:00~(配信開始21:20~) | 決勝 | 実況:サッシャ 解説:中野信治 |
コースの成り立ち
Getty Images
オランダの首都アムステルダムから西に約30㎞、美しい砂浜の広がる海沿いの街・ザントフォールトにサーキットが建設されたのは1948年。ヨーロッパのモータースポーツ人気拡大の波に乗り、2輪と4輪のレースが行えるコースが設計され、現在に至るまでオランダGPが行われた唯一のサーキットである。
1952年から正式にオランダGP の開催地として、F1世界選手権のカレンダーに名を連ねたものの、騒音問題や周辺住民からの反対運動といった課題に直面したことで、1985年を最後に開催が見送られていた。
その後、コースレイアウトを大幅に変更するなど、環境面や安全面のための改修を実施。またオランダ人ドライバーであるマックス・フェルスタッペンの人気台頭も引き金となり、35年の時を経て、2020年に再びF1がオランダの地に戻るはずだった。その2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により、5月に予定されていたオランダGPは残念ながら延期ののち中止に。
そして2021年、感染対策を施しつつ全収容人数の67%を上限とする形で、36年ぶりのオランダGP復活となった。2021年、2022年、2023年に続き、今季は4年連続のオランダGP開催となる。
サーキット(ザント・フォールト)
Getty Images|DAZN
オランダGPの舞台ザントフォールト・サーキットは、1周4.259kmと比較的短いコース。決勝は72周で行われる。
全体的にコース幅が狭く、コーナーが連続するレイアウトのため「オーバーテイクが難しい」という声も多い。
コースに目を移すと、特徴的なのは18度のバンク角がついたターン3とターン14。特にターン13の立ち上がりからホームストレートに向けて全開で駆け抜ける姿は、コース幅が狭いことも相まって、迫力満点のオンボード映像が見られることだろう。また、百戦錬磨のフェルナンド・アロンソは、ライバルの位置を見計らってアウト側のラインを通り、コーナー出口の立ち上がりでトラクション重視からオーバーテイクをするというシーンも散見された。ドライバーの力量、明確な狙いが露呈されるセクションでもある。
さらに「ターザンコーナー」と呼ばれるターン1は、コース外にランオフエリアがなくグラベルが広がるため、ブレーキング勝負でのミスが許されないコーナーになっている。
ターン10からターン11、そしてターン13~ホームストレートに至る2箇所のDRS区間をどう活用するのか、その駆け引きに要注目だ。
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2023年オランダGP結果
Getty Images
2023年のF1第14戦、オランダGP決勝は2023年8月27日に行われた。
現地ザントフォールトはF2のレース2前はウェットで、そこから雨は降らず、どんどん路面が良化している状態。ドライ向けの状況でスタート時刻を迎えた。
レース序盤に通り雨が来るとの予報もあるなか、決勝では19台がソフトタイヤを第1スティントに選択。13番グリッドのルイス・ハミルトンだけがミディアムを選んでいる。
ブラックアウトとなり、ポールスタートのマックス・フェルスタッペンがターン1にトップで飛び込む。ターン3ではフェルナンド・アロンソがバンクの内側を使って3番手まで順位を上げた。
だがオープニングラップのセクター3区間ではすでに雨が降っている状況で、セルジオ・ペレス、チャールズ・ルクレール、ピエール・ガスリー、チョウ・グァンユ、角田裕毅、ケビン・マグヌッセン、リアム・ローソンなどが1周目終わりにすぐさまインターミディエイトにチェンジしている。
フェルスタッペン、アロンソなどは2周目の終わりでインターへと履き替える。3周目に入ると路面の大半が濡れている状況で、早くインターに替えたドライバーが得をする状況に。
4周目に入るところでペレスがトップ。2番手ステイアウト組のジョージ・ラッセルに10秒差を付ける状況となった。角田はピットでのミスがありロスが大きかったものの、5周目には8番手までジャンプアップしている。
早々にインターミディエイトへとチェンジしたほうが得した流れになったが、8/72周目でトップはペレス、7.4秒後方に2番手フェルスタッペンという並びに。ただ路面は徐々に乾いていき、再度スリック向きのドライ路面へと変わっていく。
9/72周目に入ると、ドライ勢のほうがラップタイムは明らかに上となる。11周目に入るあたりで、インターに変えたマシンもドライへと戻していった。角田は8番手でピットインするも、インターで稼いだマージンが大きく、9番手でトラックへ復帰している。
13/72周目にはすべてのドライバーがスリックタイヤとなり、トップはフェルスタッペン、4秒後方に2番手ペレス、そこから1.5秒差で3番手アロンソ、以下ピエール・ガスリー、カルロス・サインツ、チョウ、マグヌッセンという順番になった。
16周目にはローガン・サージェントがターン8で濡れている路面にタイヤを乗せてしまい、スピンからバリアへ衝突。ここでレースはセーフティーカーとなる。
22/72周目からセーフティーカーエンドとなり、ローリングスタートでレース再開。フェルスタッペンがトップ、2番手ペレスはやや離れる状況となり、そこからトレイン状態となる。
角田は10番手走行だったが、27周目のターン1でケビン・マグヌッセンを抜いて9番手に浮上した。31周目のターン1ではチョウを抜き、P8まで上がっている。だがここからは後方から実力者ランド・ノリスやハミルトンが迫ってきていることもあり、粘りの走りが必要に。
中団を走る角田はここからノリスの追撃を防ぎ続ける展開となった。だが後ろのノリス、ハミルトン、ピアストリは早々にタイヤへの見切りをつけ、アンダーカットを狙いにいく。ソフトを履いたまま角田はステイアウトを続けた。ガスリー、ラッセル、アルボン、ノリス、ハミルトンに抜かれ、角田は55/72周目には入賞圏外の11番手までポジションを落としてしまった。
トップのフェルスタッペンはファステストラップを連発しながら一人旅状態。2番手ペレスとの差を10秒まで広げ、クルーズ状態となる。
60/72周目あたりから再度雨が降り出すのではないかとの予報もあるため、各ドライバーはピットへと入りづらい展開に。
実際に雨が降ってきた61周目にはペレスが先にインターミディエイトへと変更。ここから多くのドライバーがインターへと続々替えていく。アロンソ、アルボン、オコンなどはスリックのままステイアウトとなった。
雨が激しくなり、63周目にはほとんどがインターに履き替え、オコンだけはエクストリームウェットを選択する。するとペレスがターン1でストップしきれず、オーバーラン。雨が激しいこともあり、ここからインター組もエクストリームウェットにチェンジするため、再度ピットに入り直していく。
この直後、ターン1でチョウが止まれず、オーバーランからバリアでストップ。これでレースは一度バーチャルセーフティーカーとなるも、豪雨のうえにチョウのマシン除去&バリア修復のためにレースは64/72周目で赤旗となった。
赤旗時点の順位は64/72周目コントロールライン通過の順番となり、トップはフェルスタッペン。以下アロンソ、ペレス、ガスリー、サインツ、ハミルトン、ノリス、ラッセル、アルボン、ピアストリ、オコンとアナウンスされた。角田は12番手となっている。
そしてこの赤旗のタイミングで、角田にはラッセルと競った際に接触を誘発したとして、5秒のタイムペナルティが科された。
40分ほどの中断を経て、現地時間17:14からレース再開、全車インターミディエイト装着義務と発表される。2ラップセーフティーカー先導のあと、ローリングスタートとなるため、最後は67/72周目から事実上6周のみで順位を決することに。
67周目のレース再開ではフェルスタッペンがターン1でトップを守り、2番手アロンソがスキをうかがう。するとラッセルがノリスとの接触もあり、ここでラッセルは最後尾まで順位を落としてしまう。後方では12番手だった角田がストロール、ヒュルケンベルグに抜かれて、ファイナルラップでは13番手となる。
結局フェルスタッペンが後方のアロンソを3.7秒まで引き離して同年の11勝目をマーク。それまでの第5戦から9連勝は個人としてのF1最多タイ記録(当時)となった。レッドブルとしては開幕から前人未到の13連勝となっている。
2位アロンソ、3位ガスリーが表彰台に上がっている。ペレスは3番手で72周目を終えたが、終盤のピットレーン速度違反で5秒ペナルティを科され、P4に順位を落とした。
5位サインツ、6位ハミルトン、7位ノリス、8位アルボン、9位ピアストリ、10位オコンまでがポイントを手にしている。
角田はヒュルケンベルグの後ろ、ローソンの前となる13番手でフィニッシュするも、ラッセルとの接触が5秒ペナルティとなり、16位に降格。レース終了後、マグヌッセンに降格ペナルティが出たため、角田の最終順位は15位となった。ダニエル・リカルドの負傷欠場により同レースでF1デビューとなったローソンは、13位での完走となった。